可燃物な日々

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11月15日(月)

●婚約の内定

 なんか上品な表現のような、「間違った用法」ギリギリのような、微妙な歯ざわりの言葉である。
 なんで「婚約が決まりました」じゃだめなのかよくわからないが、庶民の間でも流行りそうだな。
 ほら、「下血」もそういうかんじで「上品な言葉」として定着したような気がするし。
 (私だけかもしれないが、鼻血を「鼻から下血」と言ったり、月経をそのまま「下血」と言えばOKと勝手に解釈してよく使ってます。あと「痔」の婉曲表現としても便利みたい)

 それはいいとしても、私が前に「こういう時にこそ、試しに大物芸能人カップルに離婚してみてほしい」と言っていたが、もっと大物の婚約の内定がめでたくワイドショー(というか、私が観測しているのは「とくだね」ですが)のトップを飾り、ここんとこ「これからの中東情勢はどうなるのでしょう?」と眉間にシワを寄せて語っていた出演者たちも、やっと「本当の仕事」ができて満足そうでございました。

 新潟詰めだったスタッフも「黒田さんの知人を探しまくれ!」と東京に戻されて、ほっとしているでしょう。

 そんな中、NHKの「クローズアップ現代」は淡々と「人質が語る武装勢力」というのをやっていて、大野元裕氏が淡々と語っていた。中東戦争のころの江畑さんのようなビジュアル系のインパクトはないが、この大野さんも一部では熱狂的なファンがいるのでは?
 ワイドショーにもよく登場するのだが、この人が淡々と語りだすと、なんか手がとまって注目してしまう。
 だって、まるでセリフがばっちり入っているみたいに、妙に淀みないんだもん。川のように、というよりは、ダムの計画放水のように正確だ。一分間に何リットル放水ってビシっと計っているみたいな。

 そんで、口は忙しく動いているんだけど、他の顔の部分がほとんど動かない。もちろん手を振り回したりもしない。真面目な小学生が、暗記させられた長文をお行儀良く暗唱しているみたいだ。年号とか、東海道五十三次なんかを得意げに暗唱してた男の子って、ほんと、あんなだった、と懐かしく思い出す。ちなみに私もマリー・アントワネットのフルネームを呟くときには、大野さんみたくなるだろう。カルトQの「少女漫画」のときに、その問題が出て、回答者はやはり無表情のまま淡々と読み上げていたっけな。

 そして、語る内容も「おめー、昨日までイラクにいたんかい?」というか、イラクに友達が100人いて、全員と毎日電話しまくって情報収集しているような、そんな自信に満ち溢れているが、でも、あたしが「今のあなたの会社の情勢は?あなたの会社の人たちはどう思っているのでしょう?今後、どうなるのでしょう?」って質問されても、あんな堂々と「会社情勢」を語れないぞお。
 なんか、ひょっとして、全部作り話なのではないかと疑いたくなるくらい、変に客観的。

 で、こういう「識者」で成功する人って、喋っている内容にびっちり情報が詰まっているように感じられるが、後から考えると、いったい何を語っていたのか、誰も思い出せないということが多い。植草さんもそういう才能に恵まれた人だったが、惜しくも失脚。(あの人は、上手くやれば復帰できると思うけどね。でも「ほんとはやってない」って言っちゃった時点で、今の時点では有能なバックがついてないことがわかる。)

 でも、なんだかんだ言っても、大野さんがテレビに出ていると、その話芸を楽しむために、画面に膝を寄せちゃうので、バカにしているのではなく、誉めているのです。ほんとうです。

 そういえばイラク報道で注目していた人に、米軍のなんちゃら准将というのがいたのだが、ええと、名前忘れちゃったということは「たいしてハンサムでもなかった」という証拠なんですが、悔しいから探してみたら、「ブルックス准将」でした。あんまりいい写真を探せなかったのでリンクしませんが、アフリカ系っぽいけど、ちょっと違うのも混じってそうな兄ちゃんでした。中東戦争のときのパウエルさんみたいに、自信タップリでユーモアも言えるキャラと違い、いつも自信なさげな表情で(そういう顔だったらしい)、歓楽街のイジけたポン引きっぽかったので(特にイラク戦犯の写真をあしらったトランプを紹介したときとか、場末のポーカー詐欺師のようで笑った)、けっこうファンだったのです。私の想像する米軍の超エリート顔ではなかったのが気に入っていたらしい。髪型も変だったし。

 うーん、おかしいな。どうして、一生懸命ほめているつもりなのに、なんか悪口っぽくなるんだろう?

 自分でもよくわからなくなってきたので、今度は本当に悪口を書こう。

 また派遣のOさんが登場。
 今日はこんなことがあった。

 朝届いていた郵便物を仕分けしていたらしいのだが、「これって別の会社のですよね?」と見せられたので、確認してみると、たしかに住所も会社名も違う。誤配達。けっこうよくあること。

私「ああ、こりゃ、間違ってるね」
O「どうしたらいいんでしょうか?」
私「間違って配達されてました、って書いて貼ってボストに入れておけばいいよ。あ、でも郵便局の人が来たら、渡してあげれば」

 うちのビル、諸般の事情で配達員が受付のある階まで上がってきてくれるのである。

 そしたら、昼頃に・・・・

O「郵便局の人に見せたら、これは郵便局のではないって・・・・」
私「え?あ、ほんとだ、これはメール便だったね。ごめん、ごめん」

 最近は「これは郵便物じゃありません」ってゆーのが多いということを忘れていた。ポスティング会社が配達したものでした。

O「これはどうしたらいいでしょう?」
私「うーん・・・・」(よくわからん)
O「ここに、電話番号が書いてあるので、ここの電話して引き取ってもらえばいいんでしょうか?」
私「ああ、そうだね。そうすれば?」
O「電話してもいんですよね?」
私「それはいいけど、この番号、フリーダイヤルじゃないね。うちがその電話代持つっていうのもなんだけど(笑)、まあ電話してあげれば?」

 雰囲気的に、うちの会社にもドカドカ来るDM冊子のようなので、こんなもんどうでもよさそうだが、まあ、こっちで捨てるわけにもいかないし、そうするしかないだろう。

 そしたら、すぐに電話したのはいいのだが、また「ミヤノさ〜ん」と言ってきたので、「はい?」と振り向くと、

0「なんか、今日は来れないそうで、明日とりに来ると言ってますが、それでいいでしょうか?」
私「はあ・・・・
  わたしは、明日でもかまわないし、

  明後日でも全然構わないし

  はっきり言って、来年でもいっこうに構わないんですけど!」

 ああいかん、うっかり声を荒げてしまったわ。わたくしとしたことが・・・・・

 しかし、敵もそれだけでは引き下がらなかった。

O「引き取りに来たら、このフロアまで上がっていただけばいいんでしょうか?」

 ぶちぶちぶちっと来たが、また怒鳴ってもしょうがないので「好きにすれば?」って言っておいた。

 これに懲りて、私にあれこれ聞いてこなくなると助かるのだが。

 土曜日にOさんの隣に座っているMちゃんに愚痴ってみたのだが、Mちゃんも少しだけ疑問に思っているようだったけど、私と違って「本当に優しい」Mちゃんは、「でも、もうちょっと様子みれば、きっと慣れてくれるよ」と微笑んでいた。
 いや、私だって決して「優しくない」わけではないと思うのだが、Mちゃんと同じようにはできない。優しさのベクトルが違うんだと思う。私の優しさは、いつも明後日の方向に飛んでいってしまうだけだ。と自分で自分を慰めてみる。

 話しはまた最初の方に戻るが、クローズアップ現代で、ファルージャで人質になっていたが、生きて帰ってこれた人のインタビューがあって、「武装勢力は外国人ばっかりだった。医者もいた。なんで医者が、と思って聞いてみたら、アラーのためだと言っていた。いろいろなグループがいるみたいだが、ネットワークは密みたいで、横で繋がっているようだった」というようなことを言っていた。

 その話しを聞いていて、ハタと思ったのだが、その雰囲気って「ボランティア団体」に近くないか?
 アラブ世界中のテロ組織が集結しているというイメージだったけど、向こうの気持ちとしては「苦しんでいるイラクの人をなんとかしてあげたい」って善意で集まっているんだよね?
 たしかに、全員が「ろくに教育も受けていないただの狂信者」なわけじゃなくて、テレビやインターネットを駆使している広告手法などからも、けっこうインテリも多いことがわかる。そもそも9.11のときだって、欧州の名門大学卒業なんてメンツが揃ってたもんな。

 いまさら気がつくのもダサいが、あんな状態のイラクにノコノコと行く日本人も「自分探し?」とバカにされるが、待ち構える武装勢力のほうも、かなり「自分探し」が多そうだぞ?
 「自分探し」の遺伝子がきっとあるな。(ピンカーの「人間の本性がなんちゃら」をやっと読み始めた。100ページくらい「ひかりのように」(東海道新幹線の「ひかり」です)飛ばしたが、やっと各駅停車で読めるようになりました。)

 本といえば、斎藤美奈子の新刊「ものは言いよう」も読んでいるのだが、「噂の真相」でのコラムも時々は読んでいたのだが、そんなに面白いと思わなかったし、「AERA」のコラムだった男性雑誌評のほうが断然おもしろいと思っていたのだが、やはり本にまとまってみると「うーん」
 だって、なんか笑えないんだもん。
 読んでて楽しくないのだ。
 やっぱし「フェミ」に的を絞ったのが失敗なんだと思う。
 斎藤先生くらいの人でも、「フェミ」は扱いが難しかったんだね。

 彼女もそれをよくわかっていたからこそ、もっと外側から攻めていて、それが面白かったんだけどなあ。
 「噂の真相」も、私もときどき読んでいたけど「あんまり熱心に読むと性格が悪くなりそう(笑)」と意図的に遠ざかったときもあった。
 だから、どの記事にも独特の毒があり、それは女性週刊誌の醸し出す毒とはまた別の成分のような気がして、けっこう好きだったんだけど、斎藤氏のコラムのあの中にポツネンとあると「なるほど」と思ったが、こうしてまとめて読むと、なんか浮いてるような気がしちゃうんだよね。
 それだけ癖のある雑誌だったんだよね。
 だから、コラムだけ抜き出すと、なんか「あの中で頑張っていたんだね」っていう感じになっちゃうんだと思う。

 次回作に期待させていただきます。
11月14日(日)

 最近、日付や曜日が間違ってばかり。ブログとやらを使用すれば、解決するのだろうか?
 でも、あたしの日記の日付や年号が間違ってても、別にどうでもいいしな。

 不肖・宮嶋やゲッツ板谷の本を読みまくって、もう目ぼしいものがなくなってしまったので、最近はサイバラ関連に移行。ちょこちょこ読んではいるのだが、こんなに一気に読むのも初めてだ。
 カモシダ君の「アジアパー伝」も読んでみたが、彼の文章の中でのサイバラのセリフが気になってしょうがない。「・・・・だわ」「・・・・だと思うの」と、なんだかダメな小説に出てくる女性のセリフみたいなんだもん。
 まあ、カモちゃんはダメな小説家(具体的に思い浮かばないが、「オレってオレってオレって系」ってかんじのやつ。実はとても多いはず。ってゆーか、売れてるのは全部それ系なのかもしれない)をアルコールで3000倍くらい薄めた感じの文章を書くので、それだけのことなのかもしれない。

 そんで、ためしに「恨み酒乱」じゃなくて(そのまんまの変換に苦笑)「恨みシュラン」も読んでみたら、コータリンが書くサイバラのセリフもやっぱり同じだった。
 つーことは、そう書きたくなるような喋りをする人なのかもしれない。サイバラが書く漫画を読んでいると、そういうイメージが全くないので、激しい違和感を感じるのだが・・・・

 今日はついに「毎日かあさん」を読んでみたのだが、長男がどうしても字をおぼえないというエピソードがあった。
 最近は、小学校に入学する前にひらがなを習得しているのが当たり前になったということは、ずいぶん前に同僚から聞いていたのだが、私が子供のころは、入学直後にみんなで一斉に学習する、というのが当たり前だったような気がする。
 たしかに、私の頃でも幼稚園で「さくら」とか簡単な平仮名は書かされたような記憶もあるが、それはちょっと高尚なお絵かきみたいなもんで、幼稚園サイドとしても、真剣に平仮名を教えるという姿勢でもなく、「まあ、ちょっと慣れ親しむ程度、続きは小学校でみっちりどうぞ」という雰囲気だったと思う。

 私はいつのまにか勝手に文字を読んでいたので(漢字も適当に文脈で読んでいるつもりだった。なので、後で逆に苦労した。その後遺症が未だに強く残っているのは、この日記をずっと読んでいる人ならおわかりになるだろう)、読むのはラクだったけど、「わ」と「れ」の書き分けとか、けっこう大変だった。

 うちの母は「れ」はトイレの方向に流す、と指導したが、それはたまたま、家で練習していたときに、「れ」の流れる方向にトイレがあっただけなので「机の向きが違ったら、ダメじゃん」と突っ込こんだら、母は「そのときは、そのときで、別の言い方をする」と、わけわかんねー説明をしていた。でも「トイレ」というものは、どこの家でも「なんかあっちのほうに追いやられる」というイメージだし、田舎の家ではトイレが外にあるという知識はあったので(私にはそういう田舎がなかったが、友人たちは「田舎に行くとトイレがああああ」という自慢話をよくしていた)、「れ」はトイレの「れ」だから、とにかく外に放り出す、ということで、なんとか「わ」と区別することができた。

 あと「ね」はネコが背中を丸くしているように、ふっくらと丸めろと言われたなあ。「し」も「しっ」って言いながら、遠くに吐き出すとか・・・・

 厳しく指導されたのが、カタカナの「シ」と「ツ」。
 おかげできちんと書き分けられるようになったが、大人になって他人の書いた書類を見ても、けっこういい加減に書いているやつが多くて、そういうの見ると「ふっ、育ちが悪いね」と思うのだが、名門私立中→高学歴大学卒な、立派なおぼっちゃまにも意外にそういう悪筆の人は多い。
 一度だけ、都内有名私立中高卒で、達筆だった同じ年くらいの男性に出会い(会社に出入りしてたAD)、最初は学歴など知らなかったので、プロデューサーに「Nさんの経費清算書を見ると、心が洗われる」と言ったら、「あー、あいつぁ、ぼっちゃん育ちなんだよ〜、いい学校出てんだぜ」と言われてたので、「高学歴は珍しくないけど、初めて学歴と筆跡が見合った人を見た!」と感激していた。

 今の会社でも、私と同じくらいの世代で、何人か達筆の男性社員がいて、「ああ、うちと同じで、親がそういう教育方針だったんだろうなあ」と思う。だけなんすけどね(笑)。でも、悪筆でももちろん優秀な人は沢山いるが、字がきちんと書けて「すごくバカ」っていうことは少ないような気がする。

 話しは逸れるが、うちの両親は職場結婚で、その会社は私が物心ついたときにはすでに立派な「斜陽産業」の一員になっていたが、その昔は名門だったので、「財閥や皇族の下っ端の受け入れ先」として重宝されたようで、庶務課の課長さんみたいな「備品購入のハンコ押し」みたいな毒にもクスリにもならない地位の人は、そういう名家出身者が戦前からずっとボーっと座っていたらしい。
 彼らはお育ちがいいので、1日ずっと座って黙々とハンコを押していたようだ。
 そんで、ワープロなど無い時代、書類も全て手書きなのだが、ハンコ押し係りの彼らの中でも特に公家さん系の人は、達筆で有名だったそうで、その人が課長になっている部署では、彼が書いた書類をお手本に文字を書くので、女子社員もなんとなく字が上達していたそうである。

