表紙の言葉を転載する。
宮崎県土呂久亜砒鉱毒の村
近代文明のいけにえにされた民衆の歴史を掘り下げ、 辺境の棄民の姿に、現代の闇を割く一条の光を見る。
著者の「口伝 亜砒焼き谷」に心を打たれ、土呂久を訪れたことがあった。 その頃と前後して手に入れた。おそらく宮崎市内の田中書店で買ったのだと思う。
どの文章を読んでも、現代に安穏に生きる私を襲う感覚がある。 その一つが、p.115にある「修身教科書批判」だ。 土呂久の、草履づくりの名手が、修身の教科書に載っていたさし絵に「不審ノ儀有之」として文部大臣にあてて御伺を立てた、 というのだ。詳しいことは本書を読んでほしい。 おかしいことをおかしい、というこの名手の勇気に私は恐れ入った。著者は、 この名手の気迫に<農村生活を軽んずる風潮への許しがたい反発もこもっていたように思う>と述べている。
書 名 | 辺境の石文 |
著 者 | 川原 一之 |
発行日 | 1986 年 9 月 25 日 |
発行元 | 径書房 |
定 価 | 1600 円(本体) |
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