詰将棋殺人事件(山村正夫)、棋神の敗れた日(高木彬光)、悪戯(甲賀三郎)、金知恵の輪(山沢晴夫)、贅沢な凶器(馬場信浩)、歩が殺された(藤沢桓夫)、 かげろう飛車 (泡坂妻夫)、詰将棋(横溝正史)、将棋道場殺人事件(斎藤栄)の9編を収める。
私は推理小説やミステリーを読んだことがないので、読後感を尋ねられても困る。ただ、思ったより将棋のルールに深入りするものはなかった、というのが意外だった。
作者のうち、斎藤栄という名前を見て懐かしく感じた。将棋を覚えた中学生のころ、「王将殺人」という小説をカッパブックスで買って読んだことを思い出した。中学生の頃は、 この「王将殺人」をドキドキしながら読んだことを今更のように思い出した。
山沢晴夫の「金知恵の輪」という作品は、題名から想像されるからくり的な楽しさとは違うような気がした。ちなみに、「金知恵の輪」とは、狭義には久留島喜内(義太)の詰将棋作品集「将棋妙案」
に収められている第69番を指す。広義には、狭義の「金知恵の輪」で初めて久留島により作られた趣向で、
ベルト状に配置された攻方の「金将」や「と金」を使い玉方の玉を左右に動かして詰にもっていく、パズル的な機知にあふれた作品を指す。なお、本編の最初のあたりで「将棋妙案」が登場する。
なお、本編の最後で、「将棋妙案」を曲詰集として紹介しているが、これはいただけない。曲詰とは、Wikipedia によれば、詰将棋の分野の1つである。初形や詰上がりが文字や図形など意味があるものをいう。
とある。ところが将棋妙案には炙り出し曲詰が7局ある
(詰将棋400年 4-8 妙案94番)(toybox.a.la9.jp)とある。
全 100 題のうち、炙り出し曲詰が 7 局しかないので、曲詰集とはいわないだろう。なお、炙り出し曲詰とは、詰上がりが文字や図形などの意味があるものになっている曲詰を指す。
なお、炙り出し以外の曲詰が将棋妙案にあるかどうかはきちんと調べていないが、少なくとも初形曲詰は一題もない。また、「曲詰集」とは収められているすべての詰将棋が曲詰である詰将棋集を指す、
と私は理解している。
| 書名 | 将棋推理 迷宮の対局 |
| 編者 | 山前譲 |
| 発行日 | 2018 年 1 月 20 日 初版1刷 |
| 発行元 | 光文社 |
| 定価 | 820 円(本体) |
| サイズ | 文庫サイズ |
| ISBN | 978-4-334-77589-6 |
| 備考 | 光文社文庫 や22-7、草加市立図書館で借りて読む |
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