宇沢 弘文:ケインズ「一般理論」を読む |
作成日: 2021-01-27 最終更新日: |
<第一講 なぜ『一般理論』を読むか>から引用する。
近年、とくにアメリカの経済学者の間で、 皮相的な解釈にもとづいたケインズ批判が流行しているが、 大恐慌の理論としての意味をもっていた「一般理論」 がどのような内容であったかということを今改めて考えてみることは意味のないことではないように思われる。
この第一講で、著者は『一般理論』と「一般理論」を使い分けている。 『一般理論』は、ケインズが著した書籍を意味し、 「一般理論」はケインズが想定していた内容を意味する。著者は同じ第一講で次のような意見を表明している。
ケインズは『一般理論』で二つの公準を挙げている。第一の公準は、 労働雇用に対する需要は、労働の限界実質生産額が実質賃金に等しい水準に決まるという命題である。 著者はこの第一の公準について次のように説明している:
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いま、ある一つの企業をとってみる。 第1.2図では、 横軸には、この企業が雇用している労働者の人数 N を計り、 縦軸には、この企業の生産する生産物の量 Q を計る。 労働雇用量が N 人のとき、 その雇用量をもっとも効率的に配置することによって生産される生産物の量 Q をあらわしたのが OA 曲線である。
(中略)
労働雇用量 N が小さいときには、雇用量を増やしたとき、生産量がより高い比率で増えるのが一般的である。 しかし、雇用量 N がある水準以上になると、雇用量 N の限界的増加にともなって可能となる生産物の増加は、 逓減的となり、 生産曲線はこの図の OA 曲線のような形となる。 これが労働の限界生産逓減の法則である。 このとき企業の利潤
`PQ - WN`
がもっとも大きくなるような雇用量 N は、B 点のように生産曲線の接線の勾配が実質賃金 w = W/P に等しくなるようなときである。このとき、OC は最大となるような利潤になる。式で表せば、
`(dQ)/(dN) = w (= W/P)`
もう、ここでわからない。本文の説明に出てくる点のうち、P と W が書かれていない。だから式もわからない。 困ったことだ。本書は、後に宇沢弘文著作集に収められ、さらに岩波現代文庫で出ているということだから、 このあたりは図も直されているのだろうか。
書 名 | ケインズ「一般理論」を読む |
著 者 | 宇沢 弘文 |
発行日 | 1983 年 |
発売元 | 岩波書店 |
定 価 | 1800円(本体) |
サイズ | |
その他 | 岩波セミナーブックス 6 |
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