第Ⅴ部「量子力学の構造」は、量子力学の基礎的構造の吟味にあてられる。 第Ⅵ部「量子力学と情報の物理学」は、第20章「微視的世界の情報とその論理」と第21章「力学・統計・情報」 の2章からなる。第Ⅶ部は第22章「観測の理論」と第23章「実在論と時間論」からなる。
第Ⅴ部の最初ではヒルベルト空間が解説され、第Ⅵ部の冒頭では束論が展開されるなど、 これは物理の本ではなく数学の本なのかと思うほどだ。第Ⅶ部の最後では実在とか時間などについて言及されるので、 これはもう哲学の本である。
かようなわけで私にはさっぱりわからないのだが、第Ⅴ部の pp.168-172 は 「§ 17.A Kolmogorov の拡張定理」となっている。 その最後、p.172 ではこう締めくくられる。
つまり,`nnn_(k=1)^oo Phi^((k))` は空集合ではない.これで,Kolmogorov の定理の証明はおしまい.
このおしまい
で終わるところに、味がある。
このページの数式は MathJax で記述している。
書 名 | 岩波講座 現代物理学の基礎5 量子力学Ⅲ |
著 者 | 豊田利幸, 江沢洋, 並木美喜雄, 井上健, 湯川秀樹 |
発行日 | 1972 年 7 月 12 日 |
発行元 | 岩波書店 |
定 価 | 1400 円(本体) |
サイズ | A5版 435 ページ |
ISBN | |
その他 | 越谷市立図書館にて借りて読む |
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