IT'S FOLK AND SKIFFLE, MATE! / SKIFFLEDOG (TATTY RECORDS: TR1219)

1.Looking To The Sun 2.Run Run Run 3.For John 4.Wreck Of The Old '97 5.Working Class Hero 6.Probably 3rd Street 7.Diggin' My Potato 8.Peace 9.River Tyne 10.Ballad Of A Crystal Man

 2004年3月18日発売。ヒルトン・ヴァレンタイン、30数年振りのソロ・アルバム。

 全編アコースティック・ギターをフィーチャーした、穏やかなギター・アルバム。当時多くの少年達がロニー・ドネガンの影響でスキッフル・バンドを組んだように、ヒルトンもまた、出所は友人達と組んだスキッフル・バンドだったようだ。

 タイトルにもあるように、自分のルーツをじっくりと見つめ直した結果がこの心地よさに繋がったのだろう。語彙が少なくて申し訳ないのだが、ヒルトン本人が愛聴盤として取り上げていたJohn Faheyを思わせるようなサウンドだ。ドラムが入っているのは4,7、ベースも4,6,7,9に入っているだけで、残りはギター・インストと弾き語り。勝手な想像だけれども、ヒルトンはとても落ち着いていて、しかも楽しそうだ。聴く度に、僕も幸せな気持ちになる。

 曲目は、1,2,3,6,8,9が本人のオリジナル。4,7はトラッド、5はもちろんジョン・レノン、10はドノヴァンの曲。2,8.はファースト・アルバム、9.はプライヴェート盤としてリリースされたオムニバス、『A Letter Home』にも収録されていた作品。いずれも好感の持てる、落ち着いた演奏だ。最近のヒルトンのインタビューによると、そもそも70年にリリースされたファースト『All In Your Head』も、本人の意向としてはもっと素の、アコースティック・アルバムとしてリリースしたかったのだそうだ。その願いが、ここにきてようやく実現したのはファンとしても嬉しい限りだ(モットも、僕はファースト・ソロ作も非常に好きなのだが…それはそれ、これはこれ)。

 このアルバムが実現したのは、何と言っても現在ヒルトンのオフィシャル・サイト運営等を手がけている奥さん、ジャーメインさんの後押しが大きかったそうだ。これぞまさしく、内助の功と言わずして何ぞや。ブックレットには、ヒルトンが最初に組んだというバンド、Heppers時代の写真ほか、二人の参加ミュージシャンに加えて茶目っ気たっぷりに微笑むジャーメインさんの写真も掲載されている。

 この素晴らしいアルバムで復帰してくれたヒルトンと、それを実現させたジャーメインさんに、心から感謝したい。ありがとう!

HILTON VALENTINE

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