ある精神病院の患者の話の記録。 患者である「僕」は上高地の宿から穂高山に登ろうとして梓川の谷を進んでいった。 すると霧の中で河童が「僕」を見おろしていた。河童を追いかけると深い闇の中に転げ落ち、 正気を失った。気がついてみるとそこは河童の国だった。
河童の国のあれこれの話を読みながら、どこか似た話があったような気がした。そうだ、
スウィフトの「ガリバー旅行記」の「フウイヌム国」の話だった。そして、
雌が優位な社会性を描いたあたりは、
花森安治の「スカート
本作はいろいろな意味を読み取ることができるのだろうが、私が面白かったのは、 作中に出てくる河童の名前にはほとんど促音便があることだった。 バツグ、チヤツク、ラツプ、トツク、マツグ、クラバツク、ペツプなどである(ゲエルは例外)。 それから河童の言語もほとんど qu で始まっているのだった。まるでラテン語かフランス語かのようだった。 結局、私は谷川俊太郎の「ことばあそびうた」の次元で本作を楽しんでいたようだ。
書名 | 河童 |
著者 | 芥川龍之介 |
発行日 | 2015 年 3 月 18 日 |
発行元 | ゴマブックス |
定価 | 円 |
サイズ | |
その他 | 芥川龍之介 名作ベストセレクション、越谷市立図書館(電子書籍) にて読む |
ISBN | (表示なし) |