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26/Mar Kirkby lonsdale, Lake District, Arnside

1.26/Mar
(1)EarbyからKirkby Lonsdaleへ
1.A56,羊

26/Marchの行程
二日目.いい天気.気温も高く,いよいよ春らしい天気である.頭もあったかくなったのか,なぜかEarbyを出てから反対方向に走ってしまい(方向音痴にはよくあることだが),若干の回り道をしてからA65に乗っかる.この時々やってしまう予期せぬ回り道にはいつもながら自己嫌悪に陥ったりするが,でも回り道の途中で何か注目すべき場所を発見したりすることも多い.そういう経験からして,決して回り道も無駄ではなくそれもひとつの旅なのだ,それが旅の醍醐味なのだ,などと自分を慰めて走ったが,やっぱりそんな希望的欺瞞的何かの小説的出来事は起こらず,きっちり時間とガソリンを10マイル分ほどロスしてようやくA56へ.


きらめくA56

羊親子の運命について考えた
しかしこのA56は気持ちがよかった.天気のせいもあり,Easterということもあって車の量はそこそこ多いのだが,Yorkshire Daleの西端をかすめながら北上することもあり,左右の景色はすばらしい.鼻歌交じりで時速50マイル.近くを走る蒸気機関車の通過を線路脇で待ち構えている観光客がいっぱいいたが,そんなものには興味なく,ひたすら鼻歌を歌いながら突っ走る.だだっ広い沼地や牧場がひたすら続く.この季節は羊の出産の季節らしく,道端からたくさんの子羊が見えた.しかし,いつもいつものんびりのんびり幹線道路の脇の牧場で草を食ったり寝そべったりしている羊を見て思うのだが,こいつらはいったい肉用なのか,羊毛用なのか? どちらになるかでこの親子羊の運命と寿命は大きく違うはずなんだろうが,イギリスの農場の運営のされ方がよくわからず,羊の飼われ方からは判別できない.羊毛用であるならば,年中食い物に囲まれて毛を生やして供給するだけの全くもって楽な人生に思えるのでなんだか腹が立つ.肉用であるのであれば一片の哀れみもかけてやろう.しかし彼らの運命を計り知れないのでいったいどういう態度でこいつらに臨めばよいかわからずにいつも精神に若干の混乱を招く.きっちりイギリスの農業経営のあり方を勉強して羊に対してどのような態度をとるべきか確定させ,正しい迷いの無い態度で臨みたい.

2.Kirkby Lonsdale

その辺の橋.

カヌーイスト
途中,Kirkby(カークビー) Lonsdaleというところで休憩.この橋を越えてきたのだが,その下でカヌー教室のおっかなびっくり初心者カヌーイストが漕ぎ出していくところを眺めつつYHで水筒に入れて来たコーヒーを飲む.YHでただでいれてきた巨大なビンに入ったよくわからないインスタントコーヒーなのでうまいわけは無いのだが,なぜかうまい.

3.Windermere

こじゃれアイテムの「湖畔のカフェ」「鳥」「金持ちのヨット」「桟橋」.

こじゃれた白鳥.
A65は気持ちよかったのだが,A590,A591とLake Districtに近づくにつれて車が多くなってくる.そしてWindermereに着くころには道が車で連なってしまった.道はあまり広くないのでいかに細身のSZRといえどもすり抜けは難しい.

しかしいかん.なんだここは..なんか違うぞ.高原.湖.観光客でざわざわしたこじゃれた建物群.白鳥がたむろする水辺.まるで,まるで,,お盆休みの軽i沢だ.富z五湖だ.ゴールデンウィークの清stだ.あの浮かれてそして若干勘違いした街並み.あの匂いがする..浮かれた人がうじゃうじゃいる.そうか,イギリス人にとってイースターにLake Districtに出かけるということは,ゴールデンウィークに清stに出かけるということなのか.そんなところにバイクで一人で近づいてはいけないのだ.得るものは何も無い.さっさと輝くWinding Roadがあると思しきこの先の峠に向かうのだ.時間を無駄にしてはいけない.

