岩波講座 現代物理学の基礎10 原子核論

作成日:2021-10-25
最終更新日:

概要

序から引用する。

本書では,標準的な原子核の教科書に述べられていることはそれに譲り, ある偏った観点に従って記述した.その観点は,特に核構造に関しては,一言でいえば微視的記述である.

章立ては次の通り。

  1. 原子核の構成要素
  2. 核の性質および対称性
  3. 1体運動
  4. 1体運動と核の全体的性質
  5. 対相関と準粒子
  6. 集団運動
  7. 核反応
  8. 光学模型
  9. 直接過程
  10. 複合核過程
  11. 原子核構造のさまざまな側面

第Ⅰ部(第1章~第2章)と第Ⅱ部のうち第3章~第4章、第Ⅳ部(第11章)は高木修二が、 第Ⅱ部のうち第5章~第6章は丸森寿夫が、第Ⅲ部(第7章~第10章)は河合光路が、 それぞれ執筆している。

感想

他の講座と同様、全く理解できなかった。私の頭が弱いのだから仕方がない。

第2章「核の性質および対称性」の§2.1 時空の対称性と核の性質 とから 「d) 時間反転」 を見てみると、p.27 に次のような説明と式があった。なお、本書では座標を r と表記しているが、以下の引用では `bbr` とし、斜体にはしていない。

状態 `|alpha:)` の波動関数を ` psi_alpha(bbr)` とすれば, (中略)`|alpha:)` として角運動量の固有状態を取るならば `psi_alpha(bbr) propto f_alpha(r)Y_(lm)` と表される。`Y_(lm)` は普通は

`Y_(lm)(theta, phi) = (-1)^((m+abs(m))//2) sqrt(((2l+1))/(4pi) ((l-abs(m))!)/((l+abs(m))!)) 1/(2^ll!) times e^(im phi) (sin theta)^abs(m) d^(l + abs(m))/(d(cos theta)^(l + abs(m))) (cos^2 theta - 1)^l`
で定義され,`Y_(lm)^** = (-1)^m Y_(l-m)` という性質を持っている.

他の文献にある `Y_(lm)(theta, phi)` と微妙に使う気がする。

p.34 では、Young の図表ということばが出ている。今はヤング図形と呼ばれている。 なぜヤング図形なのかと驚いたが、 核子(陽子と中性子の総称)の性質を探るため対称性を手掛かりにする方法があり、 対称性=群論というつながりでヤング図形が出てくるのだろう。

p.89 にセニョリティという概念が出ている。スペイン語のセニョールからきているのかと思ったら、 seniority の読み方のようなのだ。

書誌情報

書 名岩波講座 現代物理学の基礎10 原子核論
著 者高木修二,丸森寿夫,河合光路
発行日1973 年 12 月 12 日 第1刷
発行元岩波書店
定 価1400 円(本体)
サイズA5版 584 ページ
ISBN
その他越谷市立図書館にて借りて読む

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MARUYAMA Satosi