寄宿舎にやってきた教師は、生徒に合唱を教える。
最初、どこで紹介されたのだろうか。 行きたいと思って銀座のシネスイッチに行ったが、 並ばないと見られないということで、あきらめていた。 ところが、最寄り駅から2つ離れた松原団地駅(現 獨協大学前駅)の映画館で2週間だけ上映するというので、つれあいと行ってきた。 これはもう、ものすごくよかった。 たいていの映画は泣いてしまう私が言っても説得力がないが、 とにかく普通の映画の5倍は涙を流した。
合唱というのは、異様にエネルギーを使う。 私が合唱団に通っていた10年間、本当にそうだった。 それだけのエネルギーが、伝わってきた。 単に声が美しいというだけのものではなかった。
面白かったのは、「口角を上げる」とか「頭の中心線から声を出す」 というような仕草を、 合唱団の先生が示している場面であった。 これらは、私が合唱団にいたときも、指導者の先生が、 絶えず繰り返して、口を酸っぱくして教えていたことそのものだった。
最後近く、焼け落ちた宿舎を、不良の少年がタバコをくわえながら見る光景がある。 この光景はその後の筋では解決されない。 ひっかかりがある余韻を残して終わるこの映画は、 ショパンの前奏曲第23番ヘ長調の最後からの2番目の小節にある右手のEs音のようだ。 わかる人にしかわからない比喩で申し訳ない。(2005-05-29)。
もう一つ印象に残っているのが、悪役として描かれる校長が合唱を揶揄するシーンで、 その校長があたかも鳥の声のようなピーチクパーチクことばで機関銃のように喋り捲っていた。 私はここを聞いて、今にもジャヌカンの「鳥の歌」が始まるのではないかと思ったほどだ。
松原団地駅近くの映画館(東武松原シネマ)で見る。1・2のいずれかかは不明。
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