と,決め付けて,Windermereではトイレを借りただけでさっさと通り過ぎる.ただ,通り過ぎていくA591でまたうだうだ考えていたのは,ここの中世然として,かつカフェやらみやげ物屋やら湖畔の白鳥まですべてがこじゃれている街並みはもしかして清stや地方の高原リゾートが少なくとも一度は目指してでも今ひとつしっくりこない「欧風リゾート」だとか,「メルヘン」だとか,そんなイメージを体現しているんじゃないかってこと.っていうかそのものだっていうこと.連中はこれを目指してお金をつぎ込み歩道を石畳にしてみたり,テディベアミュージアムを造ってみたり,芝生にデッキチェアを置いて植木鉢に花を植えてみたり,クレープの屋台を出してみたり,アイスクリームと呼ばずにジェラートとよんでみたり,特に前後の脈絡はないし隣近所との調和もいまいちだけど何かにつけて「こじゃれ」方向に足並みをそろえんと努力をしているのではないか.日本人が高原リゾートに求めるすべてがここにあるのではないか,などと考えた.うーん,だとしたら本当に無駄な努力である.ご苦労様である.千年,数百年の歳月とキリスト教の宗教観,その他いろんな歴史やなんやかやが集積してこの街並みがあるのであって,かつてのある年の町議会で2期目当選したてでそれなりに自信つけちゃった町長(58)あたりが「町おこしの一環として,xx高原の観光資源活用に本格的に予算を投入し,新規参入や店舗の改装に補助金制度を打ち立て,ヨーロッパの高原リゾートを手本に欧風レストランやショップが立ち並ぶ瀟洒な町並みを実現し,新しい時代のリゾート情報発信都市として飛躍を遂げます!そして街の事業としてまずは商店街の街頭106本をガス灯タイプに変更し,商店街を魅力あふれた若者の集う街並みへとリニューアルさせることとします!」などと突然意気込んでみたところで,絶対にその辺のばあさんが一人で管理しているようなアパート一つとってみても200年建ってるようなこの街みたいにはならんだろう.きっとどうやっても100年たってもうそ臭さと後から作った感,低予算テーマパーク感は抜けないのでそういうことはやめましょう.浮かれた観光客の匂いは一緒でも,それを受け止める器が全然違うのだ.それよりも,「観光振興?うーん,1千万円くらい使って全国から腕利きのたこ焼き職人を,あそこだ,あそこ,xx高原の老舗旅館xx荘の駐車場の隣にある桜公園あたりに集めちゃって,たこ焼き選手権を開催ってのはどうや?で,なんだ,商店街の入り口らへんにある街灯のカバーを,たこ型にしたら目立っておもろいんちゃう? 100万円ぐらいでたこ型カバー2個,できるやろ?」などとした方がよい.そして来年も再来年もこの町長が在任する限りたこ焼き選手権をやればいいのだ.

ああ,真剣にたこ焼きが食べたい.半年ぐらい食ってない.あそこのパブにたこ焼の看板が出てたら間違いなく飛び込むだろう.あそこの湖畔のカフェでたこ焼を食ったらさぞうまいだろう...そしてほんの一かけらだけであったら,そこの白鳥にあげてもいい.

あ,かといって「日本風高原のメルヘン」だとかいって津W野のように作りこんじゃったらやっぱり後付け感と低予算テーマパーク感が出てきてしまうので街中の狭い水路に錦鯉を放つような行いはやめた方がいいでしょう.

あ,でもそれで観光客が来てしまうなら初期の目的は達したというわけで,3期目も狙う町長にとっては特に問題は無いのか...

(2)Windermereを抜けてKeswickへ
1.A591

A519 to Keswick
Windermere, Amblesideといった街を出ると,再び人気の無い田舎道に戻る.ただし左右の風景はかなり違ってくる.木の生えていない山が左右に立ちはだかり,向こうは見えない.山間の谷底を縫う形で道路が走る.若干,うねうねしてきた.ちょっとうれしい.しかしまだ物足りない.タイヤの端っこはこれでは減らない.しかしきっとこの先には輝くWinding Roadが待ち構えているはずだ(曇ってきたが)

こっちは脇道

2.Keswick
12時30分,Keswickに到着.Windermereに負けず劣らずこじゃれているし観光客も多いが,しかしもう少し生活感のある街.とにかくたこ焼きにうなされるほどおなかがすいていたので,何か食べようとCity Centreに向かって歩いていく.Saltaireでの経験から,昼はうまいものを食うべしと決めているので,その辺のFish Barなどには目もくれず,Lunchを出すパブを探しながら街中を歩く.イギリスのCity Centreには必ずPedestrian Zoneといって,いわゆる歩行者天国があるが,ここのそれでは露天の市場が開催されていた.これも実際,土日などはどの街でもやっていて,たいていにぎわっているものだ.


