岩波講座 現代物理学の基礎12 宇宙物理学

作成日:2021-10-25
最終更新日:

概要

序から引用する。

(前略)したがって,この書においては,原子核,素粒子, 一般相対論などに最も関連の深い天体現象を重点的に選び, これら粒子のミクロな反応過程とマクロな天体の進化過程との相互関連性を追求することによって, 宇宙現象の基礎を理解しようとする立場をとった.

本書は初版である。初版の目次と、 第2版の目次(ndlonline.ndl.go.jp) を比べると、初版には下記の節あるいは項がない。

また次の改変が行われている。

第1版

(前略)
§16.4 超新星に伴うX線 430
§16.5 2重星に伴うX線 432
§16.6 Sco X-1 436
§16.7 新星型X線源 441
§16.8 銀河系外のX線源 443
§16.9 広がった超銀河成分 447
§16.10 軟X線の広がった成分 451

第2版

(前略)
§16.4 超新星に伴うX線 460
§16.5 X線連星 463
§16.6 高温プラズマからのX線放射 468
§16.7 新星型X線源 474
§16.8 X線・γ線バースト 476
§16.9 銀河系外X線源 481
§16.10 広がった超銀河成分 484
§16.11 軟X線の広がった成分 488

感想

他の講座と同様、全く理解できなかった。私の頭が弱いのだから仕方がない。

3ページめから、いきなり困る。

(前略)太陽のまわりの地球の楕円軌道の長半径を1天文単位(AUと書く)という. 1 AU は 1.50 × 1018 cm = 251 `R_☉`(`R_☉` は太陽の半径 6.95 × 1010 cm を表わす) である.

CGS 単位系であることはさておき、☉ というのは何の記号だろうか。 太陽を表わす記号だということはわかったが、最初のページからこの体たらくでは、とても本書を読む資格などない。

もう少し先を読もう。pp.3-4 では次の記述がある:

恒星の間の平均距離は 1 pc の程度であるが,このような恒星の 1011 個の集団が円盤状に分布したものが,わが銀河である.

pc はパーセクと読み、恒星の距離を測る単位である。1 pc は 3.26 光年にあたる。 それにしてもわが銀河とは、なんという国粋主義、否銀河粋主義だろう。そんなことを思っていたら、 宇宙の単位には銀河があるわけで、私たちがいる太陽系を含む銀河のことをほかの銀河と区別したいがために、 単にわが銀河といっているに過ぎない、ということがわかった。なお、「わが銀河」の別の言い方としては、 「銀河系」あるいは「天の川銀河」がある。

さらに先を読もう。p.6 の記述を引き写す:

さらに数年前から,太陽中心での水素の核融合反応の際に放出されたニュートリノを地上で検出する努力がなされている.

この努力で有名なのはカミオカンデとかスーパーカミオカンデだろう。 この結果はニュートリノは検出できたが予想より少なかったので、その理由が考えられた。 太陽ニュートリノ問題で調べるとわかる。

同じく p.6 の記述を引き写す:

他方,1969 年には一般相対論で予言されていた重力波の検出に成功したという報告があって, 各国でこの検出が試みられている.大質量の天体の急激な運動に際に放出される重力波の検出は, 銀河の中心核の爆発的な現象などについて新しい乗法を提供するであろう.

1969 年の報告に関して多くの追試がなされたが、再度の検出には至っていない。 一方、大質量の天体の急激な運動に際に放出される重力波の検出については、 2016 年に初めて発表された。凄いことだ。

同じく p.9 の記述を引き写す:

太陽系の起源については,I. Kant(1755) や P. S. Laplace(1796) 以来, 数多くの考えが提出されてきた.

この Kant とは、哲学者のカントのことである。なお、Laplace は、 ラプラス変換などで知られる数学者のピエール=シモン・ラプラスのことだ。

書誌情報

書 名岩波講座 現代物理学の基礎12 宇宙物理学
著 者林忠四郎, 杉本大一郎, 佐藤文隆, 早川幸男, 伊藤謙哉, 蓬茨霊運霊運
発行日1973 年 5 月 12 日 第1刷
発行元岩波書店
定 価1400 円(本体)
サイズA5版 544 ページ
ISBN
その他越谷市立図書館にて借りて読む

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MARUYAMA Satosi