 私も母に「字だけはとにかくなんとかしろ」と言われ、小学校のときに習字を習っていたのだが、お手本見て真似するのがけっこう面白く、先に習っていた子たちを何級だの何段などの階級をガンガン追い抜き、いい気になって、小学校を卒業するまで通っていた。
 おかげて、結婚式や葬式の受付で毛筆での署名に困らないので助かっている。
 まあ、自分の名前だけでもちゃんと書ければいいや、と思っていたのだが、今の会社では他に毛筆ができる人がいないので、会社で用意する祝儀や香典袋の毛筆は全部あたしがやっているので、「これだけでも、給料もらってる価値はあるし、習い事の月謝の元はとったな」と思う。

 叔父会社の経理部長と、こっちが勝手に勝負したことがあって、叔父会社とは書類を社内便でやりとりするのだが、そこのお局経理部長はいつも請求書の宛名を毛筆で書いてくるので、あたしも試しに毛筆でこっちからの請求書を出してみたりした。
 その経理部長に、いつも私の上司がイジめられており、請求書を出すのが遅いとか、内容に間違いがあるという真っ当なクレームだったが、彼女から電話がかかってくると、いつも上司は「ひいいい」とビビっており、その仕事はいつのまにか私に任されたのだが、でも彼女はなんかあると上司のほうに電話していた。いつのまにか、小お局みたいな人が私に直接ネチネチ言ってくるようになったので「あれ?」と思っていたら、その経理部長はいつのまにか定年退職してましたとさ。

 で、小お局嬢は、ワープロで作った宛名で送ってくるようになったので、私もその勝負をかける必要がなくなり(暇なときは、向こうの会社名を必死に筆ぺんで練習したりして研鑚していたのによ)、私もその仕事をハイジに押し付けてしまったので、ハイジは悠然と「(株)」を使用している。

 私が就職したころは、宛名に「(株)」はいけないと教えられたが、今はそんなことに目くじらたてる風潮でもないようなので、私も自分では絶対に使用しないが、人がそうやってても知らんぷりしている。どーでもいいっちゃ、どーでもいいし。
(でも、派遣会社に登録するときに、一般常識度を測るために、そういう宛名書きテストする会社もあるので、派遣で仕事する人は注意してね。それでもしかしたら時給が10円違ってくるかもしれないから)

 で、話しは戻るが、私はずっと西原理恵子が、なんでオジサン文化人やオジサン新聞社の編集に、あんなに可愛がられるか、というか彼らが嬉々として「サイバラとつるんでます自慢」をするのかが、ちょっと謎だった。
 もちろん才能は認めるけど、でもヤンキーあがりの女にいいように書かれて、ヘラヘラと喜んでいる態度がちょっと謎だったのだ。前に私よりもずっとサイバラ通なMちゃんにその疑問をぶつけてみたら、「あいつらだってしょせん程度が低いわけだし」とかいうようなことを言っていたけど、それではなんか納得できなかった。

 ここんとこ、まとめて読んでみて、なんとなくわかってきた。
 サイバラは「田舎の子」なんだ。
 この間、やはりMちゃんに「派遣社員の愚痴」を聞いてもらっていたときに、話しながら気がついたのだが、あまり仕事上の能力ない人でも、田舎出身の人って、めちゃ気が周るので、前にうちの総務にいた派遣の人も、頭もそこそこ回るが、とにかく人当たりがよく、聞けば五島列島出身で、「ほんと、島育ちなんです〜」と言っていたが、島育ちの礼儀作法ってほんと、首都圏でも充分通用するというか、通用しすぎちゃって、今ではある種「神格化」しちゃっているので、その後に来た人が気の毒なくらいだ。

 Mちゃんも常々言っているが、田舎社会で修行した人は、都会では考えられないような人間関係の中で学んでいるから、「オフィスでの処世術」なんて、どうってことないらしい。田舎だと、ほんとに些細なことで悪く言われるというのは、当たり前だから、まあこういう言い方もどうかとは思うが、とにかく「女の子として悪く言われない」というラインをよく知っており、早い話が「おっさん達に悪く思われない」というか「いい子だねえ」と言われる技を知り尽くしている。

 そういうのは、首都圏育ちで、ぼんやり「男女平等」で育ってしまった私には新鮮で、とにかく田舎出の彼女らは「能ある鷹は爪を隠す」というのがきちんとできていて、パっと見、頭が切れるようには見えないとこが、まず技。
 そんで、雑用頼んでも、嫌な顔ひとつせず、きちんと笑顔でこなし、そんで、それがちゃんとそれなりのレベルだったりする。で、疑問点の確認も、「あんまし、あれこれ聞くと相手はウザいと思う」という基本を踏まえており、的確な質問を一つか二つする程度で、あとで相手がミスを発見して「ああ、これはね」という余地を残しておく。

 それをやるとね、おじさんは「バカな女の子だったけど、オレが教えて、少し使えるようにした」っていう満足感を味わえるのですよ。あたしは、その仕組みがわかるまで、OL生活10年くらい苦労しました。
 はっきり言って、未だにその作法は頭ではわかっているんだけど、本当に身についているわけではないので、あれこれ画策してやってますけど、田舎の子はそういうのをある意味「育ちのよさ」で易々とやってくれちゃうのです。

 なんの話ししているのかわからなくなってきましたが、そうそう、サイバラ氏も「田舎の子」という教育環境を生かして、オヤジを転がしたんだなあ、と。

 で、あたしみたいな「ベットタウン育ち」はっていうと、それでも私もバカじゃないから、周囲の「田舎の子」に「そんなものもわかないの?」とバカにされながらも、友達の話しや書物から「なるほど、こうすればいいのか」と必死に勉強してきましたが、子供のころに見につけてないことって、大人になってからやろうとするとけっこう難しいんですよね。
 それでも、私はまだ、祖父母とはかなり交流していたほうなんで、まだマシかと思いますが。それに、祖母が躾の厳しい人だったので、うちの母も「とりあえず、女の子は挨拶だけきちんとできれば最低限、世間に通用する」という哲学の持ち主だったので、その教えは今でも見に染みますが、それすらもちゃんとできないのに、さらにバカっていう女の子を見ると「ああ、お母さん、ちゃんと教育してくれてありがとう」と思います。

 ちなみに、男で「挨拶もきちんとできない」というのも多いですが、でも彼らは能力が重視されるので、たいてい大丈夫なんですが、中にはやっぱり「挨拶もできない、さらに仕事もたいしたことない」ていうのも、最近だとけっこう多く、こういう厳しい時代には、男の子もきちんと愛想よく育てたほうが、後々困らないと思います。

 特に最近は女性の管理職も多くなってきましたし、変に男女平等というか、男性上司でも「男に可愛げを求める」という風潮がでてきたので、そりゃ、優秀だったら愛想がなくても通用するのですが、昔みたいに「男なら、とにかく上」っていうことがないので、男の子も愛想で世渡りしないといけないみたいです。いや、うちの会社でシステム部でアシスタントの「そこそこパソコンに強い派遣社員」の男性を雇ったのですが、どーも、どいつもこいつも部長が気にいらなくて、毎月別の人に変わっているのですよ。

 プログラマってわけじゃなくて、たとえば社員のパソコンが調子悪くなったときに、なんとかする部署のアシスタントなんで、「他人とちゃんとコミュニケーションできない」ってのは失格なんです。でも、次から次へと変わるんで、「ふーん」と思ったけど、男性であのスタンス(もっと能力あれば、もっといい仕事ができるはずだけど、あんまし技術もないから、女性派遣社員よりはちょっといいくらいの時給でいちおう専門職)って、むちゃくちゃ層が薄いらしいのに気がついた。

 あの部長も早く気がつけばいいのに、「あの時給で、あの程度の専門職だったら、女性のほうが優秀だろ」って。

 中の上レベルって、あたしもそのレベルにいるはずなので、女性の場合、会社で飛びぬけてっていうのは根性いるから、そのあたりに沢山いるんですよ。そんで時給2500円くらいで、いくらでも優秀なのがいる。
 でも、男性だとなかなかいないんですねえ。男性でIT系で中の上だと、最低でも時給3000円レベルになってしまう。

 だから、「これが女だったら1000円しか払えないぞ」っていうのが、男だと2500円で流通しているらしい。

 そのポジション、先月からちょっとカワユイ男の子が来たので、私などは影で「かわいいから、あれで妥協しようよ」と思っているのですが、女派遣市場と違って男派遣はまだ市場が成立していないようなので、部長もいろいろ思い悩んでいるようです。「女の子の派遣だったら、かわいくて気がつけばそれでいいや」ってことなんでしょうけど、男の派遣社員をどういう基準で選んでいいのか、わからないらしい。

 まあ、私としては「一生、悩んでろ」程度のことなんですが、人がちょくちょく変わると、顔と名前を覚えるのが大変なんで、それだけです。

 まあね、田舎出の女の子は、こっちがびっくりするくらい優秀だったりしますが(そうじゃないと出てこれないらしい)、田舎出の男は腐るほどいますからね。それで、田舎出の女の子にコロっとだまされるんです。
 ただ、東京って、私は「祖父母が田舎出身の3代目」でありますが、「二代目」とか、自分で上京してきた「初代」と、そのあたりはかなり入り混じってますから、相手を瞬時に「どの階層か?」って見極めるのが難しい。

 あたしには、それを見分ける能力が無いのですが、田舎出の友達とか鋭いからなあ。
 でも、田舎出の友達っていっても少ないんですけどね。
 やっぱ、頑張ってるちゃんとした田舎の子は私には寄ってこない。

 そんで、頑張ってない田舎の子に「東京って怖いわね」とか言われると、「田舎のほうが怖いじゃろ〜」って言っちゃうから、そういう本当のことを言う「女友達」は好かれない。
 だけど、そういうのが、東京で結局なんにもできなくて、「あたしはフランス語ができるのに、仕事が無いのよねえ」なんて言っているのを口には出さないけど「それはオノレがバカなんじゃ」という態度で受けていると、彼女が渋々田舎に帰り「ほんと、田舎って仕事がないのよ」なんて愚痴を2時間も聞かされると、悲しい気持ちになるのだが、まあ、彼女なんかは田舎では単なる基地外かもしれんが、もし東京に生まれ育ったお嬢さんだったら、こういうのもアリだよなあ、そんで親に財力さえあれば、「もう、日本なんて最低」って言って、フランスのボロ・アパルトマンで親がリタイヤするまで優雅に生活してたかもしれないなあ。(親がボケたら面倒みてやれよ)

 そんで、時々日本に帰ってきて、しがないOLの私に「フランス人の男って最低よ。とにかく、ヤレればいいと思ってるんんだから」って愚痴れれば、彼女は幸せだったのかもしれない。
 そんな人生が「つまらん」ってことは彼女もバカじゃないから、わかっていた。でも、それすらできない自分の身の上を嘆いていた。

 ああ、なんだか悲しくなってきたが、西原理恵子の本を読んでいると、私の友人ような「田舎から張り切って出てきたわいが、思い通りにならないので、東京も悪くいい、田舎もコテンパ」な人が多いなかで、「がんばっちょるなあ。ってゆーか、そういう中で、こういう分野で頭角を現すためには、ここまで凄まじいい才能がないとダメだんだよなあ」

 友人Mちゃんも、私より「斬る」才能に恵まれた人だが、それを金にする気もなく「この間、マラケシュに行ってさー」という話しを電話代使って私に延々と数時間語ってくれるだけである。

 で、私も、ときどき、そういう「単なる体験談」がけっこう自分でも自慢で、友達に語ると「そういうの、原稿料とれるようなとこに発表しろ、もったいない」といわれても、それはただ「語りたい」というか「金払ってもいいから、きいてくれ」ってだけで、そこで儲けようという気はさらさらないので、Mちゃんが語る極上の旅行記も「ああ、もったいな」と思いながらも「ま、いっか。今度合ったら、面白い話し聞かせてもらったから、私が焼き肉おごっちゃる」くらいの気持ちでいる。

 そこそこの感性と表現力に恵まれた人には時々会うが、それを金にできる才能はまた別のもん。
 でも、ときどき「あんたの話し、おもしろいよ、金になるんじゃない?」って言われると、「だったら、てめーがまず稼げ!」と思う。

 あたしだって、例えば西原理恵子が「その話し面白い」って言ってくれれば、ちょっとその気になるかもしれない。
 でも、そーじゃないやつに、「作家になれ」って言われても、ねー?
 その前に、「おめーがちゃんと働け」って怒鳴るよ。
まず、借金返せっていうのが先だろう。
11月13日(土)

 さて、昨日は総務部ミーティングの後に「歓迎会」(T部長と、もう一人10月に異動してきた)があったので、T部長が午前中は会議で不在だったが、昨日お休みだったクララに「T部長には昨日、『なんか話しがあるみたいですよ。ふへへ』と言っておいたので、だいたいのことは察していると思うけど、部会の前にお話ししておいてね」と言っておいた。

 私が親会社に行っていた隙に、T部長とは話しができたみたいで、そして、どうもハイジにもそれが伝わったようで、ハイジは「なんか、気が散って仕事ができねーよ」と、かなり動揺した様子なのが可愛い。
 私も、おととい聞いたときには、やっぱし、しばらく何もできなかったし。

 そして、その後の部会の中で、そのことも発表されたので、これでコソコソ話す必要もなくなったので、ホっとする。そして、公式に発表するのは、もう少し先になりそうだが(なにせ、昨日やっと式場を押さえたという、ドタバタ状態。できちゃった婚は慌てるよね、ほんと)非公式には広めるのは構わないというので、そのうち大騒ぎになるな。クララのファンは多いし、潜在的にはもっと沢山いるはずだ。
 「できちゃった」件は、聞けばまだ6週目くらいらしく、公表するのは安定期が過ぎてからという、まっとうな計画になった。なので、出産予定日は大まかにわかるものの、その後どうするかは、これからゆっくり考えるそうだ。

 労務関係を担当しているMちゃんは思わず「でも、これって初めてのケースかも!」と興奮気味。たしかに寿退社は多いが、「出産ぎりぎりまで働いてました」なんてことも私は記憶になく、もし産休をとろうものなら、ほんとうに初なのである。うーん、こうなったら、いっそ産休→育児休暇→復職という先駆者になってほしいんだけど、本人にそこまでのガッツがなさそうだからなあ。
 でも、彼女みたいな「自分の意志がはっきりしない」というタイプ(本当はどうだか知らないけど)こそが、周りから「やってみれば?」と煽られて、前人未踏の道を作るほうが、わりとあっさり行くものかもしれない。
 「私は子供ができてもちゃんと働きたいのです!」って突き進むよりも「まあ、もしできたら、やってもいいのかも・・・・もし、皆さんがそれでいいというなら」程度の意思でやっちゃったほうが、案外うまく行くということもあるものだ。

 そんで、もしも、彼女がそうやってケモノ道を作れば、「ほんとはそうしたかった」という人はわりといるのではないか?
 今後、この話が、どのような方向に進むかは注目だ。クララは一見、ひ弱そうだが、実は滅多に体調不良で会社を休んだりしないという健康優良児なので、ひょっとしたら、スッポンと産んで、あっさり復帰できるかもしれない。
 なにより彼女の「万人に愛される」という素質をここでいっちょ、後続の女性のために役に立ってもらえれば、おもろいんだけどなあ。

 さて、そんなこんなで、昨日は総務部の飲み会で、でも社長も誘っちゃったから、社長には来週お話しするということになったので、本来なら「歓迎会」というより「クララ、おめでとー!それで、お相手とはどういういきさつで?」という会になるはずだったが、そのことは伏せていたので、淡々と進み、二次会はホテルのバーでしっぽりで、私は記憶も曖昧なままタクシーで帰宅。