露天市場.

3輪コーヒースタンド.本格的なカプチーノが飲める.

3.Lunch
そしてようやく昼ごはん.何軒か覗いたパブのうち,メニューの中にこの土地のものが入っている店を選ぶ.そして見つけたのがDerwent Game Pie.なんじゃそりゃ.確かにこのKeswickはDerwent湖のほとりに出来た街なので名前からしてここでしか命名してはいけない名前だろう.しかし,Game Pieとはなんぞや.なんだかわからないものは食べてみるに限る.注文.8ポンド.


Derwent Game Pie.
で,出てきたのがこいつ.Chipsとゆでた野菜はいつでもどこでも出てくるしどこもほとんど同じ味なので何てこと無いが,やはりGame Pie本体はかなり不思議.なんだこれは.フォークでつついてみると,驚くほどパイの各層間の空間が大きく,そして各層がとんでもなく薄く,触るだけでぱさぱさと壊れていく.モリナガのお菓子のパイの実(食べたいなあ)の直径を8倍ぐらいにして,その上下を手で持って各層間が3mmぐらいに広がるまで剥離させたものをよく焼いて乾燥させた感じ.それでもって各生地の厚みはそのパイの実の最表層にある一番薄い層とほぼ同じで,砂糖はのっていないのであんなにべたべたしない.
おや,イギリスにしては繊細なものが出てきたなと,パイを付き壊していくと,中に名古屋のどて煮にそっくりな色をした牛肉の煮込んだヤツが包み込まれているのを発見.ふむ,これはパイと一緒にこいつを食うのかとフォークでパイと中の牛肉を一緒に突いて食べようとするも,パイ生地の層があまりにも薄く,かつよく焼けててぱりぱり脆性が高いため,フォークで突いた穴から亀裂が一気に進展して前後左右にばらけて落ち,フォークの先に刺さったのは2センチ×1センチ角の肉の塊だけであった.てごわいなと感じつつも,食べるとおいしい.このようなパイの中身にありがちな粉っぽさもなく,肉もよく煮込まれて非常にやわらかい.うまい.うまいけど次はやはりパイと一緒に食べたい.再びフォークで一緒に突き取ろうとさしてみるが結果は同じ.このあたりですでにパイの上層部は全てばらばらに砕け散り,みんな中のどて煮色したとろとろのなかに落ち込んでしまった.そうか,こうやって食うのか.合点した私はフォークを包丁のようにもち,パイをさくさくぱりぱり壊し,みんなどて煮色のとろとろに落としこむ.見た目にはあれだけボリュームがあったパイはこうやって全部落ち込んでどて煮色のとろとろに浸ってしまうと,すぐに正体がわからなくなってしまった.そしていまやどて煮色したびらびらを化したパイごと肉を食べる.パイは体積比でとても小さいので味には大して影響せず,もはやこれは肉の煮込んだヤツだ.まあ,うまい.しかし食べ進むうちに懐かしい味がこの中に潜んでいるのに気が付く.なんだなんだ,なんだこれは.なんだか懐かしくも鮮烈,芳烈.なんだなんだ.どて煮色の中をフォークをぐるぐる回して何か肉とパイの溶けたやつ以外に含まれているやつはいないか探ってみる.そうすると,直径3mmぐらいの黒い粒がいくつか入っていた.こいつや,こいつがこの芳烈の正体や.と,それだけを食べて噛み砕くと芳烈はいまや峻烈となって口中に広がる.舌が変になる.ぐえ.ここで初めてこれは日本では山椒と呼んでいるやつだと気がつく.むーん.うなぎの蒲焼を思い出す.イギリスでもこれ使うのか.新しい発見.ということはTESCOあたりで買えるんだろうか,などと思うが山椒の使い道なんて今の生活スタイルの中では見出せないから,別になくてもいいやと思い直す.あまり食べる価値の無いChipsを半分残して後はがんばって食べる.今日は牛肉をいっぱい食べた.もはや日本で献血とかやらないほうがいいよなあとやったことも無いのに思う.

