今日の一枚    第36回〜

 第36回
100名を超えるオーケストラによるヘンデル!

Georg Friedrich Haendel
 Water Music & Fireworks
 First histrical version (Premiére version
 historique)

 ・Water Music Suite 1 (HWV 348)
 ・Water Music Suite 2 (HWV 349)
 ・Water Music Suite 3 (HWV 350)
 ・Music for the Royal Fireworks (HWV 351)

 Hervé Niquet/ Le Concert Spirituel

 *GLOSSA: GCD 921606
 フランスのメッスにおけるコンセール・スピリチュエル結成15周年の記念イヴェントで演奏された、ヘンデルの「水上の音楽」第1〜第3組曲、「王宮の花火のための音楽」です。指揮はエルヴェ・ニクェ(ニケ)。
 古楽の演奏で、ここまでの大規模な編成というのはまずお目にかかることはありません。オーケストラでも多くて50名前後の編成というのが、現代の古楽演奏の常識のようになっていましたが、これまでの常識を打ち破るかのような未曾有の大編成によるヘンデルです。
 総勢100名を超えるオーケストラの中でも、特に木管楽器の数が桁外れで、オーボエだけでも24本、フルート15本(うちソプラノとアルトの持ち替えが9本)、バスーン12本となっています。金管はというとナチュラル・トランペット9本、ナチュラル・ホルン9本という編成です(弦楽器の方はわりかし普通の編成)。いったい何管編成なのでしょうね。とにかく揃えるだけ揃えたという感もなきにしもあらず。実際音で聴いてみるとわかりますが、すんごい圧巻ですよ。そのなかでもホルンの雄叫びはものすごい。それなりの音量で聴くとその凄さがよくおわかりいただけると思います。「水上の音楽」では、所々ホルンの音程が不安定に聞えるところがありますが、それは初演当時に使用されていた楽器をわざわざ再現して演奏しているからのようです。当時の楽器は現代楽器と違って機能的にはかなり劣っていたので、音程もとりづらいというわけです。
 この演奏はロンドンでの初演時のヴァージョン(水上の音楽は1717年版、王宮の花火のための音楽は1749年版)によるものとのことです。現代の古楽の常識は、過去には通用しないということなのでしょうね。もちろん、この曲はイギリス王室のために作曲され演奏された曲ですから、かなり贅沢な演奏会になったようです(この楽器編成を見ればいかに贅沢かはおわかりですよね)。
 なにはともあれ聴いてみてください。いかにもハデハデなお祭り音楽の妙が楽しめるとおもいますよ。
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