ドミニクは白地に黒のぶち模様の子ネコ、パルフォはまっ白なおじ
さんネコでした。
「ルーニャ、これからよろしく」
「こちらこそ」
パルフォじいさんは、大きな暖かい手でルーニャと握手をしてくれ
ました。
「おう、おれもよろしくな」
「こちら……」
ドミニクと握手をしたとたん、ルーニャは手にチクッと痛みを感じ
ました。ドミニクの手には画びょうがかくしてあったのです。
しかしルーニャはそれをだまっていました。そこへドアが開いて、
だれかが入ってきました。
「ルーニャ、いっしょの部屋で暮らすシニファンです」
ルーニャはシニファンを見ると、ほほがまっ赤になりました。こ
れからあこがれのシニファンといっしょに暮らせるなんて、夢のよう
です。
「シニファン、よろしく」
シニファンは何もいわずにこくっと頭をさげて、ルーニャと握手を
しました。
「さて、パルフォとルーニャは夕食が終わったあと、もう一度この部
屋にきてください。あとシニファンは夕食まで、ルーニャに学校のこ
とをいろいろ教えてあげてくださいね」
ミルドラ校長先生はわた菓子のようにほほえみながら、そういいま
した。ルーニャたちは校長先生に礼をすると校長室を出て行きます。
「ではわしとドミニクは、夕食の配膳係なのでまたあとでな」
パルフォじいさんとドミニクはルーニャたちと反対の方向へ歩いて
行きました。
音楽学校の長い長いろうかで、なにも話さない早足のシニファンの
後を、大きなボストンバックを持ったルーニャはいっしょうけんめい
ついていきます。