§253 命令法

作成日:2013-10-12
最終更新日:

内容

法(mood)とは、話し手である自分が、話す文の内容に対する自分の態度をいう。 動詞の形に対していうことが多い。

命令法はこの項で扱われる。動詞の形は原形である。主語の you は省略される。 ただし、強調のときは強勢をつけた you を最初に言う。

言語による違い

英語では、命令法、直接法、仮定法に分けられる。

エスペラントも同様である。命令法、直接法、仮定法がある。 命令法は動詞の語幹に -u を付ける。 直接法は動詞の語幹に -as (現在)、 -is (過去)、-os(未来)を付ける。 仮定法は動詞の語幹に -us を付ける。

古代ギリシア語ほか、一部の言語には希求法がある。願望法(がんぼうほう)ともいい、話者の願望自体を述べるときに用いる。

哲学者、土屋賢二の「人間は笑う葦である」(文春文庫)に収められている「内容勝負のスピーチ」というエッセイから【予餞会①】の冒頭を引用する。 当時、著者はお茶の水女子大学の教員であった。

ご卒業おめでとうございます。といっても、正式には卒業できるかどうかまだ決まっていません。こういうとき、 日本語の「おめでとう」に仮定法や希求法の形がないのが残念です。

さすが、ギリシア哲学を専攻していただけのことはある。

否定の命令

お菓子の乾燥剤にこう書かれている。

食べられません。

Don't eat.

これはわかる。もう一つの注意がある。

電子レンジ禁止

Don't microwave.

ということも、microwave で「チンする」のような動詞を表しているということなのだろうか。

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MARUYAMA Satosi