土屋 賢二:棚から哲学

作成日: 2018-02-03
最終更新日:

概要

各種雑誌のために書かれたエッセイ(週刊文春に書いたものは除く)。

感想

通る意見の法則

pp.228-232 にあるこのエッセイは、今でも時々思い出す。 著者はまず、三人寄れば文殊の知恵、という言葉に疑念を持つ。 むしろ、何人かが集まると意見がかたよるのではないかと考える。 その意見の内容は、建設的な意見ばかりになることもあれば、むしろ不健全で破壊的な意見になることもある。 この、不健全で破壊的な意見になる過程の記載がおもしろい。これが時々思い出す理由である。 ここでは、ある種の友人関係と断ったうえで、 次のような例を挙げる(現実か、仮想かは今は問わないでおく)。

焼肉屋に行っても、 一人がカルビとサラダを注文すると、 二人目はそれを軽蔑して「カルビだけ、サラダはいらない」と注文する。 三人目は二人を軽蔑し、「カルビの脂の多いところだけ」を注文する。 食べるときには、油をしくための牛脂を三人が争って食べる結果となる。

今であれば同調圧力とか、このような現象を指すことばはあると思う。

書誌情報

書 名棚から哲学
著 者土屋 賢二
発売日2002 年 8 月 第1刷
発売元文藝春秋
定 価
サイズ301p ; 15cm
ISBN4-16-758805-6
その他文春文庫 つ-11-5
NDC104.9 : 論文集.評論集.講演集

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MARUYAMA Satosi