帰ってきてからGame Pieについて調べたが,中に肉を入れて包んだパイのことをそういうらしい.冷製もあるそうだ.いつも山椒を入れるかどうかは不明.

4.Motor Museum
飯食った後はぶらぶら歩き,地球の歩き方にも紹介されていたMotor Museumに入ってみる.映画やテレビに登場した車やバイクを実際に買い取って展示してある.カスタムとかそれっぽく作ったのではなくて,ほんとにフィルムに取られたヤツらしい.しかし,なんだか著作権とかの関係で写真撮影禁止となっていたのでとても残念.しかも展示スペースがないとかで,本当はいっぱいある車両のうち,ほんの少ししか公開していない.ボンドカーが全部見れると思っていたのにずるい.今回行った時においてあったのは
  1. Fast and Furious (日本名Wild Speed.なんてセンスの無いネーミングだ..)に出てきたMitsubishi EclipseとMazdaのRX7.かっこいいが,このぐらいいじったヤツは日本でいくらでも見れた気がするので日本人男子にとっては何てこと無いが,イギリスでこれらに乗っていたらものすごく威張れる.相当威張れる.よって,こんなところで飾られていたりする.
  2. Batman Car,Batmobile ふーん. エンジンってダミーやん.ふーん.
  3. Thunderbirdのピンクのロールスロイス.でか.
  4. ナイト2000.正式名称はK.I.T.T=Knight Industries Two Thausandというらしい.ふーん.ちなみに0-60mphが0.2秒.最高時速300mphらしい.人間が乗る乗り物ではなさそう.ちこちこといろんなところが光っていた.しゃべってはいなかった.
  5. 今回置いてあった唯一のボンドカー Aston Martin DB5('65) 街中で時々DB8を見るのであいつの先祖がこれかと思うとちっちゃいなあって思った.
  6. Back To The Futureのデロリアン 本気でステンレス外装.ぶつかってもへっこみそうにない.こんなに歩行者に危険な車は無いだろう.
  7. Mad MaxのIntercepter ボンネットの上にでっぱってるインテークがとても邪魔.ふーん.
などなど.意外とふーんという感じで見てしまった.またKeswickの街を訪れたら違う車がいることを期待して£4払って入るんだろう.しかしやっぱりなんかやり方がずるい気がする..

(3)Honister PassからButtermereへ
おなかも膨れたので再びSZRで出発.いよいよ輝くWindingを探しにHonister Passと書いてあるところを目指す.しかしもう15時.日が落ちる前にはKeswickを出てArnsideの宿まで行かなければ行けない,急がねば.と,くねくね道を攻めるには十分な理由も手に入れた.Keswickをでて,丘をぐるっとまわるB5289を時計回りに進む.少し進むとすでに道は狭く,そして湖沿いにくねくねし始める.感じはまるで愛知県にある矢作ダムの周りの県道19号のようだが,残念ながらあそこまでRが小さくなく,すいすいと流せてしまう.調子に乗ってきたので前の車が遅く感じる.きっと湖畔のこじゃれたコテージに今晩の宿を取っているだろう目の前のFordやMGと違って,宿が遠い私には日が沈む前にここをクリアしなければならないとても立派な理由があるのでさくさく抜かしていく.エンジンはけっこう上のほうで回りっぱなし.体もひょいひょい動かせる.イギリスに来てこのSZRでは初めてのひらひらコーナリングの感覚なのでうれしくなる.もはや景色はどうでもいい.左右はきっと美しい湖畔と急峻に立ち上がった丘の組み合わせできれいなのだろうが,そんなことはどうでもいい.目の前のカーブを安全にかつなるべく速くクリアすることだけしか考えていなかった.しかし,ここでイギリスに来て初めてブラインドカーブに怯えた.いつも芝生の平原ばかりで見晴らしいいのでブラインドカーブにびびりながら走る日本の峠の感覚は忘れていたが,きっちり思い出し,カーブの外側から内側を覗き込みながらイン寄りに付いて走る.でも,イギリスの道はどこもそうだが,高さ方向のアップダウンが激しい.よく道端にも「Blind Summit」という標識が出てるが,確かに向こうがどうなっているか見えない上り下りを繰り返す.この道もその特徴はきっちり押さえている上に,横方向のくねくね度も高いのでなんだかとても3次元的な移動になってスリリング.

