本書の主題は、県別の格差の責任を明確にすることである。特に、都道府県の教育格差にページを割いている。
この本の評はどこかで書いた気がする。それを思い出せないのが気が引ける。どこかで書いたこと、というのは、 「理由」がある、と表題で言っておきながら、 その理由にまで踏み込めていないもどかしさがある、ということだ。
たとえば、p.108 では「秋田と北陸は優秀な子供を育てる」とあるが、なぜ秋田と北陸なのか、 その理由が一言でもあるとよかったと思う。実際、そのような考察がある場合もある。次の例だ。
この p.108 は中学校三年生の成績であり、 東京は小学校六年生の成績に比べて落ち込みが激しいとある。 その理由は解説されていて、この学力調査は公立を対象としていること、 東京は中学受験で優秀な生徒が私立に流れていることが背景にあるとも考えられる。
では秋田と北陸の成績が高いのはどうしてか。おそらく県で何らかの施策を行っているに違いない、 とにらむはずだ。あってはならないことだが、成績が低い児童・生徒はテストへの参加を控えるようなことを行っていたかもしれない。 そういった考察が欲しかった。このような考察を求めるのはないものねだりだろうか。ならば、表題を変えてほしかった。
書 名 | データ比較「住みにくい県」には理由がある |
著 者 | 佐藤 拓 |
発売日 | 年 月 日(第6版) |
発売元 | 祥伝社 |
定 価 | 円(本体) |
サイズ | |
ISBN | 978-4- |
その他 | 祥伝社新書、広島駅の新幹線口書店(廣文館)にて購入。 |
NDC |
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