代表幹事の部屋 (事務局長の小部屋・改題)


No.21 <2010年3月11日> 
  我が新雑文 My New Literary Miscellany <1>

※以下は、木村代表が発行されている「我が新雑文 My New Literary Miscellany」からの転載です。既読の方もいらっしゃるかもしれませんが、日本ハーシェル協会への思い、英国随筆、近況報告等、多彩な内容が綴られたお便りを、広く協会員の方にお届けします。(管理人)

はじめに

 寄る年波に、一戸建てから集合住宅への転居を考えたのは、何年前だったか。娘一家の独立に合わせて、練馬区に4LDKを借りたまま、これを空き家同然に放置すること数年、大企業の暴挙(200メートル南側に30階マンションの建築)に嫌気がさし、引越しとガラクタ整理の実行に踏み切った。イショユイゴン代わりに始めた自費的出版と相前後して、近隣の地下鉄終着駅から2分の小3LDKに転居、“出版”は、十回目の「書き散らしの雑文集(3)」(2010年1月)で了。

 今年春からは、お手紙の交流のある方だけを対象に、郵便書簡による新雑文の押し渡しをスタートする。内容と経費は百分の一程度、頻度は同じ(年2回程度)の積り。これなら経済的に問題なし。受け取った方は、郵便受けに入る特売品のチラシなどと同様に、読み捨てて下さい。又〈2〉が1年以内に届かなければ、永久に届かないとお考え下さい。

日本ハーシェル協会の役員交代と機関紙

  今、手元に「WEBだより 第7号」というA4判で24ページの写真版が入った印刷物がある。裏を返すと、発行・日本ハーシェル協会、制作・角田玉青…という奥付のある堂々たる定期刊行物である。―そう、昨2009年秋11月に開かれた同会25周年年会の決定により、老境に入った木村精二はその職を解いて頂き、会の実務を担当する新しい事務局長には正式に、壮年の勇士、角田玉青さんが就任された。同会の定期出版物は、1984年の創立以来2月毎に欠かさず発行されてきたが、満21年で選手交代、ウェブマスターが、相前後してその名を冠した「たより」を創刊、発行配付を継続してこられた実力が評価されたのである。

 どんな会でも要は人ではないか。趣味の会でも同じだ。世はPCの時代というのに、ひと昔前発売のWPのセコハンを求め、これを後生大事にして、切り貼りのニューズレター版下を作ってはコピー店あるいは印刷屋に駆け込んでいたことが夢のようだ。途中からカラー写真を掲載した以外に、小生手作り作成の機関紙に“近代化”は無かったと思う。 135号800ページは、確かに貴重な一つの記録ではあり、その合本が存在しなかったら、誇るべき General History of Herschel Society of Japan「日本ハーシェル協会概史」の誕生(2009)は有り得なかったと自負しているが、“木村ニューズ’は一部分しかWPに残っていない。一方、“角田だより”は写真を含めて全部PCに保存され、必要に応じてどんな形でも加工再製できる強みがある。相応の収入があれば、いつでも印刷配付も可能だ。

 制作担当が、自ら”今後は発行ペースを増やすとともに(できれば季刊に)内容を再編成して、現在休刊中の「ニューズレター」の早期復刊を目指すことになりました”(上記紙P.2)と書かれたことの実現はいつの日か、楽しみである。同じ組織の機関紙が、担当者の交代によって、かくも見事な変身を遂げるとは!

 日本ハーシェル協会は、事務局長の努力が続くかぎり、安泰である。(2010.2.28.)

