大橋 栄三:英語のユーモアと小ばなし

作成日: 2011-11-23
最終更新日:

概要

以下は著者(実際には編者)によるはしがきからの引用である。

本書は英語のユーモアや小ぱなしの類を, 数にしてざっと300集め,それに訳註を添えたものである. この中にはわざとらしいしゃれや小ぱなしもあるが, 無邪気で罪のないのも少なくない, そしてそれぞれわが国の落語と同じに,考え落ちや語呂落ち,とんとん落ちなどで下げとなっている. 英米人のユーモラスな物の見方,感じ方 ― つまり彼らの Sense of Humour を知るだけでなく,生きたなまの英会話を学ぶ上にも, これは確かに役立つと思う.とにかく, 軽い小話やしゃれにおとがいを解くのは健康のためにもよいのだ.読者にもぜひ御一笑, いな御一読をお勧めする. A laugh a day drives away doctors. (一日一笑医者いらず)とさえいうのだから.
1958年5月

感想

この本を買ったのは大学生の教養課程のころだと思う。多少は英語のジョークも言えるようになれるといいな、 と思った。 ところが、笑えるユーモアは3割ぐらいで残りが笑えなかったのがショックだった。 笑えない理由は、これらのユーモアの質が落ちているからではなく、自分の読解力がないからだろうと悟った。 そのときからこの本は書棚の奥深く隠すことにした。

久しぶりに見つけて、このさい自炊することにした。そして、この本を改めてみて、笑えるだろうか。 とりあえずあるページから見てみよう。100 ページには次の2つの小話がある。

(7)

Wife (sentimentally): "Well, dear, what would you do if I were to die?"
Hub(ditto): "I should go mad, my dear."
Wife: "Would you marry again ?"
Hub:"Well,I don't think I should go as mad as that."

妻(感傷的に)-「あなた,もし私が死んだとしたら,どうなさる?」
おっと(同上)-「気が狂うよ,きっと」
妻-「再婚なさる?_l
おっと-「さあ,それほどまでに気が狂うとは思われないね」

(8)

Hub:" By Jove! Mary, we're mighty lucky. Ours is the only house in the neighborhood that hasn't been burglarized!"
Wife:" Lucky! I call it extremely humiliating!"

おっと-「まあよかった!僕たちはとても仕合わせさ.ご近所で賊の入らないのはうち一軒なんだ」
妻-「仕合せですって?私は途方もない屈辱だと言いたいです」

まずは安心した。どちらも意味は分かる。(7) は、「結婚することは気でも狂っていないとできない」と解釈するのが一つのポイントだ。 誰だったかが言っていたのは、「人は間違った理由で結婚し、正しい理由で離婚する」

(8) も似たような話があったので紹介する。今より 10 年ほど前、あるハッカーが有名会社のネットワークを狙ってサイバー攻撃をしたため、 被害を受けた会社があった。これを受けてある大企業のネットワーク担当者がいうには、 「うちが被害を受けなかったのは、攻撃の相手にされていないからなのかなあ」

ただ、当時から気になって変わらないのは表記の妙さだ。たとえば上記2例でも、夫とは表記されずおっとと書かれていた。 それから、英語で Mary で登場する女性は、日本語訳ではマリ子になっていた。それから「アルハベット」、「プッティング」などの表記も味わい深い。

書 名英語のユーモアと小ばなし
著 者大橋 栄三
発行日昭和 33 年 6 月 10日(初版)昭和 51 年 9 月 1 日改装 6版
発行元篠崎書林
定 価300円
サイズ新書版

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MARUYAMA Satosi