フランツ・カフカ:カフカ短篇集

作成日: 2018-02-12
最終更新日:

概要

次の短編を収める。

感想

わからない

短篇といっても、1ページのものから数十ページのものまで多彩である。 しかし共通していえるのは、わからないということだ。全くわからないものもあれば、だいたいはわかるがわからないところが残るものもある。

「禿鷹」は、禿鷹に突かれる男の物語である。短いし、だいたいはわかる。最後の文で男の気持ちが明かされ、意外とは思うが、 少し考えてそういう気持ちにもなるだろうなとも思う。

わからないものは「掟の門」や「判決」だ。これらは、なぜ最後の文が提示されたか、こじつけでも考えを示すことができない。

「流刑地にて」は機械が出てくる。その構成物の説明に、まぐわ、という器物が出てくる。 鍬の一種だと思うが、よくわからない。広辞苑第四版にはこうある。 わが国在来の農具の一。牛馬にひかせて土を砕いたりならしたりするのに用いる。長さ約一メートルの横木に約二〇センチメートルの鉄製の歯十本内外を植え、 これに鳥居形の柄をつけたもの。 私はこのまぐわがわからないまま、オルゴールにある突起のついた回転する円筒を想像していた。 まぐわだから回転しないので、わたしの想像は当たらなかったことになるが、この機械仕掛けがばかばかしくておかしい。 私がこの作品集の中で一番感情移入できる作品だ。

書 名カフカ短篇集
著 者フランツ・カフカ
編訳者池内 紀
発行日1989 年 8 月 5 日 第 10 刷
発行元岩波書店
定 価447 円(本体)
サイズ276 ページ
ISBN4-00-324383-8

まりんきょ学問所読んだ本の記録フランツ・カフカ:カフカ短篇集


MARUYAMA Satosi