極私的関数解析:集合

作成日:2017-06-09
最終更新日:

覚えられない集合の記号

集合(エスぺラント aro 、英語 set 、ドイツ語 Menge 、フランス語 ensemble)とは、モノの集まりである。 与えられた集合に対して、その集合を構成するモノを、元または要素(エスペラント elemento 、英語 element)と呼ぶ。 集合を表すには、要素を列挙して表す方式と、要素を条件で表す方式がある。 要素を列挙して表す方式としては、たとえば、`A = {1, 2, 3, 4, 5, 6, 7}` などがある。 要素を条件として表す方式としては、たとえば、`A = {x | P(x) }` などがある。

集合は、列挙の順序にはよらない。したがって、`{1, 2, 3, 4, 5, 6, 7} = {7, 6, 5, 4, 3, 2, 1} ` である。 また、要素を列挙して表す方式では、要素は重複させない。

要素と集合の関係は所属記号 ` in ` で表す。 ` x in A` で、`x` が 集合 `A` の要素であることを表す。 ` x !in A` で、`x` が 集合 `A` の要素でないことを表す。

2 つの集合から新たな集合を作る方法がある。

`A nn B`
`A` と `B` の共通部分。`A` と `B` の両方に属する要素全体の集合
`A uu B`
`A` と `B` の和集合。`A` と `B` の少なくとも一方に属する要素全体の集合
`A \\ B`
`A - B`
`A` と `B` の差集合。`A` に属するが `B` には属さない要素全体の集合
`A xx B`
`A` と `B` の直積集合。`A` の要素 `a` と `B` の要素 `b` の順序を持った対 `(a, b)` 全体の集合

全体集合と補集合

ある集合 `A` を考察しているときは、たいていその背後に `A` を含む一番大きな集合 `X` を想定している。このような `X` を全体集合と呼ぶことがある。 この場合、`X \\ A` を `A^C` と表し、`A` の (`X` に関する)補集合という。肩の `C` は英語で補集合の意味である complement から来ている。

補集合の記号としては、`A^C` のほか、`bar A` を使うこともある。 ただし、`bar A` は `A` の補集合を表すほかに、 `A` の閉包を表すこともある。また、複素共役を表すときも `bar A` の表記を使う。 これらは文脈で判断できるはずだ。

空集合

要素を一つも持たない集合を空集合といい、`O/` で表す。 `phi` とは別ものである。

集合どうしの関係

二つの集合 `A, B` の関係で、`A` が `B` の一部であるという関係を `A sub B` で表す。この場合、`A` と `B` は同じであってもよい。

二つの集合 `A, B` の関係で共通部分がないことを、`A nn B = O/` で表す。

ド・モルガンの法則

補集合については有名なド・モルガンの法則がある。 `(A uu B)^C = A^C nn B^C` , ` (A nn B)^C = A^C uu B^C`

ド・モルガンの法則は集合が無限にあっても成り立つ。

集合族

集合を要素とする集まり、つまり集合の集まりを考えることができる。 そのような集まりを単に集合というと紛らわしいので、特別に集合族 (エスペラント familio de aroj, 英語 family of sets) という。

ある集合 `S` にたいし、`S` の要素からなる部分集合すべてを集めてできる集合族を `S` のベキ集合といい、`2^S` と表す。

よく使われる集合族は、慣用としてスクリプト体やフラクトゥール体が用いられることがある。

集合族を表す方法に、要素としての集合にラベルをつける方法がある。 ラベルの文字としては慣用的に `lambda` を使う。 この `lambda` と、`lambda` の集合 `Lambda` を使って、 それぞれの `lambda in Lambda` でラベルづけされた集合族を `{A_lambda}_(lambda in Lambda)` として表す。

`Lambda` の実体となる集合はどんなものでもよい。有限集合でも、 可付番無限集合でも、可付番でない無限集合でもよい。

共通部分や和集合は、集合族に関してもよく用いられる。

`nnn_(lambda in Lambda) A_lambda : ` すべての `lambda in Lambda` に属するものの全体からなる集合
`uuu_(lambda in Lambda) A_lambda : ` 少なくとも一つの `lambda in Lambda` に属するものの全体からなる集合

記法の例

集合 `A_n` を `n in NN, a, b in RR ( a < b)` として次で定義する。
`A_n = (a - 1/n, b + 1/n)`
このとき、
`nnn_(n in N) A_n = [a, b]`
この式は「有限個の開集合の共通部分は開集合である」 という命題において、「有限個」という条件が重要であることの例として、 よく引き合いに出される。

ド・モルガンの法則の無限版

集合 `Lambda` の任意の要素 `lambda` に対して、 `X` の部分集合 `A_lambda` が与えられているとする。 このとき、次が成り立つことを示せ。

`(uuu_(lambda in Lambda)A_lambda)^C = nnn_(lambda in Lambda)A_lambda^C`
`(nnn_(lambda in Lambda)A_lambda)^C = uuu_(lambda in Lambda)A_lambda^C`

グラフ

数式記述

このページの数式は MathJax で記述している。

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MARUYAMA Satosi