 今日は出勤で、決算時だったので仕事はいろいろあったのだが、頭がアルコール漬けになっていて、全然仕事にならなかった。
 私が一人でいるときに、営業部のF氏が「ビンボーなんで交通費清算しちょくれ〜」とやってきた。
 クララが休みだった木曜日に、F氏が私を喫煙室に「おいで、おいで」したので、「あ、あの件だな」とピーンと来た(でも、私の勘はいつもナマクラなのだが、観察眼は鋭いので、勘というよりも緻密な情報収集に基づく分析はけっこうちゃんとしていたりする)

 F氏は最近、クララをよく連れまわしており、なので、クララの結婚話を聞いたときには、F氏関連を疑っていたのだ。
 そんで、F氏も数日前にそのことを知ったようで、彼女に「それは早く、ミヤノさんやT部長に報告しろ」と言ったので、「ちゃんと報告した?」と気にしていたので、「うん、私は聞いたけど、T部長へは、まだだから、それが済んでから、総務に公表って形になると思う」と言ってあった。

 なので、今日もそのことで探りを入れてきたので「昨日は部会だったので、総務部全員に発表されました。みんなビックリしてたよ」と報告。
 しかし、私もついつい「お相手」をまた聞きそびれた。クララもいちいち聞かないと話さないタイプだし。
 なので、Fさんに「で、Fさん関係なの?」

 やはり、Fさんが熱心に営業をかけていた得意先の人だった。だから、その人と話しが合いそうな「可愛い女の子」を餌に、接待していたらしい。

F氏「でも、先にクララが売れちゃったよ・・・・・」
私 「があああ、じゃあ、もっと金ぶんどってこないと、こっちは割に合わないじゃないですか!こうなったら数億円くらいぶんとってきてほしい」

 F氏の営業戦略はずっとその調子だったのだが、数年前は営業部のサーファーな女の子を連れ歩いていた。彼女もほんとにチャキチャキした「いい子」で、すげえ茶髪だったのだが、それが許されたというのは人徳だろう。でも、2年前くらいに結婚して(サーファー仲間と)、あっさり寿退職してしまった。気のいい「田舎の子」だったので、見た目より数百倍保守的だったらしい。

 その後、派遣社員で、どっちかというと顧客のHP作成の「記者」として雇った、子供を保育園に預けてチャキチャキ働いている人が、右腕となってF氏の営業活動を盛り上げていたのだが、彼女も今月退職した。(彼女の働きぶりには誰も文句がなかったが、いかんせんギャラが高すぎ、派遣だから本人の手取りは少ないだろうけど、派遣会社に支払っている金額は、うちの中堅社員よりもずっと高かったので、前から問題になっていたのだが、T部長がとうとうメスを入れたらしいと推測される)
 なので、最近のF氏の武器は「おっとり系のクララ」だったようだが、あっけなく奪われてしまったので、F氏もかなり動揺しているようだ。「彼女は、友達が少ないみたいなんで、いろいろ手伝ってあげてくれ」とか言い出したので、「でも、披露宴や二次会の仕切りは新郎側でやるかもしれないし、そういうことって、たぶんクララからは言い出さないと思うんで、Fさんが向こうと話してみてよ」と言ったら、少し安心したようだった。
 まだ、招待客リストもこれからって状態なわけだし、いったいどういう披露宴、二次会をするのかも、わかんないし、みんな先走りすぎ。

 一番先走ったのは、T部長と同じく、先月から総務に配属されたN氏で、今日の午前中は二人して「二日酔いだ〜〜〜」とエールを送りあっていたのだが、いきなり「この会社って、ご祝儀いくら包むとか決まってんの?」
 知らんわ。
 あんたは確かに、途中入社というか、うちが吸収した関連会社の社員だったので、わかんないかもしれないけど、私に聞くよりも、あんたの妻に聞け!
 N氏は、その別会社勤務時代に、うちの女子社員でも古株だった子と結婚したのである。「社内結婚した場合は、女性は退職」という暗黙のルールがあったそうだが、結婚したときには別会社だったのに、後でそうなってしまった場合には、まあしょーがねーだろー、という暗黙のルールの暗黙の解釈作業が、暗黙のうちに行われて、本人達の意図せぬままに「初の社内夫婦」となったのであった。

 あー、なんか、いちいちアホらしいのだが、でも私は、こういう小さな会社というのは、「社会の縮図」でもあると信じているので、学ぶべきところはけっこう多い。「暗黙のルール」を壊すのは、だから「そんなの間違ってる!」と叫ぶ人ではなく、「なんか、結果的にこうなってしまいましたが、どうしましょ?」という人である。そんで、改めてそう問われると、所詮は「暗黙のルール」であり、「でも、これはダメだから、それに従え」と断言できる人もおらず、「まあ、しょうがないね」ということになり、暗黙のルールはそれ以降成立しなくなるのである。

 そーいや、前に友達が結婚したときに、同じ部署内で結婚したもんだから「暗黙のルールで、夫婦が同じ部署にいてはいけないということになっているので、そういう場合、女性が異動になる」と愚痴っていた。彼女は夫になる男性をとても愛していたが、でも「この部署では、私のほうが実績を上げていた」というプライドもあったので、夫婦で話し合って「じゃあ、私が異動するわ」というなら別として、会社が機械的に「じゃあ、妻が異動ね」と言ってきたのにムカついたらしい。

 会社もバカだよね。「夫婦で話し合ってください」と形式だけでも言ってやれば、普通は妻が異動を申し出るであろう。で、もし夫が異動を申し出たって、別に組織としてはどっちだっていいわけじゃん。
 で、その会社は世間知らずな私でもよく知っている「右寄りで有名」な会社で、その話をきいて「やっぱ、そういう体質なのね」と再確認したもんだ。たぶん、会社としては、女性に寿退社してほしいはず。「女は家庭に戻れ〜」っていう右翼の宣伝車みたいなもん。

 ちなみに、出産してから職場復帰していたようだが、いつのまにか子会社に配属されていた。

 大企業でもそんなもんだからな。友人Yだって、あんな有名企業に勤めていたのに育児休暇をとったのは「初」くらいの扱いだったらしい。ちなみに、彼女は結婚後も旧姓を名乗ったので、それもオヤジ受けが非常に悪かったと嘆いていた。
 名前なんて、単なる記号なんだし、結婚して姓が変わると、周りの人も面倒くさい。昔から勤務している人は「ああ、後藤さんって、昔は堀田さんだった」って知ってるけど、新しく来た派遣社員が「堀田さん」宛ての電話や郵便物を受けると「これ、誰ですか?」ってことになる。なので、新しく来た人は、パソコンにポストイットで「堀田→後藤 杉浦→加藤 林→山崎」なんてメモを貼ることになる。
 気の利く人だったらそれでいいが、前も新人時代のクララが「山崎さんお願いします」という電話を受けて「ええと、うちには山崎という者はおりませんが」と堂々と答えていたので、私が手足をバタバタして「山崎っていうのは、林さんなの!」と叫んでいたりした。

 まあ、それも仕事のうちなのだが、「やらなくてもいい仕事」とも言えるので、私は「結婚しても、旧姓で仕事する」ことの支持者なのである。
 でも、うちの会社で「旧姓」でやっている女性は未だにいない。いっちょ、私が先駆者に・・・・・と思っても、それは努力してできるものでもないので・・・・・・あ、うちのパパンが死んで、ママンが再婚したりすると、どうなるんだろう?それは、私が結婚する可能性よりも、さらに稀なことであるよなあ。

 それに、私くらいの大人になると、たとえ親が再婚して姓が変わっても、私は現状維持できるのではなかったか?
 でも「戸籍」と「世帯主」の関連って、わかっているようで、あんましわかってない。

 話しは全然違うが「戸籍マジック」として、英国留学がダラダラ長引いた友人から聞いたのだが、かの英国ではビザが厳しいために、「日本に帰りたくな〜い」なギャルの一番手っ取り早い技は「結婚」だそうで、それは、私の友人が立て続けに「フランス人」や「イギリス人」というワーキング・ホリデー・ビザで日本に入国した外人男性とお付き合いして、「一年経過したらビザ切れだ」ってわけで、「できちゃった婚」じゃなく「ビザ切れ婚」したのと同じ仕組みなんだろうけど、日本人ギャルが、ビザ欲しさに結婚して、数年後に「やっぱ、間違っちゃった〜」と日本に戻ってきても、日本の戸籍は汚れないらしい。

 いや、その気になれば、ちゃんと日本でも婚姻届を出せばいいだけらしいが、別に出さなくてもいいので、英国人の旦那を連れて日本で永住とかいう事態にならなければ、そのままでも英国では不自由しないらしい。
 だから、英国で結婚して離婚したのに、そ知らぬ顔で日本に帰り「初婚です」と言い切ることが技術的には可能と聞いた。

 そんな無意味な戸籍制度、やめちまえ!と思うし、実際、戸籍が必要な事態って、パスポートを最初にとるときだけなので(継続すれば、後は住民票だけで済む)税金の無駄使いにしか思えないのだが、戸籍ってほんとに必要なんですかね?
 世界的には珍しい制度らしいので、他の先進国では住民票だけで事足りているらしいし、いいかげん廃止すればいいのに。履歴書で「本籍地」を書くときに、いつも虚しさを感じる。
 だって情報として、あまり価値がないもの。ミヤノ家は本籍地が東京都中央区箱崎町なのだが、その住所からはとっくの昔に立ち退きの憂きにあっているのだが、「カッコいいから」という理由だけで、本籍地を移動していない。
 だから、本籍地は「東京都」と書けるわけである。せっかくだから「東京都中央区」って書いちゃうときもある。だって、せっかくそうなっているわけだから、自慢できるときに自慢しとかないと。
 だから、なんなんだ。

 ええと、何の話しをしていたのかな?(わからなくなってきた。いつものこと)

 うん、そうそう。世の中には「これって実は不要じゃん?」とか「これって、実は間違ってるじゃん?」なことは、いっぱいある。でも、同時に世の中には「前例」というか「今まではこうなっていたから」を重視する人も多い。
 そういう「先例では」を打破するのは、とても大変なことなのである。
 で、「先例」を重視する保守的な人たちに「それは違う!」といくら強く言っても、「でも、前はこうだった」と言われると勝てない。
 で、私なんかは、人生38年で「私はそういう先例破りをさせてもらえない人材だ」と身にしみたのだが、世の中には、そういう先例をあっさり破っても許されるという才能をもった人がときたまいる。

 あたしは、人生40年近くなって、やっとその仕組みがわかってきましたよ。あたしが、ギャースカ言っても世の中は動かないが、ギャースカ言わないのに世の中を動かす素質に恵まれた人は確かにいる。だから、「少しでも、なんか変えたい」と思ったら、そういう才能のあるヤツをうまく操縦するほうが絶対に早い。

 仕事でも、そういう変な根回しはけっこう効くんですよねえ。
 ほんと、クララにしたって、私が「ここは、こーゆーふうにしよう。皆にそう言ってくれ」と言っておくと、クララに「こうしてください」と小声で言われた社員はちょっとビビって、私に相談してきたりする。
 頭のいい人は「クララさんが、こんなキツいことを言うわけがない。裏でミヤノさんが糸をひいているはずだ」って本当のことに気がつきやがる。(でも、あたしはちゃんと、その時点で「こいつ、あなどれん」と評価をあげますけど)

 でも、こっちもタヌキさんだから、「え?クララがそんなことを」と「私は知りませんでした」な演技はできるのよ〜ん。そんで、さらに「あの、おっとりしたクララがそう言うのですから、これはよっぽどのことではないかと・・・・」

 そこまでうまく操作できると、担当者も「ああ、あのクララさんに迷惑かけてしまった」と反省するので、あたしの為には何にもしてくれないというか、言い訳ばかり並べる人でも「オレがポカしたから、クララさんがミヤノさんに叱られる?」と思うと、申し訳ないので頑張るのである。

 ま、実際はそんなに上手く動かないんだけどね。
 でも、ときどき上手くいくので、作戦としてはけっこうイケてたと思うので、クララ〜、子供産んでも、パートでいいから職場復帰しようよ〜、あんたみたい人材はめったにいないんだからさ〜
 でも、本人が「天然ボケ」なので、自分の才能に関心が無いので、これから洗脳すっかな。でも、もう、遅いのかも。

 あー、もしかして、私、また忙しくなってしまうのかしら。
 やだなー、全部、ハイジに押し付け隊。
11月11日(木)

 昨日、写真に撮りそびれたが、数日前から乗り換え駅である、あざみ野の地下鉄改札前に置いてある看板に妙に吸い寄せられる。
 それは、ときどき交差点の歩道などにも置いてある、いわゆる「ステ看板」というのか、「警察が出してるステ看板」というのが正しいのか、要するに「この付近で事件がありましたが、目撃された方はご一報ください」ってやつ。

 話は逸れるが、よくテレビニュースでも「○○殺人事件捜査本部」という、署内看板を用意する場面が映されたりするが、あれって、やっぱり署内でも、そういう毛筆係りがいるのだろうか?警察内では、道場があるというのはよく知られた話だが、武道に向かない人は、書道場で鍛錬して有段者になっているのかなあ。

 それはいいとしても、時折道端で見かける「○月○日、この交差点付近で、バイクと自動車の衝突事故がありました。目撃された方は・・・・」なんていう看板はたいてい、マジックインキで書かれていたりして、あまり達筆とはいえない場合が多い。それだけに人目は惹くと思っていた。普通の商業用ステ看板は、ちゃんと印刷してあるわけで、「手書きの味わい」というだけで、目立つのだ。

 それを逆手にとったのか、一時期、電柱に貼ってあるチラシにも「ホスト求む」などと、手書きのそっけないチラシをコピーしたものをよく見かけて「ワープロ文字よりも集客力があんのかね?」と思っていたりした。
 しかし、今現在、あざみ野駅にあるその看板は、マジックではなく、毛筆で力強く、しかもびっしり書き込んであり、重要な箇所は、たぶん、お習字の先生が添削につかう朱色で目立たせてあるのだ。

 その異様な風貌に、その看板の付近はしばらく人の流れが滞ってしまったほどだ。
 立ち止まって、ちゃんと読まないと、何が書かれているかわからないし、その異様な風貌から「これは、きっと殺人事件とか?」と、わざわざ足を止めた人々は期待に満ちた眼差しを向けるのだが、私も空いているときに、ちゃんと読んでみたのだが、どうやら、地下鉄に下りる階段のところで、75歳の老婆が黒っぽい服を着た家族連れの男性にぶつかり、老婆が階段を転落して「不幸にも」骨折してしまったらしい・・・・・
 「目撃情報求む」と看板があるからには、犯人(?)の男性はその場から逃げたということだろうけど、逃げたことは褒められたことではないが、でも、階段でちょっとぶつかって、相手が転落してしまったということ自体は犯罪とはいえない。

 なので、その仰々しい看板を真剣に読んでしまった人は、間違いなくちょびっとガッカリしていると思う。

 それにしても、あそこの階段は人が途切れることがほとんどなく、なにせ乗り換え駅だから、電車が着いたときには、いつもそれなりの人数が行き来するのである。深夜早朝ならわかるが、「75歳の老女」と「家族連れの男」がすれ違うということは、そんな辺鄙な時間では普通ないはずだが・・・・あれ?その「事件」が起こった時間は何時だったんだろう?
 階段から転落した老女が「ただの骨折だった」(まあ、それで寝たきりになっちゃうかもしれないけど)と気がついた時点で、興味を失ってしまったので、あまりちゃんと読んでなかったのだった。

 でも、あの警察作成の看板は、なんか電波な浮浪者が地下道で自作の絵や紙の展示会しているのと、とても似た雰囲気だった。やっぱし警察は「書道の精鋭部隊」を組織しており、その中でも「電波系書道」の才能に恵まれた人を「目撃者探しの看板作成部署」に配属しているのではないか、と思ったということを言いたいだけでずいぶん長々と書いてしまいました。
 あったらいいな、「ハイパー書道隊」

 今日もまた、派遣のOさんの言動にちょっとイライラ。
 まるで、小姑のようなので、些細なことでイライラしている自分が嫌いだが、でも、「具体的に、いったい何がイライラするのか」を書き連ねることで、原因を分析しようという冷静な行動ともいえる、けど、なんか「魔太郎」みたい、って自分で突っ込んでおく。

 例の「凍ったアイスコーヒークーラー」も無事溶けたので、Oさんがその中身を洗っていた。(炊飯器みたいに内釜があり、その上に網と蓋がしてある)
 私がその横でホットコーヒーを汲みつつ「一晩置いておいたら、さすがに溶けたね」と、話しかけてみたのだが、そしたら彼女は、その洗った内釜をそのまま機械に戻そうとしていたので、「それ、干してからにしたら?」と言ってみた。
 普通、炊飯器の中身を洗った後は、干してから戻すでしょ?