急に坂がきつくなり,のりのりのまま峠に差し掛かる,道も狭くなり車1.3台分ぐらいの幅になる.ギアはすでに2速.4千回転前後でこのバイクは極端にレスポンスが悪くなるので(後でわかったがこれは質のばらついているイギリスのガソリンのせい.BPのみがこのバイクに適していると後で判明),登りでその回転数に入れてしまうと危険なぐらい加速しない.よって6千回転ぐらいを行ったりきたりしながら登っていく.道の斜度と幅は佐渡島のどんでん山(本気でこんな名前).それでも左右に木が一本も生えていないのでその辺は阿蘇や草津の賽の河原のあたり.イギリス式にガードレールは無いので若干開放感は高い.調子に乗っているので途中で止まることなど思いつきもせず走る.


下りのHonister Pass
いつ頂上だったかよくわからなかったが,とにかく下り始めた.下りも急勾配.どんでん山状態.エンジンブレーキで抑制を効かせながら下っていく.この辺でようやく周りの景色を認識し始める.うむ,岩だらけですごい風景だ.写真撮っとかねばとコーヒー休憩.岩はとても尖っていて昨日上の方の岩から剥離したぜっていう顔つき.死ねるぞって書いた古い錆び錆びの看板が恐ろしい.草色のところはほとんど芝生だが,間をちょろちょろと水が流れており,湿地帯のように地面がふわふわする.そしてヤギだか羊だかの糞がいたるところに転がっていてとても栄養価の高そうな土.誰がこのヤギたちの面倒見てるんだろう..

バイクから降りると,Keswickを出てからずっとてんぱってたためか一気に疲れを感じ,景色を見ながらゆっくり休んでしまった.やはりここでもYHの適当なインスタントコーヒーが妙にうまい.日本でも北海道(去年の夏に行くはずだったがイギリス赴任と入院で行けなかった.いつか行く)と沖縄(バイクで行ったことは無い.いつか行く)以外は全国走りまわったが,これに似た風景は見たことが無い.一番近いのはバイクでなくて登山で行った北アルプスの中腹のような気がするがあんなに岩は大きくない.なぜこんなに岩だらけで木が生えていないのか.ここはせいぜい標高700mぐらいだけどもはや樹木限界なのか.この辺の気候がそうなのか.やはりきっちり調べたい.でもなんだか家畜の糞を見ていると,いったん切ってしまった森に家畜を放してしまったのでそいつらが出てくる木の芽を全部食べてしまい,それっきり草しか生えない荒地になってしまった気がしてきた.今のアフリカやアマゾンで起こっていることなんだろうけどここではもっとずっと前にその段階を経てきたのかもしれない.イギリスの文明の初期の段階から追っていかないとだめだ.


DANGER AREA,BLASTING DAILY,FALLING ROCKS,YOU WOULD DIEと重ね重ね危ないよと書いてある.

でもヤギは死なないみたい


水筒カバーが飛んでしまった

(4)Arnside
1.Arnside YH
Honister峠を抜け,再びKeswickに戻ってからはひらすら南下の一途.ひた走ってなんとか日暮れ前の17時30分にArnside YHに到着.ここは大きなYHで,前日のEarbyとはまた違った雰囲気.夕食も出るということなので,チェックインのときにこの土地の食べ物をリクエストし,カンバランソーセージというものを注文.さらに,明日の朝飯と,昼用にPacked Lunchという,弁当みたいなものを頼む.サンドイッチやCrispなどが一つの袋に入った物らしいが,どんなものが出てくるか楽しみだ.


Arnside YH きれいな外観

Reception やはり気のいい親父がいる

室内は広くて清潔

2.River Kentの河口

River Kent沿い,Arnsideの河口域
晩飯までに時間があったので,近くの浜まで降りてみた.降りてみて驚いたが,広大な干潟である.下命が日本でこの程度の干潟を見たことがあるのは西表島ぐらいなものである.西表みたいにわさわさざわざわといろいろな生き物がうごめいているわけではないが,砂を見てみるとなにかが這い回った跡がたくさんある.ごみもなく,とてもきれいでよく保存されていると感心した.しかし,日本の本州だととっくに目をつけられて工場がいっぱい建設されてしかるべく場所である.イギリス産業界的にはこのような河口の広い土地は必要ないのか? 原材料の輸出入に便利という意味で海岸線に頼っていた日本の工業の成り立ちとは違う仕組みで土地の利用が進んでいるような気がする.そういえばSkegnessにも広大な砂浜が残ってた.ここでまたイギリスについて調べることが出てきた.

