「ファインマン序」から引用する。
本書は,昨年と一昨年,私がカルテクで1年生と2年生に対して行なった物理の講義である.
ここでカルテクとは、California Institute of Technology のことで、普通カリフォルニア工科大学と呼ばれている。
訳者は、これを読み通すにはそうとうの努力が必要である.
と断言している。そのため、努力ができない私は読み通すのを断念した。
もっとも、私が読み通すのを断念した理由は、努力ができないからだけではなく、日本語の理解能力も劣っているからである。訳者の序から引用する(p,ⅱ)。
私がはじめてファインマンの風ぼうに接したのは,1953年,京都で理論物理学の国際会議が開催されたときであった. 壇上に立ったファインマンは,機関銃のようなスピードでまくしたて,そのため会場のほとんどの日本人にはチンプンカンプンであった. だれかの注意でもっとゆっくり話してもらうことになったのだが,こんどは単語の長さは変わらず,その発射間隔だけが遅くなったものであるから,かえって分りにくくなって大笑いになった記憶がある.
私はこの文、特に末尾の文の意味がわからず往生した。
3 分ほど考えてやっと意味が理解できた。言っている意味は、機関銃のようなスピードでまくしたてているときは、
単語と単語の間を間をほとんど空けず一気に話したのだろう。そして、もっとゆっくり話してもらうようにしたあとは、
単語一つを話すスピードは全く変わらず、しかし単語と単語の間を長くとった、ということなのだろう。だとすると、単語の長さは変わらず
というのは、《個別の単語の速さは変わらず》
という意味なのだろう。そして、発射間隔だけが遅くなった
というのは、《単語と単語の間の無言の間隔が長くなった》ということなのだろう。
昔、カルビーのポテトチップスのテレビコマーシャルで、「バカも休み休みいいなさい」と言われた藤谷美和子が「バカ…………バカ」と文字通り休み休み言っていたのを思い出した。
私が文意を取るのに苦労したことはさておき、ファインマンはおちゃめな人だ。
第 4 章は「同種粒子」である。もちろん、ここではボース粒子とフェルミ粒子について解説されている。フェルミ粒子の排他性について述べられた p.69 にある次の文は、なかなか味わいがある。
2 個のフェルミ粒子が同一の状態をとることができないという事実から,数多くの注目すべき結果がえられるのである. 事実,世界中の物質のそれぞれの特性というものは,ほとんどすべてこの驚くべき事実によって決ってくる. 周期表に表わされている物質の多様性は,基本的には,このただ一つの法則のもたらす結果なのである.
MathJax で表現している。
書名 | ファインマン物理学Ⅴ量子力学 |
著者 | ファインマン、レイトン、サンズ |
訳者 | 砂川重信 |
発行日 | 1986 年 5 月 15 日 第 9 刷 |
発行元 | 岩波書店 |
定価 | 4000 円 |
サイズ | |
ISBN | 4-00-007715-5 |
その他 | 草加市立図書館にて借りて読む |
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