結晶の性質を余すところなくのべる。特に対称性は丁寧に解説されている。
結晶は、数学、物理、化学、生物、地学といった理科系の学問すべてに関連している稀な分野だと思う。 そのわりには成書は少ない。 私が物理学徒だったころ、少しは結晶にかかわっていたこともあるので、 本屋の棚にあったのを見て思わず買ってしまった。
さて、実際の印象であるが、数学的な対称性についてかなりのページを割いている。 これは、形の対称性として解説がしやすいことから来ているのだろう。 ただそれが逆に、結晶の他の観点からの解説を薄くさせてしまっているようだ。 たとえば、結晶であることを判断する材料としてX線回折について説明されているが、 ここをもう少し充実させてほしかった。たとえば、回折斑点(ラウエ反転、この用語は説明されていない)や、 デバイ - シェラー環が生じる理由の図示がほしかった。
さらに言えば、三次元(バルク)の対称性だけでなく、二次元、 つまり表面固有の対称性もバルクとは異なる形で存在することの説明もあるとよかっただろう。 それから準結晶なども解説されていれば面白かったが、これらは私が物理屋だったからの側面だろうから、 あまり大声では言えない。
下記にサポートページがある。
https://bluebacks.kodansha.co.jp/books/9784062577663/appendix/
ここにあるのは、以前はパワーポイントやワードファイルだけであった。 これらのビューアーを持っている人だけが見ることができる。そうでなければお手上げである。 再加工できるようにという配慮だからだろうが、実際見えずに困っている人は多いだろう。 親切心として PDF で見えるようにするのが普通だろう。そのときは私が代わりに PDF にしたが、 今は削除した。その後は上記サポートページでも pdf がある。ありがたい。
サポートページには次のようにある。
誠に申し訳ございませんが、講談社ならびに著者は、 サンプルファイルについてのお問い合わせには、いっさいお答えできません。 電話ならびにメールでの問い合わせはご遠慮ください。
もちろん、私も、サンプルファイルについてのお問い合わせには、載せていたこと、 削除したことについていっさいお答えできない。電話ならびにメールでの問い合わせはご遠慮願いたい。
書名 | 結晶とはなにか |
著者 | 平山 令明 |
発行日 | 2012年 4 月 |
発行元 | 講談社(講談社ブルーバックス) |
定価 | 860円 |
サイズ | 222p, 18cm |
ISBN | 9784062577663 |
NDC | (459.9:鉱物学) |
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