 それで、私としては「ああ、すいません、気がつかなくて、そういえばそうですよね」ってくらいの返事を想像していたのだが、彼女はこう言った、

 「え?・・・・・いいんですか?」

 意味がよくわからなかったので、「いいんじゃない?」とそのまま返して席に戻った。

 いやほんとに、小心者らしいが真面目ないい人だということはわかるので、こちらとしても、なるべく気を配ってあげよう。言わないとわからないことも多いわけだし、と思っているのだが、なんか彼女が「何を基準にして真面目なのか?」がよくわからない。いっそ、いいからかげんな人だったらいいのだが。

 そして、私が夕方、またシュレッダーが詰まっていたので直していると、さささと寄ってきて「あ、すいません、私がやります」と言ったが、もう作業はほとんど終了していたし、私はその作業が嫌いではない。それに、そのシュレッダーは小型機なのに、最近、みんながドカスカとシュレシュシュシュするので、慢性詰まりになっているのだ。
 もう古いので、受け皿を揺らして均す機能も低下し、さらに受け皿が山盛りになると停止する機能も働いてないので、気がつかない人がどんどん紙を食わせて、それで下からあふれるのである。多いときには日に3度くらい掃除してやる。

 まあそれで、ついでだから「この機械、そういう機能がもう無いから、ときどき気がついたら、ドアを開けて、下に溜まったのを手で押して均すとこうはならない」と説明してあげた。

 そしたら、彼女が「これのスイッチって、オンにしておいたほうがいいんですか?それとも、使ったらオフにしておいたほうがいいんでしょうか?」
 「はあ?」
 と、私が変な顔をしたので、彼女はシュレッダーが隣接しているT部長の席から、書類が今にも崩れそうになっているのを指差して「自動にしておくと、これが危ないのではないかと・・・・」

 確かに、整理整頓が苦手なT部長の書類は、いつもシュレッダーに半分かかっており、邪魔なのだが、私は時々勝手に書類の山を押し戻している。書類の身を案じてのことよりも、シュレッダーの入り口がふさがれているからだ。

 そして、そのシュレッダーはいつもたいていスイッチがオンになっており、書類を挿入口に差し込むと自動的に動き出すタイプ。
 待機電力に辛い私も、時々そのスイッチをオフにしておくが、他の社員はそのシュレを「つっこめば、すぐ食う」ものだと思っており、スイッチがオフになっていると「あれ?」と言いつつ、シュレした後はそのままにする。

 例えば私が、新しい職場に行ったとして、シュレッダーの待機電源について質問したりするだろうか?
 自分がシュレしに行ったときに、オンになっていれば「付けっ放しにしてんだな」と思うし、オフになっていれば自分が終了したあとオフにしておくし、オンになってたり、オフになっていたとしたら「どうでもいいんだな」と思うだけである。

 トイレの電気などに、うるさい会社などでは、スイッチのところに「マメに消しましょう」って張り紙くらいしてあるわい。もちろん、自分がそういう「つけっぱなし」を許さない性格だったら、そこらじゅうにそういう張り紙を貼って、「地球にやさしく」を連呼するもよし。

 もちろん、シュレッダーの電源についても「これって、つけっぱなしだと電気がもったいないですよね?」と言われればその通りだし、T部長の書類が危ないと思ったら、スイッチをオフにするなり、書類をどけてやるなり、さらに気を利かしたいのだったら、T部長に向かって「これ、ヤバいですよ。よかったら書類を整理しておきましょうか?」と言ってやればいい。

 そういう気の利かせかただったら、大歓迎なのだが、「オンかオフか、どっちですか?」って聞かれても、困るのだ。
 さらにその後、「なんで、そんなこと私にばっかり聞く」と思ったのが、社長へのお茶入れのこと。
 3時にお茶を出すことになっているのだが「下げるタイミングっていつくらいでしょう?」
 まあ、たしかに、社長は一見、気難しく見えるので、新しく来た人は気軽に社長室に入りにくいのはわかる。
 ので「ああ、私は用のあるときに、空のカップみつけると下げるけど・・・・まあ、ずっとほったらかしになっていたら、適当に下げてあげてください」
 そしたら、「でも、もし、お茶が残っていたらどうしましょう?」

 彼女が大卒の新入社員なら、「お茶汲みも初体験なんだよな」と笑ってしまうような質問だが、なにせ「元・一流ホテルのフロント勤務」の人に、そんな接客の初歩を聞かれるとは・・・・・
 「残っていたとしても、1時間もたってたら冷めてるだろうし、下げてもいいか伺うとか、あと、『いれなおしましょうか?』って聞いてみるとか・・・・・

 話しているうちにイライラしてきたので「社長がいつ、どのくらいお茶を飲みたがっているのか私には正確にはわからないので、もし気になったら社長に直接聞いてみてください」と断言してしまいました。でも、いちおう「そんなにお茶をガブ飲みする人じゃないんで、そんなに神経使わなくても大丈夫」と言っておきましたけど・・・・

 そんで、そのOさんに、ここんとこずっと質問攻めにあっているOさんの隣の席のMちゃんに、さりげなく「そーいや、Oさんって細かいこと聞いてくるよねえ」と言ったら、Mちゃんも胃潰瘍持ちの神経の細い人だから「うーん、そうだよね。でも、自分がそうだからわからなくもないんだけど・・・・」
 たしかに、Mちゃんの受け答えを小耳にすると「細かいことを質問する人」対「できるだけ細かく説明しようとする人」になっていて、かなり泥沼状態。まあ隣同士だし、OさんもMちゃんには話しやすいみたいで「私けっこう体が弱いんです」な無駄話しも多くなってきた。

 私としては、Mちゃんの胃潰瘍が心配である(笑)
 そんで、Mちゃんの隣に立ってそんな話しをしていたら、ふともう退社したOさんの席に立てかけてあるファイルがなんか気になったので、まっすぐに直してあげようとしたのだが、なんかちゃんと納まるところに納まらない。
 私が「ま、いっか」と立ち去ろうとすると、さすが繊細なMちゃんはすかさずそれに気がつき、今度は彼女があれこれ直そうとしたが「あれ?」
 「やっぱ、それ変だよね?」「うーん、なんか前はもっときっちり揃っていたような・・・・」
 二人であれこれイジっていたのだが、ブックエンドがまっすぐ立っていなくて、ファイルも雑に突っ込んであったので、ちゃんと納まらなくなっていたのだった。
 「この場合は、あの場合は」と細かい人なのに、そういうところは大ざっぱで、管理を任せている給湯室のフキンなどもちゃんと畳めていない。

 それでいて、給湯室で作業しているときに電話やインターホンが鳴ると、ダッシュで駆けて戻ってくるので、人間が出来ているK嬢は、その必死な様子に負けてインターホンを出るのを譲ってあげていたが、それに気を良くしたのか、その後もさらに猛ダッシュが止まらないので、「言わなきゃわかんないんだな」と観念して「総務に人がいるときには大丈夫だから、走らなくてもいいです。そんな高いヒールで走っていたら、そのうち転ぶよ?」と言ったら「はい。すいません」

 なんか、きっと根が体育会系というか、「電話はまず1コールで新人が全部とれ!」なんていう体育会系職場で育ったんだろうなあ。そんで、きっと電話応対でも「ちゃんと全部きちんと応対できるようになれ!」って怒鳴られたんだろうなあ。だから、自分が上手く対応できないので、社員に電話を代わってもらうと「すいません」になるようだ。
 こっちも「こういう電話は時々ある」という場合は、ちゃんと説明しているつもなのだが、説明不能の事態も多いわけで、あたしだって「困ったなあ」ってことが多いので、その辺をもう少し察してほしいのだが・・・・

 まあでも、だんだん覚えてくれてはいるようだし、こっちも「まあ、適当に・・・・」ってことをなるべく言ってあげるようにしているので、だんだんリラックスしてくれればいいんだけど「なんで、あたしが派遣社員に気をつかってあげないといけないのじゃ?」と思うこともある。
 今まで来てくれた人が、みんな適度な気の抜き方をうまくやっており、こっちが気を使うことはなかったので、みんなそうやって自然と空気を読んで(社員さんたちも、かなりテキトーに自己流でやってんだな)それでいてキチンと仕事をしてくれていたので、こっちも甘えていたのだが、世の中そうそう、うまくはいかないものだな。

 なので、また今日もここに愚痴って発散しているのでありました。
11月10日(水)

 昨晩は久々にスプラッタな夢を見た。

 なんだか知らんが、昔の友人と集まって談笑しており、途中で駅に向かって歩いていたのだが、私と同じ駅から電車に乗ることになったのは、とある友人(たしか、小学校のときにクラスで一番成績のよかった子。その後、全く付き合いは無い)の彼氏であった。
 素朴そうな好青年である。彼と喋りながら駅についたのだが、なんか「久々に合った友達の彼氏」という「ほぼ他人」と世間話をしているのが辛くなり、駅前にあった小物屋の店先に興味のあるものがあるふりをして、「あ、ちょっと寄りますから、先に行っててください」と声をかけたつもりなのだが、私の意図が通じず、彼は店の外でぼんやりと待っていてくれるので、店の中から「ほら、電車来たんで、いいですよ、先に帰ってください!」と怒鳴った。

 井の頭線の駅みたいに、駅の改札のすぐ横が踏み切りになっていて、その店は踏み切りの目の前だった。
 カンカンカンと、踏み切りが電車の近づいているのを知らせている。
 彼も、私が「先に行け!」と言うので、すぐに改札に向かった。
 ところが、井の頭線の東松原っぽい駅のくせに、その踏み切りには遮断機がなかったのだ。
 慌てて改札に向かった彼は、思いっきり電車に轢かれてしまったのである。

 大騒ぎになる周囲。そして、散らばる轢死体。(実物は幸いにも見たことがないが、夢の中で私が作った映像は、かなりのもんだった)
 ゴロンと上半身「だけ」があっちを向いて転がっており、下半身は滅茶苦茶になって、中途半端に車輪に絡まっていたりする。
 そんで、親切な周囲の人(?)が、ちらばった肉片を拾い集めてあげている。

 そして、私は、「しまった。私が変な寄り道しなければ、こんなことにはならなかったのに」と茫然としていたが、それと同時に、「友達に私のせいだと言われたら、すごく困る」と思ったので「もっと手前で別れた」ということを装うために、その場をトンズラしようとしたのだが、そのためには、彼の死体を跨いでいかないといけなくて、夢の中のこととは言え「私って、いやなヤツだなあ」と、うら寂しい気分になりました。

 その後、電車であちこち逃げ回るのだが、なんか思ったところに行ける電車が来なくて、(気分的には、成田から横浜に行きたいのに、なぜか水戸行きの電車ばかり来るとか・・・・・)それでも、なんとなく乗り継いでいたのだが、目的地(どこだったのか?)から、だんだん遠ざかったあたりで、お腹が空いたので、食堂に入ると、そこがまた変な家で、三世帯が同居して、玄関や台所は別なのだが、変なところで繋がっていたりするので、店主に「トイレは、家に上がって2階」と言われたのに、いつのまにか別の家族の住居に入ってしまい、とうとうトイレは見つからず。(悪夢の基本)

 そんで、うろうろしていたら、まださっきの「轢死体」の印象が強かったのか、目の前を手押し一輪に詰まれた「元・人間だったらしい肉体の大盛り」が横切る。ああ見たくない、と思っても、カバーの掛け方が雑だったので、はみ出した脳みそが整然と置いてあるのが見えてしまったのだ。

 そんで、極めつけが、そのあたりをウロウロしていたら、駅前のショボいホテルから、どっかで見たことあるような外人中年男性が3人ほど歩いてきたのだが、ふとそれが「デュラン・デュラン」のメンンバーであることに気がつき「なんで、こんなところに?」(そういえば、最近、オリジナル・メンバーで復活したとかいうニュースをどっかで見たような気もするが、あれも夢?)と思ったが、「いいや、ついでだから握手くらいしておこう」と全員と握手していたら、今後はまた別の外人男性数名が束になって歩いていて、そっちはなんと「ジャパン」のメンバーで、「デュラン・デュラン」は「ついで」扱いだったが、ジャパンのデビシルにはダッシュで走っていきましたよ、あたしゃ。

 つーわけで、朝起きたときに、強烈な脱力感から、しばらく起き上がることができませんでした。

 そんなわけで、朝の支度はとっとと済ませて、いつもよりちょっと早く(10分くらい)家を出たのですが、変な夢を観たあとだから、頭が冴えていたらしく(本人比)、「あ、そうだ、デジカメ持って出よう」

 前にも日記に書いた、「季節外れのアサガオ」がそろそろシボんで来たので、カメラに収めておこうと思ったのです。

●飾り窓

 近所の「名物猫」が、定位置にいたので、ついでに撮ってみました。朝からお仕事ご苦労様です。
 ちなみにこの御宅、猫がいつもこうやって外を見たがるので、家の中が丸見えになってしまうのを防ぐために、隅に出入り穴のついた白い目隠し衝立を置いています。
 でも、それがまた妙に、「飾り窓」っぽくてさあ。一度しか見学したことないけど、アムスの飾り窓本家も、なんか奥行きの無い部屋というか、「やや奥行きのあるショーウィンドー」だったでしょ?

●晩秋を彩る朝顔

 小学校の北側なんで、朝は日当たりが悪かった。

 ついでに、「真っ赤に熟した柿」とか「まだらに紅葉した桜」とか「まだらに紅葉したイチョウ」も撮影したが、上手く撮れなかったので却下。

●晩秋を彩るおしろい花

 この花も、「夏休みに咲く花」というイメージがあんだけどなあ?

