税務調査への心構えと流れ
〜税務調査を受けたときにどう対処すればいいか
 実際の流れに沿ってみていきましょう〜
  1. 調査の発生

     税務運営方針では「一般の調査においては、事前通知の励行に努め」と明記されています。
    事前通知なしで突然訪問されたら毅然と対応し、まず身分証明書(写真付)を提示させ身分を確かめ、なぜ事前に通知をしないのかその理由を明らかにさせるべきです。

     その上で調査理由の開示を求めましょう。税務署は必要と認めたからこそ調査を発生させたのですから、その必要とした理由をはっきりさせることが重要です。第72国会で採択された請願(第1814号)で「税務調査にあたり、事前に納税者に通知するとともに、調査の理由を開示する事」とされています。税務署員が突然訪問するには何らかの理由があるはずです。その理由を明らかにするのは一般常識からみても当然のことです。

     また、調査の日時も「社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の理解と協力を得て行う」(税務運営方針)となっていますから、自分の都合に合わせて決めることが大事です。
    調査が発生したらすぐに班の仲間に相談し、班会の中で調査に対する心構えや納税者の権利を学習し、調査を進めるようにしましょう。

  1. 臨場調査

     調査当日は仲間の立会いを求め、税務署員の密室での犯罪防止や違法・不当な調査をさせないように監視しましょう。立会人のいない税務調査では、税務署員が勝手に机や引き出し、寝室、子供や従業員の私物まで調べたあげく、5年も7年もさかのぼった不当な修正申告を強要している事例が広がっています。

     税務署員は「税理士法に抵触するおそれがある」「公務員の守秘義務が守れない」などを立会い拒否の理由にしていますが、その根拠はどこにもありません。1972年静岡地裁判決、1993年春日裁判・東京高裁判決、1996年丸田裁判・東京高裁判決、2000年2月北村裁判・京都地裁判決で示されているように納税者自らの権利として立会いを求めることはなんら法律に違反するものではありません。
     
     民主主義を守り、申告納税制度を形骸化させないためにも仲間の立会いはますます大事になっています。

     税務署員とのやり取りを克明に記録することも重要です。税務署の不当な調査に対する不服申立てや税金裁判の時の重要な証拠となるからです。税務署員の言動や質疑の内容を細かくメモしましょう。その際、日時や場所はもちろん、その日の天気や部屋の間取りと税務署員の位置関係も克明に記録し、カメラやテープレコーダーの準備もしておいたほうが良いでしょう。

     同時に、消費税の課税業者には、立会いを口実に、税務署が仕入れにかかる消費税分の控除を認めない不当な攻撃に出ています。日常から自主計算をおこなうなど、仕入れ税額控除を否認するスキをあたえないよう気をつけることが必要です。

  1. 反面調査など

     反面調査は税務署員が取引先や銀行に対し照会状を送付したり、出向いて行って取引状況を把握するものです。「現況調査は必要最小限にとどめ、反面調査は客観的にみてやむを得ないと認められる場合に限って行うこととする」(税務運営方針)と、みだりに反面調査をおこなうことは戒められています。

     ところが実際には、納税者が資料をそろえて協力していても、あるいは調査を納税者に通知する前から、反面調査をおこなっている場合も少なくありません。

     納税者の承諾のない反面調査は不当な行為です。取引先に対し著しく信用を失墜させる行為は、まさしく営業妨害であり絶対に許されません。
  1. 調査の終了

     調査の結果、申告に誤りがあったと税務署員が認識した場合、修正申告の慫慂(しょうよう=すすめること)をしてきます。

     この場合、申告のどこがどう違うのか修正の理由を明らかにさせることが大事です。「調査内容を納税者が納得するように説明し、これを契機に納税者が税務知識を深め、更に進んで将来にわたる適正な申告と納税を続けるように指導していくことに努めなければならない」(税務運営方針)とあるように、税務署員には調査結果の説明義務が課せられています。

     修正申告を強要する際、納税者の自宅や事務所・店舗に来ないで、納税者を税務署に呼びつけることが多くなってきています。これはとんでもないことです。修正申告とは納税者自らが申告の誤りを認め進んでおこなう行為です。強要すること自体が行政手続法に違反しています。ただちにやめさせましょう。

     また、修正申告に応じた場合は、不服申立てなど権利救済を受けられないので、注意が必要です。
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