戦後の歌謡曲の代表作を網羅する楽譜集である。外国民謡も含む。 メロディー、コードのほか、前奏、間奏、コード、オブリガート、リズムなども表記されている。 プロフェッショナル・ユースと書かれている。副題は「弾き語り歌謡のすべて」。
よくもこれだけ集めたものだ、というのが最初の印象である。1001とあるが、実際にはこれより多く 1200弱である。 1200弱と推定した理由は、 楽曲が掲載されているのが12ページから611ページまでの計600ページであり、原則1ページに2曲、上段・下段に楽曲が並べられていること。 ただし、 最後の1ページである611ページだけは上段のみで下段がないこと、 美空ひばりの「お祭りマンボ」だけが長いため1ページ1曲となっているからの2点である。
あとは個別の選曲基準である。「スーダラ節」はじめ、クレージーキャッツのコミックソングが一つもないのは、明らかにおかしい。 ほかにも選曲について言い出したらきりがないが、このへんでやめておこう。 自分で聞き取ってかけばいいだけの話だからである。
165ページ上段「母さんの歌」の作詞者、作曲者がともに「窪田恥」となっているが、 これは誤り。正しくは「窪田聡」。
それから、昭和40年代の歌謡曲で「白い蝶のサンバ」の作詞者が「井上かつを」であり、 「ある女の詩」の作詞者が「井上かつお」となっている。どちらが正しいのか。あるいは、同一人物が使い分けたのか、 さもなければ、別人なのか、不思議である。
291ページ下段「伊勢崎町ブルース」、 2段目に小音符で書かれている伴奏のオブリガートが(ドイツ音名で)"H-C-As-H-H-C-B-As" となっているが、正しくは"H-C-As-B-H-C-B-As"である。 記法としては4番目のシの音にフラットをつけBにして、 次の5番目の音でナチュラルをつけてHに戻すことをしなければならない。 以下同形のオブリガートも同様である。 もっとも、聞けばすぐに楽譜が誤っていることがわかる程度の、易しい問題である。
書 名 | 歌謡1001 |
著 者 | 鈴江 弘康(編) |
発行日 | 1991年4月10日(第37版) |
発行元 | 全音楽譜出版社 |
定 価 | 5300円(本体) |
サイズ | A4 |
ISBN | 4-11-773056-8 |
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