代表幹事の部屋 (事務局長の小部屋・改題)


No.22 <2010年4月2日> 
  我が新雑文 My New Literary Miscellany <2>

※前号に続き、木村代表が発行されている「我が新雑文 My New Literary Miscellany」より。なお、文中で引用されている他の方の私信については、HP転載に当ってお名前をイニシャル表記したことをお断りいたします。(管理人)

はじめに

  「…ご返事くださるに及びません…」と追記したのに、何人もの方から御丁寧なお手紙を頂戴し、恐縮しています。行き損なった展覧会絵はがきの裏、いや表にペンで、葉書にPCでギッシリ打って、或いは封書にすらすらと―本当に友人というのは有り難く、感謝感激です。夏ごろと言わず、花が散る前後には、なにらかのコンタクトをせねば、と言う気になりました。十分検討しないまま、「我が新雑文〈2〉」をお届けします。今後も同じに、というお約束は出来ません。何せ明日をも知れぬ老体を鞭打っているのですから。

77歳にして77回

  表紙が黒または赤で様々な大きさのパスポートが数冊。有効期間の最長が10年、それぞれに外国との出入国が記録されている。数えたら、44年間(1965−2009年)77回とでた。

 思い起こすと、初回が出張命令による6か月の欧州行き、それから20年近く後の短期出張(公的団体随行)。この2回を除く75回は私的旅行だから、休暇願(後は休暇届)を提出したのが38回、同手続きが不要になった退職後が37回だ。前者は66年から92年3月の27年余りだから年に平均して1.4回、後者ほ同年4月から18年間で年平均2.0回となる。

 役人の有給休暇は年20日で年末に残せば翌年に操り越せる。溜まれば年初に使えるのが40日。十分すぎるといって差し支えない。闘い取った権利を捨てる同僚の気が知れぬ。

 主な出国先は英国が40回近く、英国を除く欧州が約10回、アフリカが3回、アジア10回近く、豪州および近辺数回、サイパン数回、メキシコ2回など(アメリカは無し、いや正確に言うと、ハワイ経由2−3回で数時間)。目的は2回の公用を除いて、趣味の天文・音楽・英語、または単なる観光。前者の前半は日食か中心だったが、後半はハーシェル協会関連の天文史に力を入れた。協会経費を捻り出して300ページを越す概史を出版して同会を卒業した昨今は全くのフリー、孫娘が本格的に異国で勉強を始めれば、ガイド・ヘルパーの助けを借りて一度は覗いて来よう。幕引きが88歳88回目というようにきりよい筈はないけど。

 外国旅行といえばヒマと並んで必要なのがカネ。強制労働の対価としての定期収入以外は僅かばかりの原稿料と講演料講師料。これらは無い頭を絞って流した汗の結晶だ。株・遺産など不労所得はゼロということだけは断言できる(どこかの首相や政党幹事長とは正反対)。前にも書いたが、飲まなければ又は贅沢しなければ、数月に一度の旅行費用は捻り出せるもの。あの世に持ち込めぬような買物をしないことも鉄則といえよう。

 省みれば、イショユイゴン代わりの5年を懸けた自費出版は区切りがついた。同上協会編の分厚い概史2冊と合わせて、10冊を越える。思い残すことはなし。あとは暇に飽かせて、この雑文の様なものをポチポチ打てれば、加えることなし。いずれは打った儘の拙文が陽の目をみることなく WPの中で朽ちることだろうか。本望というべきか。(2010.4.1.)

ローヤル・オペラ&バレー・ガラコンサートをVTRでどうぞ!

 (以下、「月刊 名曲散歩」2002年ごろより)

  「本紙三七○号の囲みに、再開したロンドンはコヴェント・ガーデンの表記コンサートを録画した方、お願い、と書いたら、総会のあと一巻のVTRテープを項戴した。昨年夏、お嬢さん二人共々ルクセンブルグに皆既日食を見に御一緒した旧知のFさんである。収録は2月11日朝8時、衛星第2テレビ。コヴェント・ガーデンの別名で知られるオペラとバレーの殿堂、ローヤルオペラ・ハウスが、大塊模な改修構想発表から20年、各方面からの論争と、2年有余の工事を終え、無事にオープンしたのは昨年12月初日のこと。当日は、エリザベス女王とエディンバラ公はもとより、皇太后とマーガレット王女、サッチャー、ヒースら元首相も来賓席に姿を見せた。このホールは、『十九世紀の華麗な歌劇場に超近代的空間が加わり、全く新しい表情を見せてくれて…』との説明に、期待がふくらむ。  ガラ・コンサートの第一部は、王立歌劇場管弦楽団が舞台に登場し、音楽監督を勤めるベルナルト・ハイティングの指揮で、英国国歌の後、ウエーバー作曲オペラ「オベロン」序曲が鳴り響く。二曲目は、ワーグナー作「ワルキューレ」第一幕第三場フィナーレの愛の二重唱。ジークリンデが 最近ワーグナー歌手といわれるデボラ・ポラスキー(ソプラノ)、ジークムントがフラシド・ドミンゴ(テノール)の登場である。ドミンゴは、このオペラ・ハウスでも、30年前の「トスカ」以来の馴染みという。兄妹とは知らずに育った二人は恋に落ちる。「結婚式の私は略奪されてきた花嫁でした。神聖なる愛しい人が現れれば―」「貴女こそ私の求める人―貴女を抱きしめ、鼓動をじかに感じましょう。二人を隔てるものはない」。結びは、ベートーヴェン唯一のオペラ「フィデリオ」から。合唱団プラス数人の独唱者が舞台に並ぶ。

