ポーランド版の序文から引用する:
本書は厳密な意味で数学的な記述を含んでいないため、 広い教養をもった人たちに理解しやすいものとなっている。 私の目的はポピュラーな伝記を書くことであった。 しかし、第8章ではいろいろな国の数学者の著述からの抜粋を紹介することにした。
ポーランドは気になる外国だ。まず、ポーランド国民は愛国者であることがひっかかっている( これは千野さんの「外国語上達法」の記載を信じている)。そして、 特異な芸術家を輩出しているということだ。私が知っているのはせいぜいショパン、パデレフスキ、 シマノフスキ、ルトスワフスキといった音楽家しかいないが。 学者でいえば、あの有名なザメンホフがいる。 そして、数学者たちだ。妙な命名で(も)有名な(逆)ポーランド記法を発明したウカシェヴィチはもちろん、 ポーランドの人だ。そして、ステファン・バナッハ(バナフ)はポーランドの数学者として私の中では有名である。 本書を読んでポーランド人として認識した数学者がいた。 フラクタルで有名なガスケットで知られるシェルピンスキ、 バナッハ・シュタインハウスの定理で知られるシュタインハウス、 バナッハ・タルスキの逆理で知られるタルスキなどである。 本書ではソボレフによる次のことばが紹介されている。ソボレフ空間で有名なソボレフだろう。
ポーランドには、フルィディク・ショパン(作曲家)、 アダム・ミツキェヴィチュ(詩人)、マリヤ・スクオドフスカ・キュリー(キュリー夫人、化学者) のような人間文化の歴史の中に永久に名を止める人たちがいるが、 彼らに続くバナッハも、20 世紀の科学の発展とともに永久に名を刻まれた人としてポーランドの誇りとなった。
マダム・キュリーのことを忘れていたのは不覚であった。ミツキェヴィチュは出てこなかったが、 言われてみればショパンのバラードがミツキェヴィチュの詩に触発されて生まれたということは覚えていた。
書 名 | バナッハとポーランド数学 |
著 者 | R・カウージャ |
監訳者 | 志賀 浩二 |
訳 者 | 阪本 ひろむ |
発行日 | 2005 年 12 月 28 日 |
発行元 | シュプリンガー・フェアラーク東京 |
定 価 | 2100 円(税別) |
サイズ | A5 版 |
ISBN | 4-431-71186-4 |
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