「この一冊で日本の地理を完全網羅」(帯の裏の文面より)
本書は刷を重ねているが、版は変えていないと思われる。すなわち情報の更新はされていないものと思われる。 おせっかいだから、少し意見を述べよう。
pp.58-59 で、原子力発電が紹介されている。抑えた筆致ながら原子力発電を容認するかのような書き方である。 確かに第1刷は福島原子力発電所の事故前に発行されたが、既に第7刷を迎えても事故に全く触れられていないのは不自然である。
pp.71-72 で、千葉県の農業のすごさが述べられている。ナシの生産量第1位なのだ。 たしかに私は不思議に思ったが、船橋市の非公認キャラクターが「ふなっしー」であることから連想がつくと思う。
p.96 各県の項の第1段落の末尾、名古屋市について述べられている最後の文が、
人口は東京、横浜、大坂に次いで第4位。
となっているが、現在は、
「人口は東京、横浜、大阪に次いで第4位。」と書くべきだろう。
大坂を大阪と書くようになった理由はよく知らない。(2021-01-22)
p.145 和歌山での製鉄業として住友金属の和歌山製鉄所が解説されている。 その後住友金属工業は新日本製鉄と合併し、新日鉄住金を経て日本製鉄となっている。 これに伴い、和歌山製鉄所は関西製鉄所の和歌山地区扱いとなっている。 さらにややこしいことに、和歌山地区には、和歌山、海南、堺の3地点がある。 和歌山と海南の各地点は、旧住友金属工業の和歌山製鉄所所属であり、 堺は旧新日本製鉄の製造所であった(2021-01-22)。
p.145 で、守口に三洋電機の本社があるとなっているが、2015 年に本社は大阪市に移転している (登記簿上は大東市)。 なお移転の前、2011 年に三洋電機はパナソニックの完全子会社となっている。
p.173 の工業の節で、近畿で紹介した JFE スチールの製鉄所もあるし
とあるが、JFE スチールの製鉄所の紹介は関東地方でなされている。
p.77 と p.79 で、JFE スチールの製鉄所が紹介されている。
p.245 の交通の節で、大分空港のアクセスにホバークラフトがあるが、2009年10月31日をもって廃止された。
p.247 で東側の南北を直接結ぶ路線がない。
とあるが、東九州自動車道が開通している。
宮崎県内は一部を除き供用中である。
書 名 | 読むだけですっきりわかる日本地理 |
著 者 | 後藤 武士 |
発行日 | 2009 年 6 月 19 日 第1刷、2017年6月14日 第8刷 |
発行元 | 宝島社 |
定 価 | 457 円 |
サイズ | 文庫本 |
ISBN | 978-4-7966-7060-9 |
NDC | 291(地理・地誌・気候>日本) |
その他 | 宝島 SUGOI 文庫 |
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