そんなことを考えながら,写真を取ったり釣り人に話しかけたりしながら夕日が沈むのを見届けるまでぶらぶらしていた.


砂の上になぞの文字

犬2匹

3.Arnsideの夜
Honister峠を抜け,再びKeswickに戻ってからはひらすら南下の一途.ひた走ってなんとか日暮れ前の17時30分にArnside YHに到着.ここは大きなYHで,前日のEarbyとはまた違った雰囲気.夕食も出るということなので,チェックインのときにこの土地の食べ物をリクエストし,カンバランソーセージというものを注文.さらに,明日の朝飯と,昼用にPacked Lunchという,弁当みたいなものを頼む.サンドイッチやCrispなどが一つの袋に入った物らしいが,どんなものが出てくるか楽しみだ.


カンバランソーセージ.
(サラの右上のUの字になったヤツ)



Self Catering Kitchen
夕食は頼めるがここで自分で作るひともたくさんいた.
浜から戻ってくると夕食.期待の地元料理,カンバランソーセージは思いのほかうまかった.付け合せのChipsとゆでた野菜が出てくるが,味的には全く無味乾燥なるも,唯一の野菜なので仕方なく全部食べる.しかしイギリス人はなぜかくも野菜を料理しないのか? どうしてゆでるだけの調理方法しか開発しないのか? この辺も全く不思議.肉にはいろいろな調理があるみたいだけど(少ないけど),野菜に関しては生か茹でてるかどちらかしかない.Stir Flyといって各種野菜を一緒に炒めたものがあるけど,茹でるのと一緒で,これって果たして調理といえるかどうか.各種の出汁で茹でたり煮たり,味噌に漬けてみたり塩につけてみたり,干したり焼いたりと,今考えると日本食の野菜料理はとても変化に富んでいるともう.イギリスで野菜料理に変化をつけようとしたら生か茹でるか炒めるかした物に何のソースをかけるかぐらいでしか変化のつけようが無い.そしてたいてい野菜といえば,Pea(グリーンピース),人参,ジャガイモ(PotatoかChips)の3点のみ.ちょっと気を利かせるとこれにトマトが付いてくる.うむ,この貧しいレパートリーでこの国の民はこれまで生き残ってきたのか?この食に対する貧困と言ってもよい想像力しかない民族がなぜいかに産業革命を成し遂げたのか? この辺の推察は渡航前に先輩からもらった「イギリスはうまい」(林望著)にあるのであんまりここでは書かないが,下命としても自分なりに一モーターサイクリストとして探るべく各地を走り回り,これからはイギリスの料理全般にも目を光らせることにしようと,決意も新たに味気ないPeaを噛み締める.かといって積極的に外食するとChipsばっかり食うはめになるので三日で成人病になりそうではある.

食ったら眠くなった.が,やはり明日のルート選定のため,せまいYHのベッドいっぱいに地図を広げ,あれこれ考える.考えているとBristolから来たインド人だという若い二人組みがやってきて挨拶.若干びびりつつも割と無視して地図を見てると連中はPCを取り出し,多分今日撮ったのであろうビデオを見だした.インドの言葉が流れてくる.YHでPCつないでビデオを見るとはさすがITに強いインド人,などと勝手にステレオタイプに思った.また,この部屋の他の宿泊客は60歳代のおじ(い)さんばっかり.そしてここでも自転車乗りが多かった.なんでも最近のイギリスでは自転車に乗ることが流行っているらしく,老若男女,自転車で旅をしたり,車に自転車積んでツーリングに出かけたりするらしい.格好もいっちょまえでまるでツール・ド・フランスに出てきそうなぴったりした自転車競技用の服を着ている.ヘルメットもかっこいい.やはり格好から入るのだ.イギリスの60歳はそこそこ元気である.

さんざん悩んだ挙句,Lancasterの東にBowland Forestという地名を見つけ,イギリスで森と名前が付くところはどんなところか興味を持ったので,ここを抜けてPeak Ditrictまで行くことに決定.23時半ごろ就寝.

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(三日目に続く)

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