形式論理の解説だけでなく,非形式推論(informal reasoning)の章もつけ加えよう, ということになった。
要再読である。
索引がないのが不便である。
本書で扱う証明のシステムは、ゲンツェンが構成した NK を用いている。NK の推論図をいくつか書いてみる。
`(A quad quad B)/(A^^B) ^^ "I"` (以下省略)
`{:([A]^n),(vdots),(vdots), (B/(A rarr B) rarr "I," n ):}` (以下省略)
`{:([A]^n),(vdots),(vdots), (_|_/(not A) not "I," n ):}` (以下省略)
縦に長いと、ASCIIMath の書き方ではうまくそろわない。
p.93 から引用する。
問題8 A, B, C, D, E の 5 人が学食で昼食に何を食べたかについて以下のことがわかっている。 ただし,学食のメニューはうどんとカレーとパスタの 3 種類あるとする。また 1 人 1 種類のメニューだけ食べたものとする。
- A はうどんを食べなかった。
- B と C は同じものを食べた。
- D と E は別のものを食べた。
- うどんを食べたのは 2 人である。
- パスタを食べたのは 2 人である。
以上の条件から確実にいえるのは次のどれか。
- A はカレーを食べた。
- A はパスタを食べた。
- B はうどんを食べた。
- D はうどんを食べた。
- E はカレーを食べた。
では推論しよう。まず、ii. の条件から、B と C が食べたのはともにうどんか、ともにパスタであろうと推論できる。なぜカレーではないかというと、 うどんを食べたのもパスタを食べたのも 2 人であり、メニューが 3 種類しかないことと、1 人 1 種類のメニューだけ食べたということから カレーを食べたのは 1 人だけとなり、これは ii. に矛盾するからだ。以下、場合分けをする。
場合分けの第1として、B と C がともにうどんを食べたとする。すると、D と E が違うものを食べたということから、 D がカレーを食べ E がパスタを食べたか、D がパスタを食べ E がカレーを食べたかである(すでにB と C がうどんを食べているので、 D も E もうどんは食べられない。)これらのいずれであっても、i. の「A はうどんを食べなかった」と矛盾しない。 なお、このとき、A は食べたのはうどんではなく、かつ D か E のいずれかが、またいずれかのみがパスタを食べているので、 A が食べたのは必然的にパスタである(v. からパスタを食べたのは2人であるため。)
場合分けの第2として、B と C がともにパスタを食べたとする。すると、D と E が違うものを食べたということから、 D がうどんを食べ E がカレーを食べたか、D がカレーを食べ E がうどんを食べたかである(すでにB と C がパスタを食べているので、 D も E もパスタは食べられない。)そして、i. の「A はうどんを食べなかった」を考慮すると、A が食べたのはカレーかパスタだが、 A が食べたのがカレーだとすると D か E のどちらかがカレーを食べているのでカレーを食べたのが2人となり矛盾。 また A が食べたのがパスタだとすると B と C がともにパスタを食べているのでパスタを食べたのが3人となり矛盾。 よって、場合分けの第2はありえないので、場合分けの第1のみが妥当である。
ここまでくれば、確実にいえることがわかるはずだ。まず、[1. A はカレーを食べた。] は誤りで、A.が食べたのはパスタである。 [2. A はパスタを食べた。]は正しい。[3. B はうどんを食べた。]は正しい。[4. D はうどんを食べた。]は誤りで、 うどんではないパスタかカレーを食べた。[5. E はカレーを食べた。]は<確実にいえるのはどれか。>という設問に照らせば正しくない。 推論の結果の場合分けの第1として、E はカレーを食べたという可能性もあるが、またパスタを食べたという可能性もあるからだ。
ここで解答を見てみると、確実にいえるのは 2. と書かれていて、3. は含まれていない。3. も含めるべきではないだろうか。
論理式の記述ではMathJax を用いている
書名 | 例解・論理学入門 |
著者 | 弓削隆一・佐々木昭則 |
発行日 | 2009 年 5 月 30 日(初版第1刷) |
発行元 | ミネルヴァ書房 |
定価 | 2200 円(本体) |
サイズ | |
ISBN | 978-4-623-05467-1 |
NDC | 116.3 |
備考 | 草加市立図書館で借りて読む |
まりんきょ学問所 > 読んだ本の記録 > 弓削隆一・佐々木昭則:例解・論理学入門