人工知能学会(編):人工知能ハンドブック

作成日 : 2022-03-19
最終更新日:

概要

はしがきから引用する : 実用便覧的な AI のハンドブックとして知識の体系化を行うことが企画された. ハンドブックとしては,これらをどのような切口で切って読者に中身を見せるかが最大に重要な決定事項となる. (中略)AI の中核部は,これらの切口からほぼその全貌が見えると思う.

後悔

私は最初に入った会社でいろいろ問題を起こしていた。そんな中、親身になってくれる B さんという方がいた。 B さんは「知りたい分野があれば、まず古本屋に行ってその分野のハンドブックを買うといい。 古本屋なら新刊のハンドブックでも半値以下で買えて安い。そしてハンドブックを読めばその分野がわかる。」 ということで、その通り神保町に行っては半値のハンドブックを何冊も買った。 引っ越しで処分したものを除いて残っていたのは 2 冊だけだった。そのなかの 1 冊が数値解析ハンドブックで、 もう 1 冊がこの人工知能ハンドブックである。 数値解析ハンドブックのほうはけっこう読んだのだが、この人工知能ハンドブックのほうは読まずじまいだった。 人生の末期が近づいているのでこの本も処分しようと思っていまさらながら拾い読みをしてみた。 わからないだろうなと思っていたらやはりわからなかった。人工知能のごく一分野に携わっているときに、 もっとこのハンドブックを読んでおけばよかったと後悔している。

暗い歴史

序編の p.15 にはこんな記述がある。

過去の一部に暗い歴史をもつ人工知能の研究と開発が, その意義を一般社会に認められるようになったのは, なんといっても,知識工学という概念が生まれ, その裏づけによってエキスパートシステムの有用性が広く産業界に認知されるようになってからのことであろう.

暗い歴史とは何か、序編全体をざっと読んでもわからなかった。 ただ、医学でいう生体実験を行った、ということではないだろう。

論理

私は、人工知能の基礎は論理にあると思っている。というより、 論理をないがしろにしては技術が進歩しないと思うからだ。ただ、どんな論理が働くか、 というのは一筋縄ではいかぬ。私はいろいろ理不尽なことが世の中で起こるたび、 その世の中では理不尽なことが論理としてまかり通る論理があるのだと思うようにしていた。 現実を通すために論理を曲げるような倒錯した考えだが、それほど論理に固執していたのだ。 たとえば、上司から「この資料をあしたまでに作れ」と言われた。「自分の意見は述べる必要がありますか」 と言われて「その必要はない」と言われたのでその通りに作った資料を翌日出すと「お前の意見を述べろ」と言われた。 私は、なんと理不尽な上司だと思ったが反駁もせずその場は従った。その上司は健忘症だったのかもしれないし、 上司にとってはきのう言ったことはきょう打ち消して部下に命じることは当然だと思っていたかもしれない。 反駁するとうるさい上司はまずますうるさくなる。この恨みは消えないが、上司にも上司なりの論理があると思っていた。 脱線が過ぎた。要は矛盾を解決するようなうまい論理があるかと思ったが、 人間の(少なくともその上司の)論理を説明できる論理はなさそうだった。 それでも、様相論理、とくに時間論理という論理があることを知り、参考になった。

書誌情報

書名人工知能ハンドブック
著者人工知能学会(編)
発行日1990 年 1 月 30 日(第 1 版第 1 刷)
発行者オーム社
定価23,000 円(税別)
サイズB5 判
ISBN4-274-07542-7
その他現在は手元にない

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MARUYAMA Satosi