裏表紙より引用する。広大な六条院に女君たちを住まわせ、
栄華を極めた「源氏」の物語は次世代へと移っていき、
富と権力をほしいままにした男は、
次第に女たちの「憧れの君」ではなくなっていく。
概要で引用したのは具体的にはどういうことか。説明しよう。
第3巻は玉鬘という巻から始まる。 源氏が恋しく思っていた夕顔は変死した(第2巻に詳細あり)。その夕顔の娘が玉鬘である。 玉鬘は縁あって源氏の養子となるが、よりによって源氏は玉鬘にセクハラまがいのことをしてしまい、 玉鬘は源氏を嫌うとともに、別のガテン系男子である髭黒と結婚してしまう。
第3巻の末尾の巻は藤裏葉である。源氏の息子の夕霧は、幼馴染の雲居雁と結婚する。
もちろん玉鬘でも夕霧は出てくるし、藤裏葉でも源氏は登場するが、この交錯が第3巻の特徴である。 といいたいところだが、それぞれの巻の特徴があるし、ました一つの巻をとってもさまざまな人物が登場するので、 私にはわけがわからなくなってくる。場面によって、ロシア文学のように、同一人物が異なる呼称をとるのだ。 訳者は親切に「だれだれのこと」という注釈を忘れずにつけてくれているし、巻の冒頭には登場人物の系図を掲げているので、 人物関係を読み解く難渋さは最小限に抑えられている。ただそれでも関係が複雑なことは確かなので、 ラテンアメリカの文学のように系図を自分で作ってたえずそばにおいて参照しながら読むのがいいかもしれない。私はまだできていない。
今思いついたのだが、系図をデータベースにするのはおもしろいかもしれない。 源氏物語の理解、という点でも、またデータベースの設計能力の訓練、という意味でも、だ。
書 名 | 源氏物語3 |
著 者 | 紫式部 |
訳 者 | 大塚 ひかり |
発行日 | 20?? 年?月 |
発行元 | 筑摩書房 |
定 価 | ??? 円(税別) |
サイズ | 文庫版 |
ISBN | 978-4-???????? |
NDC | 913.369 |
その他 | ちくま文庫 |
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