 他にも「モデルさん」を探してみたのだが、なんと前にも日記に書いた「月下美人を見せびらかす家」且つ「巨大ナメクジを貼り付けている家」の女主人を初めて目撃!
 もっと、バリバリの「中高年ガーディナー」(英国風ガーデニングなどに日寄らない気概あり)を想像していたのだが、私の想像よりも、一回り年上の70歳くらいで、丸太のような体型をした、いかにも割烹着が似合いそうなオバアサンでした。

 そんで、その家の門のお立ち台(門塀の上ってことね)には、「ちょっと痩せたドラゴンフルーツ」のような、とげとげの妖しい蕾をつけたアロエみたいな鉢が置いてあり、もう少ししたらアレがまた巨大な花を咲かせるね。

 「いつも見事なお花で、とても楽しみにしておりますのよ、ほほほっ」というお世辞の一つも言いたくなったが、あちこち写真を撮っていたら、いつもの電車に乗り遅れそうだったので、断念した。

●この時期の街の紅葉が大好きだが、それを写真で表現する腕がない

 前にも書いたと思うけど、とにかく色が混ざっていて「立体感」が出る瞬間が一番好きだ。
 だって、まるで印象派の風景画が、目の前でコスプレしてるみたいじゃん。(他にもっと高尚な褒め言葉を考えつかないのか、わたし)
 ところどころ、黄色くなったイチョウなんて、ほんとにモネが描く「木々が光に反射して、黄色に輝いている」みたいなんだもん。

●さて、今日はテンションあがっちょりますが、それには深いわけがあります

 いやー、びっくりしたんだよ。
 今日の全ての出来事が(悪夢も含め)、この前フリだったのか?って思ったくらい。

 ええと、この日記、うちの会社関係の人は読んでないですよね?
 まあ、そのうちすぐ(早ければ今週末)公表されると思うけど、今はまだ知ってる人は少ないと思うので、しらんぷりしててくださいね。

 夕方、クララ(知らない人のために解説しておくと、経理課はロッテンマイヤー先生こと私と、やんちゃなハイジ、おっとりしたクララの3人で構成されている)が、私の席に寄ってきて、「ちょっとお話があるんですけど・・・・」

 いつもの仕事上の質問だったら、その場で済むわけで、それが「何か重大なこと」だってことは、いくら鈍感な人だってわかる。逆に私が前に、上司に「ここでは話にくいんで・・・・」と会議室に連れていったら、上司は「え?え?何、何?」と、ひどく動揺していたので「いえ、プライベートなことじゃありませんっ」って言ったくらいだ。(フルで働いているパート社員を2年間もそのままにしておくのは、ちょっとマズいっす、と進言したかったのだ。社会保険に加入させないと本当はいけない)

 で、ミーティング・ルームで向かい合わせに座り「それで?」とニッコリしてお伺いすると、やはり、
「実は、結婚することになりまして・・・」

 元々、口数も少ないし、声も小さい、可憐な乙女であるクララは、それでも変に恥らうことなく、淡々と「それで、急なんですけど、1月に結婚式をします・・・・」ふんふん、と聴いていると、「それで、実は妊娠しているので・・・・・」

 ど、どこのドイツだあ?
 私の手中の珠であった、クララを孕ませたケシカラんヤツは〜〜〜〜〜〜〜〜

 と、ミヤノさん、絶叫したくなりましたが、あまりの驚きに逆に冷静になってしまい「ということは、いつまで働いてもらえるのだろうか?」という非常に事務的な質問が先に出てしまいましたとさ。
 「できれば、ギリギリまで、6月くらいなんですが・・・・」

 まあ、そんなわけで、なんとか「おめでとう。体には気をつけて仕事してね」と大人な発言ができたのですが、それから席に戻ると、横隔膜が痙攣してきて、意味もなく笑いたくなった。

 まあでも、よく考えてみれば、彼女は今でも「大学1年生」くらいにしか見えないが、26歳なんである。適齢期やないか。
 ま、それに彼女を嫌う男はいないだろうし、今どきあんな可憐な子は珍しいので原節子あたりとか宮沢りえとかが好きな人がいたら「こんな女が現存してるんだ!」と、奪い合いになるだろうと思っていたが・・・・・あっさり奪われてしまったな。元総務部長だったO氏も、いつも酔っ払うと(彼が酔っ払っているところにクララが同席する機会は少なかったが)、クララに「おまえ、マジにオレの弟どう?」と絡んでいた。O氏の弟は「財務体質に定評があって、最後まで潰れなさそうなゼネコン勤務で、一級建築士の資格をもっており、もちろん独身の30歳」だそうで、「はあ・・・・」と口篭もるクララの横で、酔っ払った私が「Oさん、クララがダメだったら、あたしに紹介してくらさいよ〜」と言うと、O部長は酔っ払いのくせに「うーん」と真面目な顔をして口よどむのであった。

 O氏にとって、クララは「義理の妹にした女子社員ナンバーワン」だったのだろう。
 私も、クララをアキバに連れてって「おにいちゃん」と呟かせれば、周囲の「妹萌え系」を3人くらい心臓発作で殺せる自信がある。

 どんな男性社員も、クララの席にやってきて、なにやら話しをしていると「優しい家庭教師のおにいさん」に変貌するのが面白かった。まさにロールプレイの世界。他の女子社員のパソコンの調子が悪くなったら「おめー、また壊したのかよ、また変な画像とか入れただろ!」と、憎まれ口を叩く人でも、クララが「パソコンが・・・」と呼び出すと「どれどれ?」と優しく親切に対応するのだ。

 そういう凄い素質を持っていたので、クララが毎日のようにコックリと昼寝していても構わなかった。
 やり手ババアな私としては、「私がこれを担当者に言うと、向こうが身構えてしまうと予想される」案件をなるべくクララにやらせていたのである。
 私の思惑通りに丁寧にやってくれたので、「経理はなにかと口うるさくて怖い」というイメージをかなり払拭できたと思う。

 まあ、そういう、ある意味では優秀な人材だったから、「これは20代のうちに、バカな男にカっさらわれちまんだろうなあ」と覚悟はしていたが、あと2年くらい持つかと思っていたのに〜〜〜〜
 やっぱし、私の勘ってナマクラ。全然気がつかなかった。これで、相手が社内だったら、ダブルパンチだわさ。

 しかし、現実問題として、仕事はどうしよう。
 今、経理は「2.5人分の仕事をゆったり3人でやっている」という状態で、ハイジが配属されてからはほんとに余裕。
 だから、その気になれば、元々2人でやれた仕事量だし(残業や休日出勤で泣いたが)、ハイジはクララの1.5倍くらは余裕で働くので、2人でも間に合うと思う。でも、土曜日まで出勤しなければならない問題があり、2人でシフトを回すのはけっこうキツい。
 それに、クララに割り振っていた仕事は「難しくないが、根気が必要」な仕事が多く、気合が勝負の大ざっぱな私には「あまりやりたくない仕事」だったりするのだ。

 先のことを考えてもしょうがないし、またT部長と話し合わないとな。
 ああ、そっちのほうが、めんどくせー

 でも、T部長の対応はずいぶん慣れてきて、「まあ、いいや」と諦めの境地で、けっこう楽しくお喋りできるようになったのよ。コツをつかんだの。世の男性の多くが奥さんや彼女の「ぐちぐち話」を聞き流すのと多分同じテクニックだと思うんだけど、向こうがネチネチ言ってきたら「うんうん」と真剣に聞いているフリするだけで、相手がそれで考えをまとめてくれるのをじっと待っているんだけど、30分たってもまとまらなくても「ぐあああ」と噴火しないで「今日は、まとまらなかったけど、明日になったらまとまるかも」ってじっと我慢して、それが一週間たってもその調子でも「うんうん」と初めて聞いたようにちゃんと聴いてあげるの。

 どっちが「おやじ」なのか、わかんなくなってきて、ナチュラルハイが味わえます。

 それに、私の最近の「オフィスでの天敵」はT部長よりも、派遣社員のOさんになっているので、相対的にT部長のことはどうでもよくなっている。

 今朝も東京事務所の社員が外から変な電話を掛けてきて、Oさんが困っていたので電話を代わったのですが、どうやらその社員Nさんが遅刻してしまったらしく、そうなるとその事務所のバイトや派遣社員が中に入れないので、なんとか連絡をつけたいんだけど、派遣社員の携帯電話を知りませんか?とかいう、アワアワした電話で「そんなの、こっちじゃ、わからないけど、まあ、まあ、落ち着いて・・・」と、なんとか相手していたのだが、そのうち、彼女の携帯に連絡が入ったらしく用事は済んだ。
 そしたら、後ろでハラハラと見守っていたO」さんが、「ありがとうございました、すいませんっっ」

 いや、聞いてりゃわかるでしょう。あたしだって対処できなかったんだもん、勤務二週間目のあなたが上手に対処できるわけがない。
 なので、あっさりと「ううん、Nさんがおっちょこちょいなだけだから、気にしないで」と言ったのだが、そのあとまた「それで、一つお伺いしてもいいでしょうか?」と言ってきたので、あー、またかよ、と思って「なに?」と聞いたら、ユニマットで借りている(あそこは機械はタダだが、豆代で金をとる仕組み)アイスコーヒーメーカーの中身が凍ってしまったらしい。

 「こういう場合、どうしたらいいんでしょうか?」

 知るか!

 「ミヤノさ〜ん、なんかアイスコーヒーが凍ってるんですけど〜」
 と言ってもらえれば、私もただ「ぶっこわれたんじゃないの、ガハハ」と笑えばいいだけなんだが、真面目に聞かれても困るし、それに、もうアイスコーヒーは売れないから、その機械を撤収してもらうという話になっていたはずである。
 なのに、彼女は真面目に毎日、アイスコーヒーを作っていた。
 決められたことはきちっとやるが、たとえば、彼女が出勤したときにエアコンのスイッチを入れるらしいが、翌日の温度設定そのままなので、いつもトンチンカンな設定になっているのに気がつかない。
 加湿器も毎日律儀にセットしてくれてる。たぶん、梅雨が来てもちゃんとセットしてくれるだろう。

 「こういう場合、どうしたらいいんでしょうか?」って言うけど、普通の人だったら「スイッチ切る」とか考えるだろう。最低でも「スイッチ切っちゃっていいもんですかね?」って聞いてくるだろう。「スイッチ切ろうとしたけど、スイッチが見つからないんです。ご存知ですか?」って言われるのなら、普通である。

 「しょうがないから、お湯かけてみたんです」というセリフで、彼女が「バカ」なのがわかったので、「いや、スイッチ切れば自然に溶けるでしょ。この機械はスイッチなかったと思うから、コンセント抜きましょう」と、コンセントを抜いて「うっかり飲む人がいるといけないから、張り紙貼っておいてね」と指示した。

 後で、ユニマット担当のK嬢が出勤してきたので「アイスコーヒーが凍ってんだよ」と言ったら「はあ?」と言うので「見物だから見て見て」と給湯室につれていったら「はははは」と、やはり笑っていた。「どうしたらいいのでしょう?」じゃなく、こういう場合は笑うのが正しい。
 それに、レンタルの機械が故障したからって別にどうでもいいし、アイスコーヒーが作れなくなったからと言って、それが真夏でも別に他のもん出せばいいだけじゃん。

 ほんと、悪い人ではないのだが、生まじめで、しかも頭が悪いという、私の一番苦手とするタイプなので、あまり仲良くしたくない。
 この間もそんな話をMちゃんに聞いてもらったのだが、翌日反省して、「彼女も不安なのだ。もっと親切にしてあげよう」と思って、たまたまT部長のところに親会社の偉い人が2名打ち合わせに来ていたので「あの人たちの顔と名前は知ってる?」と聞いたら「いいえ」と暗い顔をするので、「よくいらっしゃる方たちだから、名前覚えておいてね。あっちの・・・・の人が親会社の顧問のYさんで、あっちの・・・・の人がIさんで、役員さんなの」
 「はあ・・・・」と不安そうな顔の彼女は、私には謎の質問をぶつけてきた。「何てお呼びすればいいんですか?」「普段は親会社のどちらにいらっしゃるんですか?」

 呼び方・・・・・えっと、Yさんは確かに「顧問」だけど、あんまし「Y顧問」なんて呼びかけたことがないな・・・・そんで、いつもの居場所って、それって、こっちの業務に必要?
 まあ、そういう情報も重要なのかもしれないが、私がなんのために、親会社の重役の名前を教えておいたかというと、彼らはいつもひょっこりと現れ「あれ?社長いないの?じゃあ、戻ってきたら、教えてくれる?」なんて言うので、もし、彼女が一人のときに、そういうことをいきなり言われたら心細かろう(明らかに常連客の人に、お名前をいただくのは心苦しい)と思ったので、「顔を覚えておいてね」と言っただけだったのだが・・・・・

 呼び方なんて、周囲の会話を聞いていれば自然とわかるし、そりゃ、特殊な呼び方(役職名だけとか)をする人もいるが、「○○さん」と言っておけば失礼にならない。「○○銀行の○○支店長がお見えです」というのが正しいのか「○○銀行の支店長の○○さんがお見えです」がいいのか、どっちでもいいし、それにたいていは「○○銀行の○○さんがお見えです」でも通用する。はっきり言って、どうでもいいことだ。あだ名みたいな役職名なんて、一種のスラングなんだから、そんなの覚えなくてもいいよ、と思うんだが・・・・

 うちのフロアには二人「鈴木」がいるし、会社内には他にもう一人、何年か前まではさらにもう一人いたので、鈴木さんたちは社内では「ファーストネーム」で呼ばれている。
 昨日、Oさんが、鈴木Jさんに向かって「鈴木さん、お電話です」と呼びかけても、Jさん無反応で、彼女がしばらく「鈴木さーん、鈴木さーん」と呼びかけたら、やっと起き抜けの高校生のように「オレ?」という顔をした。

 みんなが彼のことを「Jさん」と呼んでいることに気がつけよ、と思ったが、たしかに、急にそう呼ぶのもどうかと思う気持ちもわかるので、彼女にあとで「Jさんったら、鈴木さんって呼ばれても無反応だから、Jさんって呼んでいいのよ」と言ってあげたら、また「あ、すいません」
 だから、そこは恐縮するとこじゃないだろう。ローカル・ルールなんだから「ふーん」て顔して聞いてりゃいいだけだ。

 さて、愚痴も書き連ねたし、もう寝ようっと。また悪夢見るかな?(でも、過去の経験だと、そういう変な夢は立て続けには見ないはずなんだけど、新潟地震みたいに余震が続くというケースもあるわけだし)  
11月9日(火)

 日曜日の夜に、Mちゃんに電話したら留守電だったので、「明日の月曜日は休みなので、お暇だったら、懸案の下北のイタリアンのランチに行きませんか?」とメッセージを入れておいたが、月曜になっても電話がなかったので「きゃつはまた、どっかに飛んでいるな」と思っていたのだが、月曜日の夜10時ごろに電話がかかってきて、

 「いやー、ちょっとナッシュビル行っててさあ」

 やっぱし。

 で、「アメリカといえば、民主党支持者の多い、東西の海沿いとラスベガスしか知らない」し、さらに、「足を踏み入れたことのある都市はNYとフィラデルフィアだけ」という私には、ナッシュビルという街がどこにあるのか、わかるわけがないので、

 「ああ、ナッシュビルって名前は知っているが、どこ?ニューオリンズとか、あの辺っぽいイメージだけど」
 「テネシー州」
 「ああ、テネシーね」

 と言っても、テネシーがどこにあるかなんて、やっぱりわからないので地図を開くと、「ああ、やっぱこの辺か。なんか、あからさまに共和党ってかんじ」

 Mちゃんも、いつも仕事で行く前には図書館に駆け込んで、ガイドブックを借りるそうなのだが、今回はそんな時間もなく飛ばされたので、3泊の予定をどう潰そうかと、観光案内所を訪ねてみたら「今日の催しもの」という看板に、「モリッシー」と書いてあったので、「こ、これは、私の知ってる、あのモリッシー?それとも、全く別のモリッシー?」と悩んだそうだが、ダウンタウンもそんなに広くない街らしく、Mちゃんが宿泊しているホテルから徒歩5分のところにある、けっこう歴史のある音楽ホールでやるやしく「これは、行ってみるしかない」

 チケットは今は日本ではすっかり廃れた「スライド料金制」であり、普通席が30ドル(「やすぅ〜〜〜、日本でやったら最低でも6000円は取るでしょ?」と私が叫ぶ)、で舞台に近い特等席が80ドル(「たかぁ〜〜〜〜、誰がそんな金払ってモリ氏観るかね?アメリカって、インドみたい!)だったそうで、チケット売りのスタッフに「いやあ、仕事でたまたまこの街に来たんすけど、モリッシーのファンなもんで、こんなところで偶然出会うなんて超ラッキー」と言ったら、向こうも多分暇だったし、東洋人も珍しいという土地柄&Mちゃん、世界のどこに行っても「ちっちゃいけど礼儀正しい東洋人の女の子」(←私より一つ年上なんだけどさ)で通用するんで、どこに行っても親切にされるのが自慢なんだが、そんときもチケット売りの人が親身になって「この席がいいわよ」と、よさげな席を選んでくれたそうだ。

 安い席だったけど、思ったよりずっと舞台は近くて、そんで出てきたのは本当にモリッシーで、かなり堪能できたようだ。

 それにしても、日本人観光客なんかか絶対に行きそうにもない「テネシー州、ナッシュビル」で、モリッシーのコンサートを観たなんて、「モノより思い出」というか「思い出つくり」というか、得したな!うらやましいぞ!だって、フジロックはキャンセルだったしよ!

