松下 竜一:砦に拠る |
作成日: 2015-01-12 最終更新日: |
筑後川の上流にあり熊本県を流れる津江川に、筑後川の治水を目的として下筌(しもうけ)ダムを作る計画が発表された。 このダム計画に反対した室原知幸(むろはらともゆき)の苛烈な人生を描く。 松下竜一の著作の代表作と私は勝手に思っている。
まず恥ずかしながら、漢字の読み方がわからなかった。みなさんは読めるだろうか。 ほとんどはフリガナがあったが、ないのもある。
最後の2語だけ調べてみた。どちらも p.431 にある。
藉すは「かす」と読むのだろう。原文はこうだ。
なぜなら、彼は己が反対意思を訴訟記録の中に刻みつけていくことで節を通しているのであり、 しかし現実には眼前にダム堰堤が聳え立ち始めている以上、 そのダムをせめてより良きものにする知恵を九地建に藉そうとするものである。
「知恵を貸す」ということばから読み方はわかる。 意味は、貸し借りの意味のほか、ゆるす、いたわるの意味もある。「慰藉料」がこの意味である。
覘いは「うかがい」だろうか。原文を引く。
知幸の提言の覘いは、 このダムをどのようにすればこの地域の者達の利益に繋がらせることが出来るかという点にあった。
わたしは「ねらい」と読みたいのだが、その読み方は辞書にはない。
書 名 | 砦に拠る |
著 者 | 松下 竜一 |
発行日 | 1989 年 10 月 31 日 |
発行元 | 筑摩書房 |
定 価 | 777 円(本体) |
サイズ | ページ |
ISBN | 4-480-02352-6 |
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