極私的関数解析:内積

作成日:2013-01-23
最終更新日:

内積の考え方

内積(interna produto, internal product)とは、 (平面を含む)空間におけるベクトルの角度を一般化した(抽象化した)概念である。

内積の定義

`X = L^2(a, b)` が実数値関数からなっているとき、`u in X ` と `v in X` の内積は次の式で定義される。
`(u, v) = int_a^b u(x)v(x)dx`

`X = L^2(a, b)` が複素数値関数からなっているとき、`u in X ` と `v in X` の内積は次の式で定義される。
`(u, v) = int_a^b u(x)bar(v)(x)dx`
ただし、`bar(v)(x)` は ` v(x)` の共役複素数である。

内積の表現

数学流では `(u, v)` であるが、物理流では `<u | v >` と表現する。 そして `<u |` をブラベクトル、`| v >` をケットベクトルと言う。 ブラ(bra)とケット(ket)を使うこの記述をブラ-ケット記法(bra-ket notation)という。ブラケットは角カッコである。 量子力学のときにこの定義を聞いて、ヤン坊マー坊天気予報みたいだ、と思った。 を参照してほしい。

内積の公理

`X` を実線形空間とするとき、`( , )` が `X` の内積であるとは、 任意の `u, v in X` について実数 `(u, v)` が定まり、任意の `u, v, w in X` および任意の `alpha, beta in RR` に対して次の内積の公理が成り立つことである。

  1. `(u, u) >= 0` かつ `(u, u) = 0 <=> 0`
  2. `(u , v) = (v, u)`
  3. `(alpha u + beta v, w) = alpha (u, w) + beta(u, w)`

3. は、第1成分に関して線形であることを意味している。2. と 3. から、次が成り立つ。

`(u, alpha v + beta w) = (alpha v + beta w, u) = alpha(u, v) + beta(u, v)`

つまり、第2成分に関しても線形である。

`X` を複素線形空間とするとき、`( , )` が `X` の内積であるとは、 任意の `u, v in X` について複素数 `(u, v)` が定まり、 任意の `u, v, w in X` および任意の `alpha, beta in CC` に対して次の内積の公理が成り立つことである。 なお、`bar(alpha)` は `alpha` の複素共役を表す。

  1. `AAu in X` に対して `(u, u) >= 0` かつ `(u, u) = 0 <=> 0`
  2. `AAu, v in X` に対して `(u , v) = bar(({:v, u:}))`
  3. `(alpha u + beta v, w) = alpha (u, w) + beta(u, w)`

3. は、第1成分に関して線形であることを意味している。2. と 3. から、次が成り立つ。

`(u, alpha v + beta w) = bar(({:alpha v + beta w, u:})) = bar(alpha(u, v) + beta(u, v)) = bar(alpha) (u, v) + bar( beta) (u, w)`

つまり、第2成分に関しては共役線形である。

数式記述

このページの数式は MathJax で記述している。

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MARUYAMA Satosi