 そもそも、そういう「カントリー音楽ばっかりの町」というイメージのあるところで、モリッシーなど聴く人がいるということが、極東英国音楽好きには「永遠の謎」であるが、Mちゃんの隣の席に座っていたのは「おばあちゃん」だったらしく、最初は「歴史あるホールだし、間違って来ちゃったとか、関係者の親類でタダ券もらったから暇つぶしとか」と想像していたらしいが、モリシーが登場すると、そのおばあちゃんは「前が見えない、どけ」とばかりにノリノリで、「ほんとーのほんとーに、モリのファンだったようだ」

 さらに「あのバアサン、追っかけなのかもしれないと思ったんだけど、アンコールの途中で席を立ってしまったので、あれ?と思ったんだけど、その次にやったのが最後の曲で、だから、ちゃんとセットがどうなっているのかわかってんだよね」
 「うわ、最後から一曲目のときに、出口に向かうって、ムチャクチャ通じゃん!」

 他の客も「普通にアメリカの街を歩いていると、いそうでいない英国っぽい若者」が多かったそうで、やっぱしアメリカって奥が深いよな。ただし、「でも、デブが多かった」というのは、英国ではあまり見かけないのだが・・・・
 で、モリ氏は舞台にあがったデブたちに囲まれてしまったそうだ。
 それで、本当なら最後にやるはずらしかった曲が割愛されて、終了しちゃったので、ホールの外に出ると怒りが収まらないオタクが騒いでいて、Mちゃんも「その人と、ちょっと話しがしてみたかった」と言っていたが、時間も遅かったし、いくら徒歩5分といえども、夜は人通りもないダウンタウンだから、足早にホテルに向かったらしい。

 つーわけで、すっかり「アメリカの田舎(じゃなくて州都なんだろうけど)で観たモリッシー話」に花が咲き、あれこれ話しているうちに真夜中になり、私もついでに仕事の愚痴を語っているうちに、外は明るくなり、またコードレス電話の電池が切れるまで話しまくっていたのであった。

 なので、今日は2時間しか寝ないで出勤。
 でも、思ったより眠くならなかった。
 でもやはり集中力散漫。
 今日は早く寝よう。今週は忙しいのだ。
11月8日(月)

 昨日の日記は途切れているが、書いているうちにアホらしくなってパソコンのスイッチを切ってしまったのでありました。(ほんとに、ブチっと)

 結局、数字が揃ったので、せこせこと作っていたのですが、午後3時ごろイベント会場からT部長が戻ってきたので「昨日のメール、添付忘れてましたよ〜〜〜〜」と嘆いたら「ああ、ごめん、ごめん」と、K部長が作った数字に、T部長がなにやら足したものを送ってもらい、それで最終調整してT部長に渡して完了。

 そんで、気分よく帰ろうとしたんだけど、なんかT部長はあれこれ言いたい気分らしく、しばらくお話に付き合う。
 今期の売上アップが見込めないので、T部長としては「これはイカん」と悩んでいるわけでだが、「これは、なんとかしないとなあ」って私に愚痴られても、お答えのしようがありません。

 つーか、私にとってすごい謎なんだけど、なんでもっと長期的に経営戦略を立てていないのだろうか?
 長期的っつーか、せめて5年先くらいまで考えるべきだと思うのだが、そういうのが感じられないので、「これはヤバい」と言われても、なにがどうヤバいのか私にはよくわからない。
 別に赤字になるわけでもないので、「これでいいじゃん、思ったとおりだ」とも言えるのである。

 基幹業務(親会社からの売上)はすごく利益が上がるので、それだけやってりゃいい会社だったのだが、私が入社する少し前くらいから「外向けの事業」を始めていたのだが、そういう新規事業は利益は上がっても、とても人件費まではまかなえない。
 その当時は「独立採算制」な表を作っていたのだが、それやっちゃうと、赤字部署ばっかりになってしまうので、いつのまにか作るのをやめた。そんで、重要なのは「今は採算とれてないが、何年後には黒字にのせたい」というビジョンを持つころだと思うのだが、基幹業務で儲けた資金を元にどんどんイケイケで新規業務を増やしていったので、売上の数字だけは伸びたのだが、当然のことながら利益は少なくなる。

 そんで、事業拡大の投資ばっかりするもんだから、資金繰りがだんだん悪化してきたのだ。
 でも、悪化したと言っても、「この投資した分を何年で回収して、借金をどのくらいで返済するか」という目標がそもそも無いので、今の状態が「いい」のか「悪い」のか私には判断ができない。

 まあでも、今期の売上が伸びないのは予想ができるらしいので、部長としては「じゃあ、経費を圧縮っていっても・・・・」と悩ましいようなのである。
 で、それは、総務部長が一人で考えてもしょうがない話だ。他の会社がどうなのかわからないが、うちの会社は数人いる部長達の会議で経営方針が決定しているらしい。いわば「民主的」な経営なのである。それに、社長というオーナーの独断がちょこっと絡むくらい。

 でも、そういう中途半端な民主主義がうまく機能するわけもなく、実際、ちょっとでも財務諸表を真面目に見ていれば「このまま投資ばっかりしてたら、そのうちドン詰まるんじゃないの?」ということが誰もわかっていないというか、わかっていたとしても、誰も「じゃあ、こうしよう」と戦略を立てられない。
 日本政府の財政の縮図を見るような思いである。

 そんで、T部長にしても「ちゃんと会社の状態を把握したいから」と、おっしゃっておられるので「具体的に、何をどう見たいのか言っていただけないと、どういう表を作ったらいいのかわかりません」とバシっと言っておいた。
 そんで、今までも散々、いろいろな「表」を作っていたのである。
 でも、その数字を生かして「じゃあ、こう計画しよう」ということがなかったので、経理が一生懸命作った表は、ただ保存されているだけだ。

 そんで、笑っちゃうことに「数字にシビアじゃないところが、うちの会社のいい所でもあるわけだし」なんて、部長達は言いやがる。
 それだったら、それでいいと思うのだが、でも、それじゃあ、ちょっとな・・・・と思うらしく「こういう実績表を作ってくれ」って言われて、セコセコ作るのだが、それを見て「うーん、やっぱし」で終わり。
 100人くらいしかいない小さい会社なんだから、そんな集計表を見なくても、だいたいわかるのだ。
 それをわざわざ数字にまとめるのは、担当部署などに「この数字をもっと伸ばしたいし、この経費はもっと押さえられないだろうか?」って言うためにやるんだと思うんだけど、そういう話し合いが日常的にされているとはとても思えない。

 T部長がなにやら一人で勝手に気にしているのは「交際費」で、それは年々順調に伸びている。その多くが「社内コミュニケーション」であることも周知の事実なのであるが、社長も「それを押さえちゃうと、会社がつまんなくなるからなあ」と笑っていた。
 オーナーがそう言っているのだから、社員が会社の金で飲み食いしようと、経理の知ったことではない。
 それに、私としては「飲み食いしてもいいから、その分、もっと稼げ」と言ったほうがいいと思う。

 だから、私は「経費の圧縮の必要もあるかもしれませんね」と言っていても、それは一つの「提案」でしかないのだが、T部長はなぜか、私がそんなことを言うと「でも、交際費を削るっていってもねえ」と、私に愚痴る。まるで、私が「交際費が多すぎます」と責めているかのようだが、そんなことは言ってない。だいたい、私だって、社長のお供でしょっちゅう大酒飲んでいるのである。

 だから、私も交際費については、あまり厳しく突付ける立場ではないのだが、T部長は独り言のように「でも、うちの会社のいいところって、そうやって皆でワイワイ飲んでいるところでもあるし・・・・」知ってます・・・私も、飲み会の時のほうが社内情報収集できるので、積極的に参加しています。社長ともじっくり話しができるし。変な会議ばっかやっているよりも、飲み会で何かが決まることのほうが多いような気がするので、うちの会社こそ、「交際費」を全部「会議費」にしてもいいかもしれません、ってマジに思っているよ。

 で、昨日もまたT部長の「交際費が・・・・」という愚痴をさんざん聞かされて、「これはもしかして、『でも、交際費は重要だし』と、私を諭しているわけじゃないのか?」と気がついた。
 T部長は、我が社では珍しい「ゲコ」である。
 だから、社長の飲み会にもほとんど参加しない。
 でも「皆がお酒飲んでる場所の雰囲気は好き」と言っているが、やはり本音では「みんな、飲みすぎ」と思っているのではないか?
 でも、自分が総務部長になって、予算編成する際に「じゃあ、少し交際費を控えましょう」とはいえないらしい。
 だから、他の誰かにそうビシっと言ってほしいのだ。
 たぶん。

 だから、「会社の将来を悲観的に語る」ときに、いつも真っ先に「でも、交際費は減らせないしねえ」と言うのだ。きっと。

 わかりにく〜〜〜〜〜〜〜

 つーか、それを私に言われてもさ〜〜〜〜〜〜〜〜
 私が決めることじゃないでしょ、どう考えたって。

 ああ、ストレスが溜まるわ。


 さて、土日出勤したので、今日はお休み。
 お昼ごろ起きて、2時ごろ、行きつけの韓国料理屋でカルビクッパ定食780円を食す。汗びっちょりかいて気分爽快。その勢いで、家に帰ったら洗濯と「山になっている昔洗濯した衣類」を畳む。やっと床が広くなった。掃除機でばきゅーーーーーむ。

 近所の桜の木も葉が落ち始めた。
 あまり誰も大きな声で語らないが、桜は確かに花が美しいが、秋の落葉の季節もけっこう美しいのである。葉が緑・黄色・オレンジ色にカラー分解されて、美しい立体感を醸し出すのだ。

 ところで、近所の小学校の裏庭に、今ごろになって満開のアサガオがあるのだが、アサガオって、今ごろ咲いてていいのか?地球温暖化の影響?
 柿が、オレンジ色にタワワになっている横で、アサガオが青々と咲いていると、なんか変。

11月7日(日)

 どうもダジャレに弱いので、前にも書店で平積みになっていた「蹴りたい田中」を思わず買ってしまったが、昨日は「百年の誤読」を買って、夜中まで読みふけってしまった。
 「百年のゴトク」とかがホームセンターで売ってたら、きっと買っちゃうね。(うちのコンロのゴトクはかなりボロボロなことですし)

 さて、T部長から「ミヤノは管理職なんだから」と諭されて渋々やっている「今期の売上予算編成」なのであるが、うちの会社の「誰がなんのためにやっているのかよくわからないが、とにかくあんまし金にならない新規事業部門というか、やんちゃ部門」を仕切る部長さんたちからは、数字が上がってきたのだが、肝心の「基幹部門」の数字が待てど暮らせど届かない。

 T部長からは「金曜日までに・・・」と言われていたのだが、金曜日は、それをまとめるK部長がお休みで(私だけでなく、みんな土日出勤なので、平日休む人が多かった今週)、土曜日にK部長の姿を見かけたので、T部長に「あの〜〜、予算の数字きました?」って聞いたら、「ああ、さっき話したよ。夕方には上がるでしょう」

 ところが、夕方3時くらいから、T部長はずっと会議室に篭ってしまい、その数字が来てるのかどうかわかんないときに、K部長が総務のあるフロアの喫煙室でタバコを吸っているのを見たので「あの〜〜〜予算の数字は・・・・」とお伺いすると「ああ、もうTさんに送ったよ」
 「でも、T部長、ずっと会議室なんで・・・・・・」
 「ははは、でもメールしたのって20分前なんだけどさ」

 あー、そうなんですかい。まいったな。T部長がそれを見て確認してくれないことには、私は何もできない。

 そろそろ帰ろうかと思っていた6時過ぎに、やっとT部長の手が空いたので「Kさんがメールしたそうです。それで、私はもう帰りますから、数字が確定したらメールしておいてください。明日出勤ですので、明日まとめます」

 と、言い残して退社した。

 そんで、今日。出社してから、メールを開けると、T部長からメールがあり「これで、まとめてください」

 ・・・・・・・・しかし・・・・・・・・やられた・・・・・・・ファイルを添付し忘れてやんの・・・・・

 しばし茫然となり、グレて新聞を端から読んで「なんのために、出勤しているの私・・・」と絶望感を満喫。
 しかし、天は我を見放してはいなかったようで、たまたま別件で、別事務所にやはり「待機」していた元上司O部長が別件で内線してきたので「ああああ!Oさん、いたんですかっ!」

 今はO部長が「基幹業務」の部長。でも、前部長のK氏を通していたので、現職O氏→前職K氏→総務部長T氏→私、というややこしい経路になっていたが、O氏が挙げた数字をK氏が添削したものをO氏は持っていたので、とにかくそれを送ってもらうことにした。

 O氏は大ざっぱというか、私と同様に「あまり、順番を気にしない性格」であるので、K部長、T部長という大御所をすっとばして私に数字が行くのに疑問を持たないタイプだが、K部長は、「T部長を通さないと」という、元々、某お役所勤めという経歴を生かした「がーーー、お前みたいな役人ばっかだから、日本はダメなんじゃ」という「効率」よりも「仁義」を重んじる人なので、なかなかスムーズに事が運ばない。

 なんだかよくわかんないが、O部長は「とにかく、数字がまとまればいいんでしょ」という、あっさりタイプで、T 部長は「そうは言っても仁義も大切だが、仁義仁義といっても、おれはそんな暇がないから、部下に任せちゃうよ〜ん」なんだけど、肝心のK部長は「たとえ、締め切り過ぎてようと、やっぱT部長にちゃんと通さないと。その後の決済をどうするかはT部長の問題」

 という、小さい世界の「縄張り争い」の結果、私には直接、数字がやってこないというのはわかっていたけど、
11月5日(金)

 アメリカ大統領選挙よりも、アラファト議長の病状のほうがスリリングな展開。

 この間のイラクでの日本人人質事件(改め殺人事件になってしまったが)のときの混乱(後頭部がどうのってやつ)を思い出すが、申し訳ないけど、渦中の人物の格が違う。
 「脳死」だの「まだ生きてる」だので、ブッシュはついうっかり「お悔やみの言葉」を言ってしまったようだし(笑)、あーあ、やっちゃったって感じで笑える。

 でも、こうなったら、なんとかアラファト議長にまた「鬼籍・・・・(あ、私もやっちゃった)・・・・奇跡の生還」をやってほしいもんだ。
 前にもあったじゃん。飛行機事故で、砂漠の真中で行方不明になったということが。あんときに「さすが、強運の人!」と騒がれていたので、アラファト議長の「富士見・・・・・じゃなくてさ、不死身伝説」をまた一花咲かせてみてほしいものである。
 だって、なんとなく「私が生きている間は、この人、死なないような気がする」って勝手に思い込んでいたのに今さら気がついたので、危篤だと言われても「うっそー、自作自演でしょ」と言いたくなるのだ。

●ナメクジの壁

 「嘆きの壁」っぽいようで、ぜんぜんぽくないので、ちょっとがっかり。
 前に、「わー、久々にこんなナメクジを見たよ」と、ナメクジが嫌いなのに、感動してしまったのであるが、その後も何度が夜間にその壁の前を通ったのだが、涼しくなってからはいつもその壁に数匹のデカいのが張り付いているのだ。
 壁というか、高台になっているというか、坂の途中の家なので、土台部分がコンクリで覆われていて、その庭からナメちゃんは夜になると月光浴しに出てくるようなのだ。
 だって、その家って、毎年、丹精した月下美人を玄関で自慢する家なんだもん。

 さすがに、植物の手入れに余念のない家である。ナメクジも巨大だ。あれも丹精こめて育てているのかもしれない。

 というわけで、毎回、その壁の前を通るのが恐ろしいのだが、ついつい惹き付けられてしまい「わー、またこんなデカいの見ちゃったよ、ブルブル」と肝試ししているのであった。

●何があったの?

