見積評価基準 |
作成日:2001-03-27 最終更新日: |
プログラムは未だに手工業の域を脱していない。 これは、製造業として遅れていることを表すように取られているが、 必ずしもそうではないだろう。手工業であることが問題ではないのは、 伝統芸能が示す通りだ。問題は、どれだけの質のものが、 どれだけの期間で、どれだけのお金をかければできるのかが、 容易につかめないところにある。
以前の大ボスは、土木事業に代表される公共事業をあげて説明していた。 曰く、土木事業は詳細な積算資料があり、工数の誤差、納期の誤差はごく少ない。 ソフトウェアも、土木事業のように詳細に見積もることができなければおかしい。
ソフトウェアが土木事業ほど詳細な積算ができない理由はいくつかある。 その中の問題に、 「個人がどれだけの時間にどれだけの質のものを作れるか」がわからないことがある。
他の人はどうか知らないが、私はいつもある仕事を安請け合いする癖がある。 おまけに時間の見積もりも甘い。2日でできる、といったことが5日かかり、 1週間でできるといったことが2週間になる。私はできの悪い応用物理の学生だったが、 相対性理論に関しては実行しているようだ。
冗談はともかく、誤った見積でコストが超過する例はおおい。もっとも、 真面目に見積った結果が上層部で否定され「もっと速く仕上げろ」と言われた結果、 やはり遅延することもある。これでは、プログラムにいくらかかるかわからない。
自分がどれだけの仕事をできるか、事前に精度を高く見積もるには、 パーソナル・ソフトウェア・プロセス(Personal Software Process, PSP) と呼ばれる仕組みを一度実行してみるといいかもしれない。 秒単位での記録から始め、 自分の仕事の予定と実績(割り込みの時刻、割り込まれた時間も含めて)、 仕事の見積と差違の分析など、厳しい修行が続く。 これをやりおおせると、仕事がうまくいくらしいのだが、どうだろうか。
ここで注意したいのは、自分の仕事は自分で見積もる、ということである。 リーダーから示されたものではない。 リーダーは部下の仕事量を見積もることができるだろうか? 私はいつもここで悩んできた。