喜八は旅芸人の一座の座長である。興行に行った町には昔からの喜八の女と子供がいる。 旅芸人の一座にいる、座長の今の女がそれを知ることになる。
無声映画を初めて見ることになり、私は見続けられるか心配だったが、活動弁士の佐々木亜希子さんの芸が見事で、映画の世界に没入できた。 当時の無声映画の字幕は動画に重ね合わせる形ではなく、動画をほんの1、2秒遮断して文字だけの画面に切り替える手法なので驚いた。 しかし、考えてみればトーキーの外国映画を翻訳するわけではないからこれは当然の手法だろう。こういう手法は新鮮だった。
話の筋は私にもわかるもので、安堵した。私は世事に疎いし、複雑で濃厚な人間関係がわからないから、本作のようなわかりやすい人間関係がちょうどいい。 話の最後、主人公の喜八が上諏訪行の切符を買うが、上諏訪には何があるのだろうか、考えてしまった。とはいえ、考えるほどのことはないのかもしれない。
監督の小津安二郎は、本作をリメイクした「浮草」を作っていて、そのときの音楽をもとに生演奏が披露された。 贅沢な時間だった。
『浮草物語』 活弁シネマコンサート(waiplanning.jp)
記録。2024 年 9 月 27 日、北とぴあつつじホールで見る。
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