極私的関数解析:問題集

作成日:2013-01-23
最終更新日:

ヒルベルト空間

1

`H` を実 Hilbert 空間とし, `T` を `H` 上のコンパクト作用素とする. 任意の `x in H` に対して, `H` の点列 `{T^n x}_(n=1)^(oo)` が `n -> oo ` のとき `0` に弱収束しているとする. 以下の問に答えよ.

(i) 任意の `x in H` に対して, `H` の点列 `{T^n x}_(n=1)^(oo)` は `0` に強収束していることを示せ. (補足説明: (i) で強収束とは, `H` のノルムに関する収束を意味する.)

(ii) 作用素列 `{T^n}_(n=1)^(oo)` は `0` に作用素ノルムで収束していることを示せ.

2

`H` を可分 Hilbert 空間として,その内積を( , ) で表わす. `H` の完全正規直交系`{phi_k}_(k in NN)` を取り,`H` 上の関数列`{f_n}_(n in NN)` を
`f_n(x) = sum_(k=1)^n |"("x , phi_k")"|^2`
で定める.このとき,`H` 内の有界集合 `A` が相対コンパクトであることと, `{f_n}_(n in NN)` が `A` 上で一様収束することが同値であることを示せ.

バナッハ空間

1

`U, V , W` を実Banach 空間とし, `norm(*)_(U)` , `norm(*)_(V)` , `norm(*)_(W)` をそれぞれのノルムとする. 写像 `T : U × V -> W` は以下の条件(A), (B) をみたすとする.
(A) `u, u' in U, v, v' in V, alpha, beta in RR` ならば,
`T(alpha u + beta u', v) = alpha T(u, v) + beta T(u', v),`
`T(u, alpha v + beta v') = alpha T(u, v) + beta T(u, v').`
(B) `U, V` の点列 `{u_n}_(n=1)^(oo), {v_n}_(n=1)^(oo)` が, `lim_(n -> oo) u_n = u in U` ,`lim_(n -> oo) v_n = v in V` , `lim_(n -> oo) T(u_n, v_n) = w in W` をみたすならば,`T(u, v) = w` である.
このとき,ある定数 `M > 0` が存在して,任意の `u in U, v in V` に対して,
`norm(T (u, v)) >= M norm(u)_U norm(v)_V `
が成り立つことを示せ.

2

実Banach 空間 `L^1([0, 1])` から実Banach 空間 `L^1(R)` への作用素 `T` を次で定める:
` Tf(x) = int_0^1 K(x, y)f(y)dy .`
ここで `K` は `RR × [0, 1]` 上の実数値連続関数で,
`rho(x) = "sup"_(y in [0,1]) |``K(x, y)| `
と定めたとき `rho in L^1(RR)` を満たしているとする. このとき,`T` はコンパクト作用素であることを示せ.

直積空間

`X, Y` はそれぞれ内積`(*, *)_X, (*, *)_Y` をもつヒルベルト空間とする。このとき、 直積空間 `X xx Y` に内積を次の式で入れるとき、`X xx Y` はヒルベルト空間になることを示せ。

`(\ (x_1, y_1),(x_2, y_2)\ )_(X xx Y)= (x_1, x_2)_X + (y_1, y_2)_Y quad (x_1, x_2 in X, y_1, y_2, in Y)`

作用素

1

`RR` 上の複素数値可積分関数からなる関数空間 `L^1(RR)` における線形作用素 `T` を
`D(T) = {x(t) in L^1(RR) nn C^1(RR) | (dx)/(dt) in L^1(RR) }, `
`Tx = (dx)/(dt), quad x in D(T)`
で定める. このとき, 以下の設問に答えよ.

(1) `lambda in CC` が `Re(lambda) != 0` であれば, 作用素 `(lambda - T)` は連続な逆作用素を持つことを示せ.

(2) `lambda in CC` が `Re(lambda) = 0` であれば, 作用素 `(lambda - T)` は連続な逆作用素を持たないことを示せ.

2

`H = L^2("["0, 2"]")` とおき,`H` 上の線型作用素 `T` を,`f in H` に対して
`Tf(x) = int_0^x f(t)dt`
で定める.このとき,`I - T` は `H` から `H` への全単射写像であることを示せ. ただし,`I` は `H` 上の恒等作用素とする.

3

実数 `p > 0` を固定し,`[0, oo)` 上の二乗可積分函数全体の空間 `L^2[0, oo)` 上で, 次の作用素 `T` を考える.

`(Tf)(t) = int_0^1 exp(-tx^p)f(x) dx quad (f in L^2[0, oo); t > 0)`
このとき次の問に答えよ.
(1) `f in L^2[0, oo)` に対して `(Tf)(t)` は `t > 0` で連続であり,かつ
`lim_(t ->0) t^(1/2p) (Tf)(t) = 0`
であることを示せ.
(2) 作用素 `T` は `L^2[0, oo)` から`C_b[1, oo)` へのコンパクト作用素であることを示せ.ただし,`C_b[1;oo)` は
`norm(phi) = "sup"_(t in[1;oo)) abs(phi(t))`
をノルムとする`[1, oo)` 上の有界連続関数全体からなる Banach 空間とする.

正規直交系

`{sqrt(2) sin pi j t}_(j=1)^oo` は `L^2(0, 1)` で正規直交系をなすことを示せ。

数式記述

このページの数式はASCIIMathMLで記述している。 表示には MathJax を使っている。

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MARUYAMA Satosi