森の恵みと沢にひたるツアー |
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ムダを廃することを真剣に考えている民主党新政権に対し、作ることそのものを目的としてきた砂防ダムの見直しを訴えた。災害を防ぐには、ダムを作るのではなく、危ないところを利用しないこと。土砂を食い止めるにはダム新設よりも既設ダムのスリット化の方が安くて効果的なこと(が多いこと)。水と緑の会、渓流保護ネットワークが呼びかけ、15団体が賛同。計17団体名で申し入れた。(各団体の連絡先はここには県・市レベルまでしか掲載していない) ----------------------------------------- 砂防・治山政策の抜本的見直しのための申し入れ書 2009年10月19日 行政刷新大臣 仙谷由人 様 このたびの政権交代を私たち環境保護市民団体としては大変うれしく思っております。やっと情報公開のもとで、市民参加型の議論ができる時代が来たと心強く感じております。ムダな事業、必要な事業の選択基準を作るための場の設定を期待しております。 今回の申し入れは、砂防・治山行政の抜本的見直しをお願いするためのものです。長野県において、例年の砂防工事箇所(治山は含まず)は40箇所前後ですが、今年度は110箇所くらいに増加しております。これは現知事の考え方と前政権の補正予算の前倒しを想定した駆け込工事が行なわれている現状を示しています。 ご存知の通り、砂防事業は明治時代から現在にかけて約100年間、膨大な時間と予算を使って行なわれてきています。ここ数十年間でも毎年3〜6千億円前後のお金が投入されてきまた。しかし、その平均砂防整備率は僅か20%くらいです(砂防行政の問題点4参照)。この整備率の実態の中で土砂災害危険箇所数(土石流危険渓流183.863渓流、地すべり危険箇所11.288箇所、急傾斜地崩壊危険箇所33.156箇所)がたくさんあるということです。仮に整備率100%になるようにこれら全てに施設(ハード)を造るとすれば、数百兆円と膨大な時間が必要となります。このやり方は明らかに現実的でなく、財政の厳しい現状で防災をハードに頼ることの限界を示しています。 本来ならば土砂災害防止法の理念にあるように、土砂災害の起こる場所はほぼ決まっており、ハードの限界を前提にした考え方で、その危険場所の土地利用を考えることが最も現実的な対応といえます。しかし、こちらの政策には予算が付きにくいのが実情です。 流出土砂量の想定が難しい中で、私たちの提案している「砂防ダムの新設を止め既存ダムのスリット化改修の進め」(砂防行政の問題点5参照)は、縮財政的に優れた効果を発揮します。 長野県大町市で実施されている例では、同じ大きさ(貯砂量)のダムの場合、スリットダム新設(高さ13m、幅140m、付け替え道路など含め)に14億円がかかりました。これに対し既存ダムにスリットを開けた場合(高さ14m、幅150m、スリット幅2m、高さ3m×2個で4千万円)、スリット高さを下まで持っていけば約1億6千万円であり、ダム新設に比べ約1/10 の費用ですみます。同じ機能を持たせるのにこれだけの費用差が出るということです。しかも既に造られてしまった砂防ダムは全国に8万6千基超あります(治山ダムは含まず)。これらのダムを利用した既存砂防ダムのスリット化を進めれば積算予算の大幅削減につながり、また砂防ダム効果を高められます。ちなみに国土交通省飯豊山系砂防事務所管内では、既存ダムのスリット化が21基行なわれています。 従来の砂防行政は、古い砂防工学の一部の理論だけに基づき、砂防施設を入れることだけで解決しようとしました。これは理論的にも欠陥が多く、経済的にも不可能なのは先に述べたとおりです。 むしろ山腹際が崩れる、谷の出口が土石流の通り道であるという当たり前のことを重視すれば対策は立てやすくなります。2002年に成立した土砂災害防止法はこの問題をかなり解決する内容を含んでいます。 様々な問題を含む今までの砂防・治山行政の見直しが、無駄な公共事業の削減につながっていきます。 以下に砂防行政の問題点を列挙します。概論ですので具体例として長野県梓川支流の霞沢を例に考えて見ます。 砂防行政の問題点 1、川環境を壊す 全国にはたくさんの河川渓流があります。松本市の多くの沢や河川には、すでにいくつもの砂防施設が建設され、美しい自然渓流景観や環境が損なわれております。全国的に見ても同様なことがおこっており、お金をかけて美しい環境を壊しているのが現状です。川の連続性を妨げる堰堤(ダム)は、川環境とその流域の生態系を壊す最大の人工物です。 2、情報が公開されていない 松本砂防事務所による霞沢砂防ダム建設の場合の理由は、100年に1度の雨(雨量は答えていない)で、流域から出る土砂量が20万立米になる可能性があり、この土砂が梓川本流を塞ぎダム化した場合、沢渡地域が水に浸かる危険性があるからだということです。これを防ぐため新砂防ダム建設によって8万立米の土砂を制御しダム化を防ぐというものです。本来はこの理屈を説明するために様々な数字の根拠を示さなければならないのですがそれもありません(まだ上からの許可が得られていないとか)。ただ計画流出土砂量の算定は、霞沢流域面積に土砂流出係数を掛けたものを使っているとのことで、必ずしも流域の調査をきちんとやって流出量を決めていないのが現状です。 3、想定土砂量を決める方法に課題が多い この流出土砂量に関しては、砂防全般にいえることですが、土砂流出量を算定することは非常に難しく、想定できていないのが現在の科学水準です。本来ならモニタリング(継続的な観測)をすることで検証していかなければならないのですが、まだ十分な体制ができていないのが現状です。