韓国語と日本語は漢字を通してつながっている、という著者の発見から、 韓国語を紹介する。
おもしろい。
同書の p.94 によれば、韓国人の姓のほとんどが漢字一文字であるという。 そのなかで特に多いのが金(キム)さんである。金さんも含めた、韓国人に多い名前として次が紹介されている。
さて、これらの名前が付く人を、私はどれだけ知っているだろうか?
金さん。これは多い。金大中(キム・デジュン)、金芝河(キム・ジハ)など。
李さん。案外知らない。韓流スターの李炳憲(イ・ビョンホン)を調べて、 初めて漢字が李であることを知ったぐらいだ。
朴さん。強烈なのは、かつての韓国の大統領であった朴正煕(パク・チョンヒ)だ。 まだ朴さんが生きていたころは、アナウンスは「ボクセイキ」だった。
崔さん。崔洋一(チェ・ヤンイル)は有名だが、私にはあまりピンとこない。 私にとっての崔さんは、牧師の崔昌華さんである。 崔は、自分の名前が日本語読みされるのはおかしく韓国語読みにすべきだ、として日本放送協会を訴えた。 この訴えで損害賠償額が一円であったことを、私は覚えている。 崔は敗訴したが、そのニュースを伝えた日本放送協会のアナウンサーは、 原告名を「チォエ チャンホァ」と韓国語読みしたという。 なお、日本語ではチェなのか、チォエなのか、チュェなのか、よくわからない。 いろいろな表記がある。
鄭さん。音楽家の鄭明勳(チョン・ミョンフン)、鄭京和(チョン・キョンファ)でその名を知っている。
趙さん。趙治勲(チョ・チフン)は囲碁の巨人。でも、チョウ・チクンという日本語流に慣れてしまっている。
姜さん。姜尚中(カン・サンジュ)さんは日本で最も有名な姜さんだろう。
張さん。本国の人では思いつかない。 在日の人でいえば、張本勲さんの本名が張勲(チャン・フン)であることを最近知った。
韓さん。通信理論の世界的大家、韓太舜(ハン・テスン)氏がまず思い浮かぶ。
尹さん。俺が知っているのは現代音楽の巨匠、尹伊桑(ユン・イサン)だけ。でも、十分だろう。
追記:検事出身の大統領、尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏が罷免されたことは記憶に新しい。(
呉さん。よく反韓国運動で名が出てくるのは呉善花氏である。氏の著作はまだ見たことがない。
林さん。台湾であれば思いつくのだが、韓国では出てこない。Wikipedia によれば、 林まつりさんという方の本名が林明恵という。
申さん。出てこない。
安さん。安重根(アン・ジュングン)を思い出す。伊藤博文を暗殺したことで知られている。
宋さん。出てこない。
徐さん。やはり出てこない。
黄さん。黄禹錫(ファン・ウソク)は韓国のノーベル賞候補として知名度が上がったが、 のちに論文不正が発覚した。
洪さん。確か囲碁で強い方がいたはずだ。洪清泉(ホン・セイセン)さんだ。 以前は洪マルグンセムという名前だった。
全さん。全斗煥(チョン・ドゥファン)は元韓国の大統領。ゼン・トカンの読み方もけっこう聞いた。
権さん。知らない。
柳さん。柳美里さんは有名だ。
高さん。知らない。
そのほか、曺さん(曺薫鉉)、辛さん(辛淑玉)、裵さん(裵勇俊)は知っている
第4章は「ハングル文字を、最もラクに覚える法」とある。ハングル文字というのは実は牛の牛肉なのだけれど、 まあいい。著者はいわゆる半切表を使わず、独自の順序で子音を紹介している。 また、子音における平音、濃音、激音という区別の紹介はない。
子音は舌や口の形からできた、という説を紹介しているが、私にはいくつか理解できなかった。 舌や口の形に見える、として理解できるのはラリルレロの子音をあらわすときの記号ㄹや、 マミムメモの子音をあらわす記号ㅁ、 パピプペポの子音(これらの濁音も含む)をあらわす記号ㅂぐらいだ。
私はどうやって覚えているかというと、全くのこじつけである。以下は半切表の順序である。
ㄱはカキクケコの子音を表す。これはカタカナのカを書くときの最初、というように覚えている。
ㄴはナニヌネノの子音をあらわす。これは、N音からひらがなのんを連想し、んの形からさらに連想する。
ㄷはタティトゥテト(あるいはこれらの濁音)の子音をあらわす。これは、ギリシア文字のタウτから連想している。
ㄹやㅁ、ㅂは先の例の通り、舌や口の形から連想する。
ㅅは形が「さかれて」いることからサシスセソの子音と思う。
ㅇは読まない、あるいは ng の発音である。
ㅈは子音、ジャジジュジェジョなのだが、 ㅅが横棒一本加わって強くなりジェになったのだと思うことにする。
ㅊはㅈがさらに強くなってチャチチュチェチョになるものだと思い込んでいる。
ㅋはㄱの激音、ㅌはㄷの激音、ㅍはㅂの激音である。そしてㅎは H 音であるが、鍋蓋に見立てて、 熱をさますときの息の吹きかけハーから連想する。
書名 | 漢字でわかる韓国語入門 |
著者 | 早川 嘉之 |
発行日 | 平成 16 年 7 月 30 日 |
発行元 | 祥伝社 |
定価 | 552円(本体) |
サイズ | 259ページ 文庫版 |
その他 | 祥伝社黄金文庫 |
ISBN | 4-396-31354-3 |
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