 会社から地下鉄に乗って帰る途中の駅で、「只今、社内検査でしばらく停止します」というアナウンス。
 「忘れ物でも捕獲してんのかな?」と、ぼんやりしていたのだが、周囲の人たちが落ち着かない様子で隣の車両を覗き込むので「隣で、なんかあったのか?」と私もそっちを見てみたが、これといって騒ぎになっている様子もない。

 それだけに、どういう事態なのかよくわからなかったのだが、人々の視線が集約する場所を探したら、女性が一人、座り込んでいた。「具合でも悪くなったのかな?」と思ったが、どうもその女性は、座らせている子供の様子をうかがっているようだ。
 でも、遠目には、子供が特になにか異常な様子をしているわけでもなく、ただ、キョトンとしているように見えた。

 駅員がバラバラと集まってきて、その幼児と母親らしき女性になにやら話し掛けて、母親は幼児の手をひいて外に出た。そして、幼児を駅のベンチに座らせて、自分はその前にひざまずくようになにやら話し掛けていたが、やはり遠めだと幼児はただキョトンとしているだけだ。

 駅員にも緊迫感は無いし、なんだったんだろう?
 と思っているうちに、電車が間もなく動き出した。
 体をねじって、ホームの様子を観察したが、母と幼児はこれといった異常もなさそう。
 なんだったんだろう?
 と、思った瞬間、駅員が肩を押さえている女の子がいた。押さえているというか、「優しくその場に留めている」というのか、その女の子の顔を見た瞬間に「あっ!」、時々、同じ車両に乗り合わせ、彼女が車内で歌う歌を聴くのを楽しみにしている「バルデラの君」だった。

 バルデラの君は不安そうに、携帯電話をかけていた。たぶん、何が起こったのかわからなくてパニックになり、家族に電話をしているのだろう。
 ますます、「いったい、何があったんだ?」

 バルデラの君が、あの小さい男の子になにか乱暴なことをしたのだろうか?だったら、もっと騒ぎになるはずである。
 それに、何回か観察しただけだが、バルデラの君は他人に迷惑をかけるようなタイプの子ではない。いつも、自分の殻に篭って、何かブツブツ言っているか、朗々と歌を歌っているだけである。

 でも、あの男の子も母親の呼びかけに無反応になっていたし、バルデラの君は蒼白な顔をしてオロオロと電話をかけていた。もしかしたら、あの男の子がひきつけかなんか起こしたので、バルデラの君が感応してオロオロしたのを過剰に解釈した他の客が、乗務員に通報してしまったのかもしれない。
 でも、隣の車両だし、その程度の騒ぎでも、聞こえると思うんだけどな。

 うーーーー、結局なんだったのかわからなくて、とても気になる。

 でも、私の目の前で、バルデラの君に何か異常があったのなら、私が守ってあげたのに。「この子はいつも見かけてます!」と駅員に説明するとかなんとか。そんで迎えに来た両親と仲良くなって、バルデラの君と友達になれたのかもしれないのに・・・・乗っている車両が一両ずれていたので、大チャンスを逃した。残念。

11月4日(木)

 昨日は休みだったのだが(そのかわり、土日は出勤)、また寝つぶしちゃったよ。よよよ

 アメリカの大統領選挙も、日本では時差の都合もあったが、昨日の夕方の時点では「夜中までもつれそう」と言っていて、夜中になると「まだわからん」と言っていて、これはまたモメるような結果になるのか?と期待していたのだが、朝になったら、すでにケリーの敗北宣言が出ていた。

 なんか「やっぱし」な結果で、「これからの世界はいったいどうなるんだ?」なーんて言いたくなったが、よくよく考えると、誰がアメリカの大統領になろうと、世界が平和になるわけがないのである。
 だって、人間の歴史=戦争の歴史じゃない?

 で、「武装してない一般人を殺すのはよくない」とか言ったって、そんなモラルが出来たのは、つい先日のことで、ユダヤ人はたまたま財力と、それを元にした教養を持った人が多かったので、「ホロコースト」を世界に宣伝することができたが、それができないまま、ただ消えていった民族も多いはずだ。

 と、根暗なことをブツブツ書いているのは、昨日、ゴロゴロしながら、また不肖・宮嶋がチェチェンを取材したときの本を読んでしまったからだ。大都市だったはずの(人口数百万人都市だったらしい)、チェチェンの首都が、瓦礫の山と化し、「こんなに人っ子一人どころか、犬も見かけない場所も初めてだ。生物が皆無」と宮嶋氏もびっくりしていた。
 小さな国とはいえ、首都が消されたのである。
 なーんか、その記述と写真を眺めてしまうと、チェチェンの武装集団というか「夫も家族も死んだ。もう帰るところもない」という女性達が、テロに走るのも納得してしまう。

 さらに、宗教が絡むもんだから、よけいややこしい。アメリカ選挙戦の日本での反省会(?)でも、「結局、日曜日に教会に行く人たちが、そのまま選挙に行った」というようなコメントが多く出ており、熱心なキリスト教信者の勝利みたいなこと言われると、また宗教戦争の色が濃くなるんだろうなあ。

 関係者(モハメッドとかキリスト?もしくはパウロ?)は責任とって、今こそ蘇って信者に説教してほしい。

 と、ブツブツ言っているのは、最近、会社にいるとなぜかイライラすることが多くて、「国際社会」にちょっとだけヤツあたりしたい気分なだけである。
 何にイライラしていたかというと、こんなくだらないことである。

●「一つ、お伺いしていいですか」禁止令

 11月から新しい派遣社員Iさんが来たのだが、まだ慣れないせいか、ちょっと余裕がない雰囲気。
 でも、もしかすると、慣れてもああいう人なのかもしれない。
 よく知らない人の悪口を言いたくないのだが、なんとなく「私が苦手とする人」の匂いがするので、悩ましい。

 それを文章で説明するのは大変難しいのだが、私は「態度が卑屈な人」がとても苦手である。もっとも、下手に出る態度で話し掛けてくる人は多いのだが、それは「丁寧な態度」といえなくもない場合が多いし、それに、そっちのほうが社会人として正しい態度なんだろう。

 でも、私はそういう儀式めいたことが嫌いなので、「今、お時間ありますか?」と話す前に聞かれるのが嫌い。
 いや、本当に30分くらいミーティングするような内容だったら、「今、お時間ありますか?」「どのくらい?」「30分くらい」「じゃあ、この仕事が片付いたら大丈夫ですよ。あと10分待って」ということになるのは全然構わない。

 それがどのくらいの「お時間」をとる話なのか、話す本人が一番よくわかっているだろう。もちろん、即答できないこともある。「この件って、以前はいくらで請求してましたっけ?」なんて話だと、こっちが手が空いていれば、その場で逆にこっちが「お時間」をいただいて調べるが、その暇がすぐに無かったりする場合には「じゃあ、調べたらお知らせしますから、ちょっと待っててください」とか、「今日中にですか?」なんて言えばいい。

 とにかく、言いたいことは、その話の内容をちらりと聞く時間くらいは誰だってあるはずなのだ。もちろん、出かける間際で、そんな時間が無いこともあるが、私が滅多に外出しないし、外出って言ったって、銀行に行くとか、親会社に書類届けに行くとか、そんな程度で、5分刻みの時間に追われている人ではないのは、誰だってわかるはず。

 でも、幸いなことに「今、お時間ありますか?」と聞いてくる社員は、男性が多く、彼らが持ってくる「仕事の話」は、それなりに重要な案件だったりするので、こっちも回答に時間をとられることが多く、結果的に「お時間云々」というのは間違った表現でもないので、まあ許す。
 でも「お時間ありますか?」は、なんか対等な感じがしなくて好きくないんだけどな。「あたしって、そんなに怖い?」って逆に不安になってしまうから。
 あと、「なんか、すげえヤヤこしいことなのかな?」と気構えちゃうし。

 さて、前から私が苦手だった、「ちょっとこの人とは仕事に対する考え方が合わない」という年配女性Hさん(オーバー50歳)は、やはりとても腰の低い人である。
 私に対しても、最敬礼に近い態度で接してくれるので・・・・・・とても、うざい。

 彼女が私に話しかけるときには、「すいません、一つお伺いしたいんですけど」が決まり文句だ。
 で、「なんですか?」と聞くと、それは「ポストイットはどこにストックしてありますか?」とかいう、非常に簡単なことだったりする。
 まあ、この程度だったらいいのだが、彼女がさらに丁寧モードになると「お忙しいときに、つまらないことお伺いして、ほんとーに申し訳ないんですけど」とか言うので、それだけでブチキレそうになる。
 他の人は知らんが、私はそういう「つまらないこと」で慇懃な態度をとられると、なんかバカにされているように感じてしまう。「ミヤノさん、ポストイットどこにあるかわかります?」って言ってくれればいいだけなのに。

 で、重要なのは、身についた丁寧さをあやつる人は同じことを言っても、あまり腹立たないのだ。
 Hさんの場合、そういう「どうでもいいとき」は異常に丁寧にヘリクダってくるが、いざ、こっちが何か要求すると、態度が変わり、「それは私の責任じゃありません」っていう雰囲気になる。別にこっちは「こんなの誰がやった〜〜〜、責任者出せ〜〜〜」と怒っているわけではない。「あ、それはこうしてくださいね」とアドバイスしているだけである。
 でも、そういうことを言うだけで、彼女は急に固い態度になるのが苦手である。「それは、前に○○さんから、そうしろといわれました」と口をギュっと結んで抵抗されると、めんどくさくなって、彼女には何も話し掛けたくなくなる。

 なかなか本題に入れないが、新しい派遣社員の人が、やはり「一つ、お伺いしていいですか」を連発したので、ちょっとブルーになってしまったのであった。
 まあ、まだ慣れないんだから・・・・・・と自分に言い聞かせていたのだったが、でも、この間は、やはり背後から「ミヤノさん」と呼びかけられたので「へーい」と自分なりに気さくな返事をして振り向いたら、彼女は電話を保留にしていて「○○というところから、○○の件でわかる方っていうお電話なんですが・・・・・」

 うーん、そういうときに「一つ、お伺いしていいですか」って正しい用法なのだろうか?

 今まで、何人も派遣社員や新入社員と働いてきたけど、「自分ではよくわからない電話」のことについて聞くのに「一つ、お伺いしていいですか」って言う人に当たったことがない。
 その次の日も、朝、私しか社員がいなかったときにやはり「ミヤノさん・・・・・一つ、お伺いしてもよろしいですか?」って言われたので、「はいはい、なんざんしょ」と寄っていったら、給湯室のコーヒー豆のストックが残りわずかなのだが、どうしたらいいのか?って質問だった。

 どうも、単なる「口癖」というか、前の職場ではそういう雰囲気だったのか知らないが、なんか堅苦しいのでやめてほしい。
 それも、笑顔で明るく言われるのならまだしも、Hさんもそうなのだが、ひどく緊張した面持ちで言うので、「そんなに気張らなくてもいいのに・・・・」と思ってしまう。

 なんか、とっても自信の無さそうな雰囲気なので、見ていて痛々しくなるのだ。仕事なんだから、こっちだって、同僚の手助けをしたり、新人の人がわからないことを教えるのは当たり前なんだから「お忙しいところ、すいません」という態度よりも、なんか手助けしたら、にっこり笑顔で「ありがとうございます」のほうが効果的だと思うんだけどな。

 今日も、朝、社長室に印鑑を運んだら、応接テーブルが汚れていたので、実は一昨日もそうだったので、私が知らんぷりして拭いたが、彼女はそこで毎朝、新聞のセットをするのに、この汚れに気がつかないということは、「言わないと、わかんないんだな」と思ったので、「キレイに見えても、けっこう汚れていたりするので、毎朝拭いてくださいね」と言ったら、「すいません」

 いや、怒っているわけじゃないのよ・・・・ただ、引継ぎも短かったし、前任者はなにせ一ヶ月しかいなかったし、ただ、これからやってくれればいいだけで・・・・・
 そしたら「すいません、どれで拭けばいいのでしょう?」「えっと、給湯室にある台布巾でいいんだけど」「これですか?それともこれ?」

 テーブルを何で拭くとか決まっているわけではない。給湯室は、アシスタントである派遣社員に任せてあるので、彼女が適当決めてくれればいいだけなのだが、どうりで用途が不明な布巾がいつも転がっていると思っていたのだが・・・・こんな些細なことであるが、彼女が「これはあれで、あれはこれ」とキチンと決めてもらえないと自分では自信がない、というタイプの人間であることが透けて見えて、なんかなーな気分なのである。

 そんで、謎なのは、どうも彼女の前職は「一流ホテル」だったらしいことだ。フロントをやっていたらしいので、「そんな立派な人が来てもなあ」と思っていたが、予想と違う「接客ぶり」であった。
 なんで辞めたのか知らないが、あれではたしかに向かなかったかも。客がなんかリクエストしたら、まず「すいません」って言いそうなんだもん。
 私は接客には精通してないが、自分が求める「プロの接客」というのは、なんかお願いしたら「そんなのお安い御用でございます」という笑顔で、すばやく対処してくれるイメージなんだけどなあ。

 それでも、少しは慣れてきてくれたのか、今日は「一つ、お伺いしていいですか」を連発してなかったので、ホっとしたのだが、もう少し柔らかくなってくれるといいんだが。

 で、そんなことにややイライラしていたのは、決算期になって、来期の予算編成の仕事を任されてしまい、ちょっとピリピリしちょるからである。だって、もー、みんなバラバラな数字出してくるから、解明するのが大変だし、あーだ、こーだ、担当者と言い合いしているので、疲れているのだ。
 そんで、「それは経理内での問題でしょ?」なんて言われて、ピリピリピリピリ・・・・・だって、その数字を分けんのって、あんたが言い出したことじゃんよ〜〜〜〜〜私は分けたくなかったのよ〜〜〜〜〜、だって意味ないんだもん。それなのに、その内訳について質問したら「それは経理が言い出したことだ。オレは知らん」とか言われて、ブス〜〜〜〜〜っとなってしまった。

 もっとも、それがそうなったのはハイジの責任もあるので、ハイジに「これってさあ」と愚痴ろうとしたら、「だって、それとそれは別のもんでしょ?」って、正しければいいという問題でもあるまい。でも、君がそうしたいのなら、そうしてもいい。あんたがやってくれるのならね!もー、複雑怪奇になっちゃって、私にはよーわからんのよ。
 明日までに作れって言われてるのに、全然数字集まってこないし、社長にも「どうなってんだ?」と言われたので、「今、作成中です!」「じゃあ、できたら見せて」

 もーやだ。早く終わらせたい。
 ほんとはこれって部長の仕事なんだけど、また「ミヤノは経理課長代理だけど、課長はいないんだから、総務でボク以外のただ一人の管理職なんだから」って、また意味不明の理屈と共に押し付けられたのであった。
 まあ、やるのはしょうがないというか、諦めてはいたのだが、そんなふうに言われると、ちょっとカチンと来たので、一応、自分なりに「ええええ?やだ〜〜〜」という表情を作って精一杯反抗してみたりしたので、そのまま反抗期まっさかりを演じているだけである。

 本来なら、私のような下っ端が、部長の仕事をホイホイやってはいけないと思っているので、精一杯渋ってから、ほんとに渋々と相談しながら、なんとか苦労してやる、というのは正しい演出です。(と、「これも演技なのよ」と自分をハゲましている)

 でも、今日は上手くやったわ。
 その「予算編成途中経過」をまずT部長に見せ、「まだ、数字が来ない分が半分以上で・・・・」と説明したら、部長が「これ、社長には見せた?」と、おっさるので、「いえ、まだですが、さっき社長もこれを聞きに来たので・・・・」と目を伏せたら、「じゃあ、ボクから渡しておくよ」

 心の中でガッツポーズ!

