副題は「電磁気学のよりよい理解のために」。本書の著者によるホームページは下記にある。
http://kir018304.kir.jp/nc/
この本を読んでわかるところは皆無である。p.6 の記法を引き写そう。
本書で用いる記法を簡単にまとめておく.
- $ \boldsymbol{A, B} $のようなボールドイタリック体はベクトル量( 1 階のテンソル量)を表す.
(中略)- のようなサンセリフ体は 2 階のテンソル量を表す.
(中略)- $ \mathcal{N, R} $ のようなカリグラフ体は 3 階のテンソル量を表す. 特に$ \mathcal{E} $ は 3 階の完全反対称テンソルである.
- `T(␣,␣,cdots)` は一般のテンソルを表す.`T_(ijk)cdots` はテンソルの成分を表わす.
(中略)- ⋮ $ \boldsymbol{xyz}, $ ` R(` $ \boldsymbol{x,y,z} $ `)`, `R_(ijk)x_iy_jz_k` はいずれも 3 階のテンソルにベクトルを 3 つ入力したものを表す.
(中略)- 紛らわしい記号
- $ \varrho $ :電荷密度,$ \rho $:円筒座標の第1成分
(後略)
写したのはこれだけなのに、えらい苦労をした。特に、サンセリフ体の斜体を出すために、
mathml の記法を借りるしかなかったのは情けなかった。もっとうまい記法があるはずだが、わからなかった。
なお、
本書には問題が随所にあるが、解答はない。これは、著者の考えを表わしていると考えられる。
http://kir018304.kir.jp/nc/htdocs/index.php?key=bbx3pkdj3-77
上記のページ(現在はリンク切れ)で
とにかく答えが求まると, すぐに解答のページ[1]を開いて, 正解を探し, たまたま合っていれば,
直ちに次の問題に移っていたのではありませんか.
と問いかけられている相手は、まるで私である。なので、解答のない本書では問題を解く気が起こらない。
ただ、これでは著者に申し訳ないので、一つだけ問題を解いてみた。p.51 にある。次の問題だ。
問題 4.2 (なぞなぞ)表 4.1 にまとめたように,電磁気学におけるベクトルで, 力線ベクトルに属すのは,$ \boldsymbol{A, E, H, M} $,束密度ベクトルに属するのは, $ \boldsymbol{B, D, J, P} $ であるが,これを見かけで判断する(非論理的な)方法を考えよ.
前者の $ \boldsymbol{A, E, H, M} $ を字体に着目してみると、すべて直線から構成されていて、曲線がない。 一方後者の $ \boldsymbol{B, D, J, P} $ には、すべての字に曲がっている部分がある。 したがって、すべて直線からなるアルファベットのベクトルが力線ベクトルに属し、 曲線のアルファベットをもつベクトルが束密度ベクトルに属すると判断できる。
これは非論理的ななぞなぞだからこそわかったわけで、他の論理的な問題は解けないと思う。
このページの数式は MathJax で記述している。
書 名 | 新版 マクスウェル方程式 |
著 者 | 北野 正雄 |
発行日 | 2009 年 2 月 10 日 新版第1刷 |
発行元 | サイエンス社 |
定 価 | 2000 円(本体) |
サイズ | A5版 255 ページ |
ISBN | 978-4-7819-1222-6 |
その他 | SGC Books-P4 |
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