芥川龍之介:河童

作成日 : 2022-05-18
最終更新日 :

概要

ある精神病院の患者の話の記録。 患者である「僕」は上高地の宿から穂高山に登ろうとして梓川の谷を進んでいった。 すると霧の中で河童が「僕」を見おろしていた。河童を追いかけると深い闇の中に転げ落ち、 正気を失った。気がついてみるとそこは河童の国だった。

ガリバー旅行記

河童の国のあれこれの話を読みながら、どこか似た話があったような気がした。そうだ、 スウィフトの「ガリバー旅行記」の「フウイヌム国」の話だった。そして、 雌が優位な社会性を描いたあたりは、 花森安治の「スカートママの不思議な郷愁」にも通じる (通じないか。花森の戯文はファッションだけの話だからな)。

本作はいろいろな意味を読み取ることができるのだろうが、私が面白かったのは、 作中に出てくる河童の名前にはほとんど促音便があることだった。 バツグ、チヤツク、ラツプ、トツク、マツグ、クラバツク、ペツプなどである(ゲエルは例外)。 それから河童の言語もほとんど qu で始まっているのだった。まるでラテン語かフランス語かのようだった。 結局、私は谷川俊太郎の「ことばあそびうた」の次元で本作を楽しんでいたようだ。

書誌情報

書名河童
著者芥川龍之介
発行日2015 年 3 月 18 日
発行元ゴマブックス
定価
サイズ
その他芥川龍之介 名作ベストセレクション、越谷市立図書館(電子書籍) にて読む
ISBN(表示なし)

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MARUYAMA Satosi