青柳　いづみこ（監修）：ドビュッシー　ピアノ曲の秘密

概要

ドビュッシーのピアノ曲の簡単な解説、安川加壽子の功績、監修者によるドビュッシーをめぐる対話、ドビュッシーとピアノ、 付録 に「ドビュッシーをおしゃれにひくために」と題された DVD がある。

感想

私が思うに、これは付録 DVD が主たる販売物であり、本そのものは逆にその付録であると割り切ったほうがよいと思う。 少なくとも、私はそういう思いで買った。

というのも、この DVD は、知人、木下淳氏が経営する JK arts で制作されたものであり、 この出来栄えを見てみたかったから買ったのだ。
JK arts (www.jk-arts.net)
以降は冊子の感想である。DVD はまだ一部しか視聴していないのでこちらの感想は後程記す。

生涯と全ピアノ曲

まず、「生涯と全ピアノ曲」という記事が pp.5-17 にあるが、個別の曲の解説はごく数行しかない。 なにより残念なのは、『12の練習曲』の第11曲〈アルペッジョのための〉の異稿（見出された練習曲）に触れられていないことである。 全ピアノ曲の名が泣く。

誤植もある。冒頭でクロード・アルシ・ドビュッシーとあるが、 正しくはクロード・アシル・ドビュッシーだろう（原綴は Claude Achille Debussy）。 同じ誤りは　9 ページ上段にもみられる。具体的には、1890 年、名前をアルシ＝クロードからクロード＝アルシに変えたドビュッシー、 となっている箇所だ。

それから、p.9 の最後、《版画》の第３曲が《トッカータ》になっているがこれも誤りで、正しくは《雨の庭》である。 その前の上段で《忘れられた映像》のうちの１曲《「もう森へ行かない」のいくつかの諸相》には、 （中略）のちに《版画》の第３曲〈雨の庭〉でも同じ童謡が中間部に出現する。と正しく書かれている。

p.15 の下段後半、《６つの古代墓碑銘》にもいくつか誤植がある。

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