当然霞沢では行なわれていません。想定流出土砂量を正確に推定できない中でダムの大きさが決まっており、それが安全になるということ自体矛盾しています。ダム=安全にはつながらないということです。 4、ハードに依存する問題点 防災に関して一般論でいえば、仮に流出土砂量の想定が確かなものであるならば、防災対策はかなり容易になるはずです。つまりハードの足りない地域では、砂防ダムを建設するか、土砂災害防止法の理念にあるようにハードの限界を前提にした土地利用の規制(移転を含めた)をしていくしかありません。明治時代から100年余り、膨大な時間と予算をつぎ込んできたにもかかわらず砂防整備率の全国平均は20%くらいです。この数字の意味するところは、毎年日本のどこかに梅雨前線や台風が近づけば、必ずといってよいほど土砂災害が起こるという現実を示しているということです。つまり膨大な予算と時間を費やしてきたハードによって災害を防ぐことの限界を示しているということです。仮に整備率を40%に上げるには、今までと同じように予算と時間をかけたとしてもおおよそ100年かかります。コンクリートの寿命は50〜100年だといわれていますが、100年後には寿命がきて壊れるダムがあるため相殺され、相変わらず20%くらいの整備率という数字が残ります。この数字の意味する実態を現実のものとして防災を考えることが妥当だという結果になります。 5、ダム新設を止め既存ダムのスリット化推進の利点 私たちの代替案にある既存ダムのスリット化は、土砂調節量の大幅な増加を得られ、ダム新設費用と比べ建設費の大幅な削減に繋がります。今までに全国に造られた砂防ダムは8万6千基超あまり(治山ダムは含まず)、ダム新設を止めこれらの既存ダムのスリット化を実行すれば、積算予算は大幅に削減でき、整備率は上がります。また砂防事業は継続されてもいきます。 またスリットの深さにもよりますが、下流との落差が解消されやすく流れの連続性の復活が可能になります。ダム内に溜まった土砂が減少し渓流景観の復活にもつながります。 今までのようなクローズ型ダムでは土砂が溜まったままであり、万ヶ一コンクリートの寿命などでダムが崩壊すれば、それだけで土砂災害につながってしまいます。スリット型は、土砂を自然に放出するため決壊時のリスクを下げます。(治山ダムの場合、4年間に769基が壊れたという報告もあります。) 現在、川の中下流、海岸線では、上流からの土砂供給不足により、堤防、橋脚下部、海岸線などが浸食され大きな問題になっております。適正な土砂供給が、下流部の土木工事予算の軽減につながります。なお治山ダムは、現場だけの対症療法という狭い視野の位置づけしかなく、源頭部から海岸線までの間で起きている、積極的な土砂供給をすべき時期での諸問題に対応できていないという、縦割り行政の欠陥が顕著に現れています。 6、机上の論理は現場の特性を見落とす 霞沢に例をとれば、机上の計算だけでダム建設が決定されています。それは松本砂防事務所宛の要望書にもあるように、地形的に備わった狭窄部が砂防ダムと同等以上の土砂を調節しているにもかかわらず、このことが考慮されていません(資料、霞沢砂防建設現場見学会報告参照)。流域平均(流域面積×流出係数)から算出した土砂量をもって新設ダムの機能を考えているだけのため、ダム地点の上下流に起きている土砂生産の現場状況すら把握できていないのが現状です。今のままで建設が進めば、ダムの役割どころかその前後の環境をも大幅に壊すことにつながります。つまり足を使った流域調査をほとんどしていないため、ダム建設ありきの結論がでてきてしまいます。 7、開発計画と砂防のつながりの問題 霞沢砂防ダム建設の場合は、上高地周辺の観光開発と密接な関係があり、土砂災害防止法の理念にある「危険地帯での土地利用制限を進める」ことを善しとしない不純な流れがあります。そのため砂防ダム建設根拠となる様々な数字の公開や説明がほとんどありません。なお説明責任を避けるための嘘すら言う始末です(環境調査の公開を要求したのですが、県の指導によってできないという回答を得た後、県に確かめたところそのような事実はないということが判明しました)。危険地帯の土地利用に関しては、土砂災害防止法に基づき、国が指導しなくてはならないのですが、「情報を与えるが、その利用に関しては地域に任せる」などの発言まで出ています。起こるべきして起きた災害例を使って、ハードのための予算を獲得するという悪循環が生まれています。 共催団体名(到着順) 環境共育を考える会 代表世話人 松原 学 前原市 株式会社ロシナンテ社 代表取締役 四方哲 京都市 九州住民ネットワーク 事務局長 原 豊典 福岡市 球磨川からすべてのダムを無くして鮎の大群を呼び戻す会 共同代表 原 豊典 福岡市 リバーポリシーネットワーク 代表者 太田勝之 大阪市 浅川・千曲川等治水対策会議 会長 中沢勇 長野市 環境会議・諏訪 会長 塩原俊 〒392-0027 長野県諏訪市 環境行政改革フォーラム 代表幹事 青山貞一 〒142-0064 東京都品川区 松倉川を考える会 会長 小鳥二郎 函館市 事務局(有)自然倶楽部内 日本勤労者山岳連盟 理事長 斉藤義孝 東京都新宿区 海部の自然に学ぶ会 山崎浩二 〒775-0414 徳島県 あづみの道草あかとんぼの会 代表 及川 稜乙 長野県大町市 長野県勤労者山岳連盟 会長 関 昌憲 長野県長野市 公共事業と災害を考える会 代表 内山卓郎 長野県長野市 ペンギン隊 代表 荻野典夫 宇都宮市 水と緑の会 会長 常田長時 長野県松本市 渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える 代表 田口康夫 長野県松本市 連絡先:田口康夫 |