忘却力と検索力

作成日:2002-05-26
最終更新日:

1. 忘却力

情報技術が進歩して何が良くなっただろうか、と考えてみる。 下手な字を書かなくてもよくなった、というのが大きいかもしれない。 これに加えて、難しい字をいちいち辞書を引かずにすむ、ということもある。 今では、顰蹙だとか、憂鬱だとか、書くことができる。

今の人はコンピュータを使うようになったからか漢字が書けない、と詰る人がいる。 これはおかしい。コンピュータを使わない人でも、漢字は書けない。 漢字はアイコンのようなものだから(象形文字はとりもなおさずアイコンである)、 見ることによる識別能力には優れているが、書くには不向きな記号である。 日本語ワープロはできるべくしてできた道具だ。 漢字の書き方は忘れていいことだから忘れただけの話であり、識別さえできればかまわない。

漢字に限らず、計算を遂行する能力でもコンピュータにはかなわない。 人間は、その結果を判断することが求められている。 覚えること、記憶することに努力を注ぐ必要はない。 むしろ、必要ないことを積極的に忘れることは、 もしそのことで他の能力を増せるのならばよいのではないか。

2. 検索力

忘れてしまったらどうすればいいか。インターネットの場合には、 適当な検索エンジンに問いかければ、たいてい答が出てくる。たとえば、 google というエンジンがある。 ここの欄に適当なことばを書けば、それらしい情報を載せたページの候補が出てくる。 これを元にして調べていけばいい。google の場合は、検索した結果で最初に出ている情報ほど、 よりいろいろな個所からのリンクが張られている個所であり、 相対的に信用がおけるところと思っていいだろう。 なお、 google である特定の検索結果をトップに持っていくような仕掛けがあるかということについては、 短期的な特効薬はないと思うべきだ。 自分の得意分野、重点分野に絞ってページを充実・発展させることが、 他のサイトからリンクされることにつながり、結論として世の中に広まるといえる。

なお、同様の話題を以前、 「文と絵」という標題で、 同じく情報技術と経営について書いた一文で触れたことがある。 検索エンジンの具体的な例が google である。

また以上の忘却力と検索力についての上記文は、高林哲氏の下記の論考に大きく影響をうけている。
http://0xcc.net/unimag/1/

3. 実例

私の、この「まりんきょ学問所」は、 唯一の例外を除きどこからもリンクされていなかった。 ここでいう、唯一の例外とは、私の個人の趣味のページであった「まりんきょの部屋」からのリンクであった。 従って、当時は、google で「まりんきょ学問所」と入れてみると、 ヒットするのは「まりんきょ学問所」のページではなく、 「まりんきょの部屋」のページであた。 従って、この「まりんきょ学問所」のページはまだインターネット上の宣伝効果が全くない、 よくない例であった。

追記:その後「まりんきょの部屋」は廃止し、 「まりんきょ学問所」に一本化した。その後、 まりんきょ学問所へのリンクも増えたが、 以前として、まりんきょの部屋へのリンクも多くある。(2006-11-23)

一方、趣味に関する「まりんきょの部屋」のページのうち(これも「まりんきょ学問所」に統一)、 私が力を入れている 「 フォーレの部屋」のページ(フォーレとはフランスの作曲家)は、 内容を充実させると同時に徐々に各所に宣伝したので、 それなりに有名なページになったようだ。 google で「ガブリエル・フォーレ」と入れると、 この「フォーレの部屋」のページが最初に表示されることから実証されていると考える。 なお、「ガブリエル」というのはフォーレの名前であり、これを入れないと、 サッカーチームの名前であるヴァンフォーレとか、 ペンションの名前であるベルフォーレとかが先に出てくるので、 やむを得ないところではある。

4. その後の検索エンジン

2004年5月23日、「ガブリエル・フォーレ」の検索結果を見ると、 私の「フォーレの部屋」は2番になっていた。1番は Wikipedia である。 Wikipedia とは、Web 上の更新可能な百科事典である。これにはかなわない。

2006年11月23日、Googleで「ガブリエル・フォーレ」を検索した。 やはり1番は Wikipedia であった。 私のページが1番となるキーワードは「スプーナリズム」である。 (スプーナリズムとは、単語の前後で頭音が交替する現象)。

2012年3月31日、「スプーナリズム」を Google で検索すると、2番目になっていた。 一位は Wikipedia の「語音転換」である。 私の覚えでは、2006年以降すぐに、日本語 Wikipedia で語音転換のページができた。 その後、Wikipedia に一位を譲ったのだと思う。(2012-03-31)

2014年12月27日、「スプーナリズム」を Google で検索すると 3 番目になっていた。 一位は Wikipedia であるのは同じ、二位は atonal.fc2web.com にある個人のサイトの収集物件である。 スプーナリズムに限らず、このサイトで多くの言葉遊びを採取し論評しているので、 人気が出てきたのだろう(2014-12-27)。

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MARUYAMA Satosi