きままに
日々思うこと、いろいろを思いつくまま・・・

121 2002.5.15 カー君が逝った日

2. 容体急変

ストレス、という言葉に思い当たらないでもない。カー君の飼育ケージを3階建てのハムスターハウスにしてから掃除がやっかいになり、ついつい滞りがちになっていた。

ハムスターの世話は子供の役目でもあったから、あまり口出しはしないようにしていたが、見栄えの良いハウスの構造はやっかいで、子供だけで分解して掃除するのは結構面倒な作業だった。

後にハムスターの病気についてのHPで読んだのだが、そういったハウスはハムスターが隠れる場所が寝床しかなく、ついつい寝床で排泄したり、エサを運び込んだりしてしまうのだという。

本来、ハムスターに一番良いのはショップで入っていたようなプラケースにぎっしりと敷き材が入っただけのシンプルなもの。それだと寝床もトイレもハムスター自身が決める。穴を掘って潜むのが大好きなハムスターにとって、一面隠れ家状態が一番安心出来る環境なのだろう。

確かに、カー君の寝床はエサの貯蔵もトイレも「何でもアリ」の不衛生な状態にあった。思い切ってもとのプラケースに戻し、敷き材もアレルギーやダニの心配が無い牧草に変えた。カー君は喜んで早速牧草の中にトンネルを掘ったり、入れてやった寝床とケースの間に挟まって眠ったりと、すっかり新しい家が気に入ったようだった。

しかし、ハゲはどんどん拡がっていった。お腹から脇腹、足、顔へと毎日進行していった。むき出しになった肌に牧草が刺激になるのだろう、しきりに引っ掻くようにもなり、巣材に入れたティッシュの切れ端に血が付き始めた。

たまらず再度受診。かさぶたがまだ赤く生々しい体を診察しながら、先生は言った。

「老齢だし、この小さな体ですから、ステロイドの薬を塗って一時は良くなっても脱毛は治らないでしょうし、強い薬の副作用で抵抗力が落ちるのが心配です。炎症を起こしているので抗生剤は出しますが・・・」

先生は「お役に立てなくてすみません」とポツリと言った。あとは見守ってやるしかない、カー君に残された時間を少しでも苦しくないように、ということなのだ。

翌日から、カー君の動きが何だかおかしくなった。ぎこちないその動きは、だんだんに後足が麻痺し始め、前足だけで体をひきずるようになっていった。

これがハムスターの老後なのだろうか。体が小さいから、寿命に近いから、仕方のないことなのだろうか。しかし、その姿はあまりに痛々しい。数日後、片目が濡れたような状態になり、開き方がおかしくなっていた。愛らしいハムスターの、これが年老いて仕方のない姿なのだろうか。

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