村上 陽一郎(編著):日本の科学者101

作成日: 2017-06-26
最終更新日:

概要

ノーベル賞をめぐるドラマ。

感想

101 名の日本の科学者リスト(物故者に限る)を挙げている。 数学6人、物理19人、化学11人、天文・地球10人、生物23人、医・薬19人、土木・建築4人、機械2人、電子・通信7人となっている。 原則1人につき見開き2ページを使っているが、北尾次郎と岡田武松は2人で2ページの扱いである。同様に、池野成一郎と平瀬作五郎、 高橋秀俊と後藤英一もそれぞれ2人で2ページとなっている。

数学

私は数学が好きだから、数学者の割合が少ないのが残念である。もっとも、数学で有名になるということは、 **の事実がわかったからということで有名に鳴るのだろう。**に役に立ったから、というはまずない。 数学者の業績で役に立つというのは珍しい。赤池弘次 (2010 年死去) は AIC を考案した。伊藤清 (2008 年死去)は、伊藤の補題で知られる。 林知己夫 (2002年死去)は、数量化理論を確立した。この本のタイミングからして、赤池、伊藤は難しかったろうが、 林は入れておいてほしかったと思う。もっとも、そのかわりというか、増山元三郎が入っているのは編者の村上陽一郎の冴えだろう。

物理

私は物理を学んだが、相変わらず不得意だ。だから、尊敬する物理学者というのはいない(昔湯川秀樹の伝記を読んで感心したことはある)。 だから、ここに出てくる物理学者で知らない人も多かった。 ここに出てくる人では渡辺慧が異彩を放っていると思う。

化学

日本は化学に向いている人が多いのかと思ったら、11人と思ったより少なかった。そんなものだろうか。

天文・地球

和達清夫の名前を見て昔を思い出した。昔、和達清夫の息子である和達三樹先生の教えを請うたことがあるからである。 この和達三樹先生のご兄弟にもお会いしてお話する機会があったが、みな、清夫先生のお顔に似ていた。

生物

木村資生の名前を知ったのは、共同研究者である太田朋子が数学セミナーに寄せていた一文を見たからだ。 生物の突然変異のほとんどは有利でも不利でもない「中立説」を提唱し、 太田がこれを発展させて「ほぼ中立説」を発表した。その後、太田は2016年に文化勲章を受けたが、 草間彌生の圧倒的迫力のため、太田の受賞は認識できなかった。

精力絶倫

大森房吉は、大森公式で名高い地震学者である。この人の働きぶりは、著者により「精力絶倫」と評されている。 精力絶倫ということばは性生活に使われるものとばかり思っていたが、元の意味はそうではないようだ。 どんなことばも使われているうちに、特定の分野でしか使われなくなることがある。

書誌情報

書 名日本の科学者101
著 者村上 陽一郎(編)
発行日2010 年 10 月 20 日(第1刷)
発行所新書館
定 価2000円(本体)
サイズ?版
ISBN978-4-403-25106-1
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MARUYAMA Satosi