V. アーノルド:古典力学の数学的方法

作成日:2024-03-07
最終更新日:

概要

「序」から引用する。

本書は,古典力学に必要な数学的道具建てを,何ら予備知識を仮定することなく,その最初からを与える.読者は,解析学(微積分,微分方程式),幾何学(線形空間,ベクトル), 線形代数(線形作用素,2 次形式)の普通の過程さえ修めていれば十分であろう.

本書はのちに第 2 版が出ている。V.I. Arnold Mathematical Methods of Classical Mechanics で検索すると、英訳が読めるかもしれない。第 2 版では、目次を見る限り、 付録が 3 つ加えられている。

本文には問がはさまれている。ヒントがあることもある。本書の構成は次のとおりである。

  1. 経験的事実
  2. 運動方程式
  3. 変分原理
  4. 多様体上の Lagrange 力学
  5. 振動
  6. 剛体
  7. 微分形式
  8. シンプレクティック多様体
  9. 正準形式
  10. 摂動論入門

感想

第 2 章の pp.46-47 にある動物に関する問はおもしろい。これらの問は J. Smith : Mathematical Ideas in Biology, Cambridge 1968 によるものらしい。

第 6 章の p.125 の問には少しびっくりする。

レニングラードで真上に発射した弾丸が,1 km 上昇してから逆に,銃口に向って落下すると,Coriolis の力によって,どれだけそれるか.

ソビエト連邦崩壊後は、レニングラードはサンクトペテルブルクと名前が昔に戻っている。

第 7 章の p.184 のストークスの公式は次のように説明されている。

D. Stokes の公式 外微分に関する定理のもっとも重要な結論の 1 つは, Newton-Leibniz-Gauss-Green-Ostrogradskii-Stokes-Poincaréの公式

`int_(delc)omega = int_cdomega`
である.`c` は多様体 `M` 上の `k+1`-チェイン,`omega` は多様体 `M` 上の任意の `k`-形式である.

名前がものすごい。

数式記述

MathJax で表現している。

書誌情報

書名 古典力学の数学的方法
著者 V. アーノルド
訳者 安藤 韶一, 蟹江 幸博, 丹羽 敏雄
発行日 1981 年 4 月 15 日 第 2 刷
発行元 岩波書店
定価 8500 円
サイズ A5 版
ISBN なし
その他 越谷市立図書館にて借りて読む

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MARUYAMA Satosi