伊能忠敬の測量隊は、根府川から伊豆半島への測量へと向かった。数々の難関を突破し江戸に帰還した一隊は、 本州東海岸測量を示唆したところで幕となる。
ふつうは「あとがき」と称されている作者からの一言が、ここでは「お読みいただいた後に」という表題で付されている。 私はこれを読んでうなってしまった。 一つは、作者の井上ひさしの人生について、 そしてもう一つは伊能忠敬の生き方についてである。引用すると次の通りである。
忠敬先生は五十六歳から七十二歳までの十七年間、地球一周をはるかに超える距離を踏破してつくった伊能図は、 はっきりと開国を予測していた。
この年でこの偉業である。私など、 ぼんやり過ごしていて忠敬先生が歩みを始めた年にすでに到達してしまった。 まあ、いいや。井上ひさしが、この続編を書かずに亡くなったことは、本当に残念だ。
書 名 | 四千万歩の男(五) |
著 者 | 井上 ひさし |
発行日 | 1993 年 3 月 15 日第 1 刷 |
発行元 | 講談社(講談社文庫) |
定 価 | 757 円(本体) |
サイズ | |
ISBN | 4-06-185340-6 |
NDC |
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