田丸 公美子:シモネッタのアマルコルド

作成日: 2014-06-29
最終更新日:

概要

副題は「イタリア語通訳狂想曲」。アマルコルド (amarcord) とは、「私は覚えている」という意味の、イタリアはロマーニャ地方の方言である。

感想

土屋先生を思い出す

田丸公美子さんの名前は、ロシア語通訳者の米原万里さんの本に数多く出てくる。 「イタリア通訳界の大横綱」と米原さんが呼ぶ田丸さんはどんな人なのだろうと思ったのが本書を借りてみたきっかけだった。 読んでみて、米原さんの本と同じく、面白い。

まず、文書に漂うリズム感が心地よい。これもイタリア語の影響なのだろうか。 たとえば、 p.64 に「悪夢の睡眠会議」という項がある。脳についての国際学術会議でのできごとである。 短縮された医学用語が頻出する会議のため、自由討論が始まると地獄が始まったという。 以下引用する。

通常、ニ十分交代で行う同時通訳も、この内容になると十分で脳の限界に達する。脳について訳すのは脳の激務だ。

この書き方は、笑う哲学者、土屋賢二さんの文章に通じる。

書誌情報

書 名シモネッタのアマルコルド
著 者田丸 公美子
発行日2011 年 6 月 20 日 第 1 版
発行元NHK 出版
定 価1200 円(本体)
サイズ
ISBN 978-4-14-035094-2
その他草加市立図書館にて借りて読む

まりんきょ学問所読んだ本の記録 > 田丸 公美子:シモネッタのアマルコルド


MARUYAMA Satosi