★ポンド・ゴールド&タイム

 捨てようとした古雑誌をパラパラやってこの表題の文章に目が行った。無著名3ページ余りサブタイトルが「ロンドンの話題あれこれ」。“都政人”1968年4月号―A5判の古めかしい雑誌で、東京都の役人を主な購読者とした都政人協会発行の百ページほどの月刊誌だ(今も続いているかどうか)。「ロンド…」に引かれて中身に目を通すと、どうも見覚え、いや書き覚えがある。これは確かに拙者の文章だ。思い出した。依頼原稿に違いない、昔の。

 「…(1967年)11月、18年ぶりにポンド切り下げを断行…ポンド不安、いやポンド危機に脅かされ続けてきたイギリスがその深い病根を断つために、あえて国民生活の切り下げにも通ずるであろう一連の強行措置、超デフレ政策を決意したことは広く注目された。問題は、…それから始まったのであった。“私の任務はポンド切り下げの効果を見届けることだ”と宣言していたキャラハン蔵相は…突然辞任…。危機に見舞われた老大国の経済を立ち直らせる即効薬があろうはずがあるまい。長い間の懸案であるイギリスのEEC加盟問題は、切り下げによって通貨の健全化をはからない限りその要求には応じない、と公言していたフランスがその後も頑にイギリス拒絶の方針を変えず…。イギリスがアメリカと手を切ってまで外交・通貨間題などでフランスのいうなりになれるものかどうか今後が注目されよう。日本の総評に相当するTUCは、(1967年)夏の大会では、労働党政府の物価所得に反対を表明したが、ポンド切り下げの中央委では、政府の施策への支持を決定。とはいうものの従来、イギリスの労働組合は、既得権の確保と経済的要求のために、常識的な国家利益などには無頓着に、ストを打ってきた。今度も、海員組合の山ネコストに続いて…銀行ストなどが頻発した。しかも新聞論調とは逆に、一般国民はストにも経済の停滞にも、相変わらず大した関心と反応を示さない、と思われるフシがある。…

 ポンド切り下げの直後、金(キン)への投機は十億ドルに近く、ロンドン金市場で千トン近い金を手放したと伝えられる。ポンド不信感はドル不安感へとつながり、…  多くの関心を集めたこれらの話題にはさまれて、ほとんど注目もされずに忘れ去ったかも知れないニュースがある。貨幣制度の改革、計量単位の変更、それに時刻の改正だ。  はじめの2つは、1ポンドが20シリング、1シリングが12ペンスという世界一複雑で不便な貨幣の数え方を十進法に、…ヤードポンド法をメートル法に統一しようとするもので、世界の趨勢に従うに過ぎないともいいうる。しかし3番目の時刻の改正は(1968年)2月28日を期して、ロンドンのビッグベンはもとより、イギリス中の時計の針を1時間進め、永久に元に戻さないことを宣言したのであって、その意味するとろは極めて大きい。…」

 ときを42年後の今に戻して述べれば、@メートル法は未だに普及してない。身近な例を挙げれば、全国の道路標識がそれを物語る。A時刻の問題は、“永久に戻さな”かった筈の1時間、いつの間にか元に戻ってしまった! 西ヨーロッパとの時差は、とても埋められるほど小さいものではなかったのである。

 以上は、‘我が新雑文’ではなく、‘我が新旧雑文’というべきか。(2010.3.10.)

あとがき

 相変わらず愛用のセコハン・ワープロを使って打った雑文のコピーを2枚、郵便書簡に封入してからも落ち付かないのは、25グラムまで書簡込み60円で国内に配達されるという安さに引かれて、B5を縦横に折って2枚も押し込んだためのようです。受け手の不便さに思いが至らなかったのです。横3つ折りだと開いて読むのに不便さは殆ど無いのに縦横(4つ)に折られた印刷物は誠に扱いが不便です。

 安かろう悪かろうとはこのことのよう。ポイと棄てて下さる読者には違いが少ないとして、読み終わってからキチンと保存して下さる読者には申し訳ない、とお詫びします。― そこでお伺い。貴方はポイ派(=60円)ですか、キチン派(=80円プラス封筒)ですか。中身は同じB5・2枚。ただし、後者なら5枚ほど入れても、同じ料金で扱いも不便ではないでしょう。― という「お伺い」のためにわざわざご返事くださるには及びません。改善した〈2〉を夏ごろにはお届けすることをお約束します。 (2010.3.11.) 


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