 第二部は、バレーの名場面集である。指揮はアンソニー・ダウエル。過去の名舞踊手たちをフィルムで紹介したあとチャイコフスキの「眠りの美女」、フランク作曲「シンフォニ・ヴァリエーション」、プロコフィエフ作「シンデレラ」、チャイコフスキー「アンペリアル」、グラズノフ「誕生日の贈り物」から。さらに「リーズの結婚」、ミンクスなどが続く。吉田都が一度ならず、三度も登場したことは、特筆されて良い。  優れた画質と音質。Fさんに確かめると、オリジナルという。私するに惜しい。ぜひ回読、いや回聴せねば―是非お声を!」                        

あとがき

 僅かB5 2ページの雑文に「後書き」とは仰々し過ぎます。本人が言うことだから間違いないでしょう。以下はどうでも宜しいことです。

 以前、パスポートを手元に置いたのに、キチンとは数えることなく、約40回の外国行き、うちイギリス20何回か、と書いたことがあります。77回とは驚き。今度も訪英回数は数えたわけでなく全くの勘です。「40回近く」ではなく、20−40回とすれば正しいでしょう。

 誤解を恐れずにいえば、国内に比べて外国行きは安いのです。1週間程度の英国旅行はJTBなどの正規のツアを買いましたが、現地払いの一流ホテルの宿泊と食事を加えて20万円以下。その秘密は、総ての行動で現地語を使って済ます、ということでしょうか。

 次はどうでも良いことでなく“…雑文〈1〉”を機にお葉書を下さった内容の紹介、いや原寸コピーで全文をお届けします。今回はお二人に留めましたが、他にも公にいたしたいお手紙が沢山あります。お知恵をお借りしたいのです―。

 @MTさん(千葉県松戸市在住、3月16日受)

 桜の便りも各地から聞こえてこようという季節になりました。とはいえ時折は肌を刺すような氷雨に見舞われることもあり“名のみの春”を実感させられる今日この頃です。木村さんには時折お電話で元気な声を聞かせてくださったり、先日は決して“雑文”とは言えぬ「書き散らしの雑文集」や「我が新雑文(1)」をお送りいただくなど、お元気な様子を窺い知ることが出来たようで大変うれしく思いました。音楽に関することや、ハーシェル協会に関すること、また、イギリスに関することなど、それぞれの分野での木村さんの造詣の深さに、ただただ恐れ入っています。心からの敬意を込めてお礼申し上げますし、これからの“雑文”にも大いに期待させていただきます。さて、ポイ派かキチン派かとの問いかけがありましたが、私は郵便料金の如何に拘わらず、いただいた便りは読み捨てに出来ずつい乱雑に手元に置いています。
 話は変わりますが、ひと足早く春の花を愛でようと急に思い立って、家内と二人南房総の方へ行ってまいりました。野島崎の灯台にも寄りましたが、かつて木村さんにご尽力いただいてハレー彗星を観に来たことを改めて思い出し、家内にも話してやりました。

AHKさん(北海道小樽市在住、3月20日受)

 3月も中旬になると、当地では雪と氷相手の作業が続きます。放置しておいてもいずれ解けるのですが、毎日労働をしています。桜の咲く頃迄には何とかしたいのですが。
 「我が新雑文〈1〉」拝受いたしました(3/15)。英国がポンドの切り下げと時刻の改正をこころみたとは知りませんでした。そして現在又元に戻してしまったとは、面白い国だなあと感じたところです。
 木村さんは社会福祉の方の御専門でいらっしゃいますが、現鳩山政権をどう見ておいででしょうか。友愛精神というのも内容が今ひとつわからない…
 どうかお元気で。そしてありがとうございました。

 @は、文京区の公務員時代から交流のあるお仲間で、数少ない友人の一人。職員組合の代表などを長年勤められた。クラシック音楽など幅のひろい趣味も。

 Aは、中央アジアでの日食とロシア天文施設視察旅行のルームメートで北海大学数授だった天文仲間のHさんのお嬢さん。教授と英国視察旅行もされた。Aによる筆者の木村は社会福祉の方の専門…というのは事実に相違します。しがない小役人にすぎず、英国の社会制度のひとつ、social serviceを少々齧った程度の知識をひけらかしたのが、誤解されたのでしょう。伝統と歴史のある異国の福祉をきちんと知りたいという願望を満たすには、遅すぎたのです。


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