初田直也、山口聖弘、吉川哲史、豊田優貴、松本健太郎、原将己、中村謙弘:実践 Rust プログラミング入門

概要

システムプログラミングのための言語である Rust の解説書。

実験

この本の題名は「実践 Rust プログラミング入門」である。本文を読むと、 このうちの「実践」および「プログラミング」やに重点が置かれていて、 「入門」の比重は軽い。パート 1 が入門篇で、ここで Rust の文法が駆け足で説明されている。

逆ポーランド記法の数式を計算するアプリケーション

p.146 以降で解説されている逆ポーランド記法の数式を計算するアプリケーションを作ってみた。 p.148 で紹介されているサードパーティー製クレート clap は、本書では 3.00-beta.1 が使われているが、 私が 2023/05/24 に clap を導入してみたら最新版は 4.3.0 だった。

ということは、clap の Builder パターンで記述された pp.148-149 のプログラムは、そのままでは動かないだろう。どんなエラーが出るだろうか。

> cargo run
（中略）
error[E0432]: unresolved import `clap::App`
--> src\main.rs:11:12
|
11 | use clap::{App, Arg};
| ^^^ no `App` in the root

error[E0599]: no function or associated item named `with_name` found for struct `Arg` in the current scope
--> src\main.rs:19:18
|
19 | Arg::with_name("formula_file")
| ^^^^^^^^^ function or associated item not found in `Arg`

error[E0599]: no function or associated item named `with_name` found for struct `Arg` in the current scope
--> src\main.rs:26:18
|
26 | Arg::with_name("verbose")
| ^^^^^^^^^ function or associated item not found in `Arg`

Some errors have detailed explanations: E0432, E0599.
For more information about an error, try `rustc --explain E0432`.
（後略）

ではこうしよう。本書のサンプルプログラムは下記にあるので、それをもってきた。
https://github.com/forcia/rustbook/
ここの ch04/4-1/samplecli-builder/src/main.rs に差し替えた。 こんどはどうか。

> cargo run
（中略）
error[E0432]: unresolved import `clap::App`
--> src\main.rs:11:17
|
11 | use clap::{arg, App};
| ^^^ no `App` in the root

For more information about this error, try `rustc --explain E0432`.

https://docs.rs/clap/latest/clap/_tutorial/index.html
を見ると、use clap::{arg, App}; ではなく、use clap::{arg, Command}; とするようだ。だから、インスタンスを作るのも、App::new ではなく、Command::new を使うようだ。 こんどはどうか。

> cargo run
（中略）
error[E0599]: no method named `value_of` found for struct `ArgMatches` in the current scope
--> src\main.rs:22:19
|
22 | match matches.value_of("FILE") {
| ^^^^^^^^ method not found in `ArgMatches`

error[E0599]: no method named `is_present` found for struct `ArgMatches` in the current scope
--> src\main.rs:26:27
|
26 | let verbose = matches.is_present("verbose");
| ^^^^^^^^^^ help: there is a method with a similar name: `args_present`
（後略）

ここまで来てあきらめた。Builder パターンで記述する方法とは別に、本書では derive マクロを使った記述方法も解説されている。 それに、下記の clap のチュートリアルを見ても、
https://docs.rs/clap/latest/clap/_faq/index.html#when-should-i-use-the-builder-vs-derive-apis
When should I use the builder vs derive APIs? という問に対して、 Our default answer is to use the Derive API: という答がある。derive マクロを使う方法がよさそうだ。

そこで、ここの ch04/4-1/samplecli-derivemacro/src/main.rsに差し替えた。

> cargo run
（中略）
error: cannot find derive macro `Parser` in this scope
--> src\main.rs:13:10
|
13 | #[derive(Parser, Debug)]
| ^^^^^^
|
note: `Parser` is imported here, but it is only a trait, without a derive macro
（後略）

> cargo add clap
としたのがよくなかったようだ。
https://docs.rs/clap/latest/clap/index.html#example
によれば、
> cargo add clap --features derive
とすべきだった。今からでも遅くないだろう。上記のように --features derive を指定した。こんどはどうか。

エラーが出なかった。万歳。clap に関しては以下も本書にある通りの結果が得られた。 しかし、肝心のアプリに関しては時間切れとなった。

書誌情報

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