この辺は波が高く、泳いでいる人は殆どいなかった。代わりにビーチバレーのコートが何面もあった。確か遊泳禁止だったはずだが、その看板はなかった。「おととしまでは泳いじゃいけなかったんだ」と帰りがけにふと会話が聞こてえて納得した。制服姿の高校生のカップルが浜辺を歩いていた。微妙な距離を保って、並んで歩いていた。
風が強かった。水平線はゆるく丸く 見えた。海は曖昧なものなど拒絶するような強さに満ちていた。それが本当の海なのだ。