 なんか久々に「世渡りジョーズ3」になったような気がして、うれしかった。
11月2日(火)

 なんだか会社でお疲れ気味になり(またT部長にあれこれ言われて疲れた。そーなると、他の人のことも気に障ってきて、イラついていたのであった)、なーんか映画でも観ようかな、でも、「2046」は長いし、疲れそうだし、あんまし面白くなさそうだし、かと言って、ちょっと観たいと思ってた「シークレット・ウィンドウ」も、いざ観ようとするとなると、ちょっと怖そうだし(ゴキブリが平気なくせに、ちょっとでも怖い映画は苦手。「シックス・センス」で「もう許してください」とブツブツ文句言ってたくらいだから)、まあ、でも、こんな日は映画の内容がどうというのは無視して、トニー・レオンの姿でも鑑賞して、疲れた心を癒すのが、賢い「負け猫」の生きる道であろう、と覚悟を決めて、観てきました。

●「2046」

 あんまし、この映画に関心がなくて、でも、日本のメディアでは「キムタクの出番が3倍に増えた!(カンヌ比)」と話題だったくらいで、あまり内容そのものに触れた報道も観なかったし、「近未来ラブストーリーがどうの」と言っていたし、たしかに予告編だと、SFチックな映像が目立っていたので、そういうもんだと思っていたのだが、観てびっくりした。

 だって・・・・・・これって、ネタバレになるのかな?それすら、よくわかんないんだけど、とにかく私にとっては意外だったのだが、「単なる『花様年華』の続編」でした。
 だったら、最初からそう説明しろよー、だったらもっと期待して観に行ったのによー

 つーか、「花様年華」を観てない人は、「2046」のストーリーがよくわからないのでは?
 映画終わった後で、廊下で前を歩いていたオバサンと娘さんがいて、50歳くらいのオバサンは「なんか、玄人好みの映画ねえ、映像はすごくキレイというか、すごいんだけど、話があまりにも断片的で・・・・」と話していて、20代の娘さんに「だから、そう説明しておいたじゃん」と言われてました。(娘さんは、キムタクに釣られて来たわけではなく、ウォン・カーウェイのファンだったのでしょう。そんで、テレビで宣伝してたので、母親が「私も観たい」と言い出したので、「つまんなくても、知らないよ〜?」と渋々一緒に行ったのだろう)

 「花様年華」を観た人にとっては、「こいつ、まだ、グジグジしてんのか?」っていう映画でした。

 中途半端に「中国のスタイリッシュな映画」を観ている人(あたしです)が混乱するのは、チャン・イー・モウの「HERO」では、トニー・レオンを奪いあっていたマギー・チャンとチャン・ツィイーでしたが、「花様年華」でマギーにフラれて、グレていたトニーが「2046」では、チャン・ツィイーをコマすのです。

 同じ役者を有名監督同士が使いまわすのは、やめて欲しいと思いました。

 チャン・ツィイーは、どっちかというと、チャン・イー・モウの女優なので、ウォン・カーウェイが使っていると、なんか違和感あんなー。同じく、かつての、チャン・イー・モウ女優だったコン・リーも、なんだかあまりキレいに撮れてないような気がした。だいたい、ビーハイブな髪型が大きすぎ!

 チャン・ツィイーはそれでも、最初の方は浮いていたが、だんだんと本領の「小生意気な表情」を出せるようになっていって、なんとか頑張ってましたが、あの後、「ビーーーー、カーウェイがイジめた〜〜〜」と、チャン・イー・モウに泣きついたことは想像に固くない。
 そんで、イー・モウが「よしよし、お前を一番、キレいに撮るのは、やっぱりオレ様だろう」と言いそう。

 ええと、そんで、「2046」ですが、私はけっこう楽しめました。
 「花様年華」を観たときに「キスシーンも無いんですか?」と、かなり不完全燃焼だったので、「その4年後」のトニーがすっかりスケコマ氏になっているだけでも嬉しいじゃあありませんか。

 なんと言っても、この映画は「1966年」から始まっており、それだけで評価できる。なんてったって、あたしは1966年生まれでございますからね(笑)
 1966年の香港がほんとにこんな雰囲気だったか知りませんが、「ああ、私が三ヶ月のころの初めてのクリスマス」とか「ああ、私は2歳になった」とか思いながら時系列を追ってしまいました。

 なんだか、話がまとまりませんが、「ブエノスアイレス」でも「花様年華」でも、かなりいたぶられていたトニーが、今回はなにせスケコマ氏ですから、個人的には嬉しかったのでありますが、トニーの身代わりになって、イジめられていたのがキムタクでした。
 キムタクは、もっと邪魔くさいのかと思っていたけど、思ったより邪魔じゃなかった。ウォン・カーウェイ好みの「黒目が大きい役者」だっただけで、映画の出だしの独白はうざったかったけど、あとはけっこうまともだったと思います。

 そんで、私はキムタクをキャスティングしたのは、ただ「日本市場」を狙っただけなのかと思いましたが、「花様年華」の続編だとわかれば、日本人の役者が必要だったというのも納得する。
 「花様年華」で、マギーの旦那は日本出張が多く、とうとう不倫相手だったトニーの奥さんと日本に駆け落ちしてしまうのです。
 だから、トニーにとって「日本」というのは、心の傷なのです。
 そのキムタクが香港人で、トニーが泊まっている宿の主人の娘と恋に落ちたが、親に反対されて・・・・・ってこと自体が、トニーには意味があるはずですが、その間をとりもって、文通の手助けをしているうちに、その宿の娘フェイ・ウォンが、なにやら文筆業の手伝いをしてくれるようになって、なんか展開が「花様年華」になってきて、「もしかして、ボク、この娘が好きなのかも」と思い始めて、だから「近未来ラブストーリー」の中では、アンドロイドのフェイ・オンにかなわぬ恋をする青年として、キムタクを自分の分身にしますが、現実ではフェイ・ウォンは日本にキムタクを追いかけて行っちゃう。

 自分の分身として、キムタクを「かなわぬ恋」に投じたはずなのに、あっさりと彼らの恋がかなってしまい、そこでやっと「トニーのフラれ癖」(かつては女房に逃げられ、マギーにも逃げられ)が、いまだ健在というか、ここまで行くと、もはや「呪い」だ。

 「花様年華」でアンコールワットの遺跡の穴に、なにやら秘密を叫んでいたシーンが謎でしたが、「2046」でその謎もあっさり解けました。つーか、最初の方のなんかわからないけど穴っぽいところで戯れていたので「これは、もしや?」と思っていたのですが、そのまんまでした。「王様の耳はロバの耳」って、いうのがテーマなのか?

 というわけで、今回もトニーは、ヤリまくってはいましたが、幸せにはなれなかったようです。一生やっててください。

 ついていきますから(笑)

 「花様年華」もそうだったんだけど「2046」も、かつての香港を舞台に、女優達は、結い上げた髪型に、私の憧れのアイライン、華麗なチャイナドレスに腰をフリフリ、イヤリングにハイヒールという、超一流のファッション誌のような華麗な姿を披露してくれます。やっぱ、真っ赤なマニキュアですよね。
 チャン・ツィイーは真っ赤なペディキュアを施した足で、トニー・レオンの顎をツンツンします。ほーーーー(ちょっと、やってみたくなった。でも、あたし、足が汚いからな)

 もう、とにかく、次々とスタイリッシュなシーンが出てくるので、ストーリーがなんだかわかんなくても、「イマドキ、こんな重厚なシチュエーションでグラビアを彩るファッション誌も少なくなったなあ」なんて、かつての「流行通信」なんかが好きだった人は楽しめるでしょう。

 ま、なんだかんだ言っても、ウォン・カーウェイって監督は「男女の微妙なすれ違い」だけに命掛けている人なので(「ブエノスアイレス」は男同士の恋愛でしたが)「2046」は、今までの集大成というか、今までも、彼の映画を観た後は必ず「こいつ、いつかは私がボコボコに殴ってやる」と思ったものでしたが、今回は、私も覚悟の上だったというか、「もー、わかった。あんたは一生これやってろ」と諦めの境地に達したのでした。あと10年くらいして、急にハッピーエンドものとか作り出したら、そのときにケナすから覚えてろよ。

 一つ不満を言わせていただけたら、「キムタクの出番は3倍になったらしいが(赤く塗ったからか?)、チャン・チェンの出番はあれだけかよ!!!!!!!!!!」

 なんか断片的に出てくる「美青年」なだけで、おねーさん悲しい。
 「ブエノスアイレス」のときにも、私の友人の間では「チャン・チェンがよかった」と評判よかった彼ですが、台湾の若手俳優なので「兵役に就いちゃうらしんだよね。今が旬なのに惜しいわ」と言われていたのに、「2046」にも出ていて、その美貌にさらに妖しさが出てきたのを確認したのですが・・・・・・もっと観たかった。

 というわけで、「2046」で、「花様年華」での私の不満であった「金払ってるんだから、ラブシーンくらい見せろ。せめてキスシーンくらいやれ」という希望を充分かなえていただきましたので、「煮え切らないムカつく監督」であったウォン・カーウェイに私の超電磁欲望は通じていると仮定して、リクエストさせていただきたいのですが、「次回は、チャン・チェンが年上のおネーサマであるマギー・チャンに翻弄される映画を希望」

11月1日(月)

 「イラク人質→殺害事件」へのコメントで、私の心を一番捉えたのは、中野貴雄の日記だった。(日付にリンク張れないようだから、10/27−30の日記を参照)

 私も「ザルカウイ」と聞くと、いつも「ジャミロクワイ?」と思っていたのだった。(それだけかよ?)

 中野監督は、ビンラディンが最近流した「諸君の運命はブッシュやケリーによってきまるのではない。諸君の安全は諸君自身の選択によって決まるのだ」というセリフを大変気に入っているようで、「いっそビンラーディンがアメリカ大統領になったら、わけわかんなくてイイかもしれない。」と書いていて、私もついうっかり同意しそうになるが、それよりも、中野監督は著書「国際シネマ獄門帖」で、「これからの時代、闘うのは女ばっかで、男はチャーリーズ・エンジェルのチャーリーになるしかない」というようなことを書いていたけど、今のビンラディンって、まさに「チャーリー化」してないか?(大富豪らしいし)
 でも、キム君と違って「美人スパイもの」には興味なさそうなのが残念だ。

●スパムなのか、単なる間違いメールなのか・・・・

 全然、憶えの無いアドレスだが、絶対にスパムだとも言い切れない微妙なアドレスで、しかも題名が「チャリ盗まれたぁー!!?」という、これまた微妙である。
 「もしかしたら、今までに見たことがないような巧妙なスパムかもしれない」と思って、開けてみた。

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 もぅ最悪だよぉ〜o(>_<)o
 先週買ったばっかりなのにぃ!!!
 チャリ2コもってたよね??1コかしてぇ〜o(>_<)o
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 内容はこれだけであった。これだけでは、相手が男なのか女なのかもはっきりしない。もちろん署名も無いが、アドレスが花の名前だったので、女性と考えるのが普通だろう。
 うーん、なんだろう。こういう微妙なのは初めて見た。これって、親切な人だったら「アドレスお間違いじゃないですか?」なーんて返事しちゃいそうだけど、そう返事すると、ボコボコと広告メールがやってきそうな気がしなくもない。
 やっぱ、新手のスパムなんだろうか?

●あります、ありません、あれは何ですか?

 この誤訳好きなのよ〜〜〜〜
 もちろん、原文は "To be, or not to be, that is the question."
 「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」が最もポピュラーな訳だろうけど、私の今の心境を語るのは、小田島雄志訳の「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ

 休みともなれば、ゴロゴロしてばかりで、体重もウエストも右肩上がりな己の自堕落について考えているわけではございません。いや、それも、ちょっと考えたほうがいいのかな?今日は、一駅前の駅でタイカレー食べて汗かきながら歩いて家に帰りました。空気が生ぬるくて、湿気もあって、いいお散歩ができました。

 いや、だから、引き篭もりが激しい自分の生活態度も大問題であるけれど、最近の大問題は、久々に登場する、あの、私の唯一のペットである、アンダーソン君が、とうとう大人になっちゃったのよ!
 気が向くと、餌や水をやっているくらいの世話しかしてないのだが、たしか10日くらいまでは、まだ高校生くらい(羽が時々白っぽくなっていたので順調に脱皮を繰り返していたようだが、それでもまだ羽の色が薄茶だった)だと思っていたのに、先週の木曜日に水をやろうとしたら、

 「げげげ、あんた、羽が黒光りしているじゃあないの」

 なーんか、いつまでも子供だと思っていた息子が、ある日「かーさん、彼女が妊娠しちゃった。どーしよー」なんていきなり相談してきたようなショック。

 「もう、おまえなんて、一人前の大人なんだから、出てけ!」と言いたいところだが、なにせ3ミリくらいしかなかった赤ちゃんのときから女手一つで育て、なかなか大きくならないもんだ、と悠長にかまえつつ、なかなか死なないもんだな、と諦めつつも早1年半弱・・・・・ついに、この日が来てしまったか。

 あれ以来、うちには、アンダーソン君のお友達があまり来てくれないのよ。夏の間、何回かチビちゃんを見かけたので、(また風呂場だった)、そのたびに丁寧に捕獲して、マトリックスに放り込んでみたのだが、私の捕獲が悪かったのか、それとも「わーい、久々の生餌だ」と喜ばれたのか知らんが、とにかく、濡れたまま捕獲したチビちゃんの姿は、翌朝になると跡形もなかった。(食われたのか、空気穴から上手く逃げたのかは不明)
 食われないくらい大きいのが捕獲できたらよかったんだけど、会社にはいたんだけど、会社の女の子の手前、それを生け捕りすることもできなかった。(なんで会社のゴキは私が一人だけのときに現れないのだろう。バカぁ)

 というわけで、かなり困惑しているのでありました。

 それでは恒例になりました、「見たくない人も多いだろうから、下の方にこっそりと写真を公開するコーナー」のお時間です。あいかわらず、マトリックスが霍乱するので(ペットボトルです)、うまくピントが合いませんが、立派に黒光りしている雰囲気はお伝えできると思います。身長は3センチ以上ありそう。
 ほんとに、ロクな餌もやっていないのに、よくぞここまで大きく育ったものだ。
 ときどき、「健康にいいかも」と納豆や豆乳を与えたりしましたが・・・・(納豆は無視されて、ただひたすらカビた)
 では、数センチ下に写真を載せますから、嫌いな人(ほとんどだろうな)は、これ以上下に行きませんように。

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 ほんとーに、ただのゴキブリですからねっ

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