すおとの遭遇(第三種接近遭遇)


 ついに対面したスオミは、めちゃくちゃ可愛かったです。

 写真で見ていたときはもっと冷静に「プリントずれが数か所あって、それがイイ味出している」とか「なんだか情けない顔してて弱っちそう。神経細かったらこまるなぁ」・・なーんて考えていたのに、実物を見た瞬間からすでに親ばかははじまっているのでした。

 なーんだ、この子死ぬほどカワイイよぉ!(←豹変)

 でも可愛いスオミは「みー」(ももちゃぁん)「みーーっ」(どこいっちゃったの、おいてかないでぇ)と哀れっぽくないています。猫初心者のワタシはもう頭がぐるぐるしてきて

 ないてるよぅ!!
 どうしよおぉぉ!!!

 と、あたかもメダパニをかけられてしまったレベル10のパーティのように情けなく混乱しちゃっていたのですが、猫ベテランのブリーダーさんはまったく気にせず
 「じゃあ帰りの切符を買ってきますから」
 と言うとワタシとスオミ入りバッグを残してどんどんみどりの窓口へ行っちまうではありませんか。

 ワタシの目には、遠ざかる彼女の後姿がほとんど「ほっほっほっ、あとは若いもん同士で・・・」と立ち去る仲人のおばさんのようにみえました。(ごめんね、まだ若いのに・・・)

 残された私はあぁんどうしよう、とのの字のの字を書いていた・・・・わけはなくて、みーみーないてるすおちゃんに文字通り「ねこなで声」(笑)をかけつつもバッグの隙間からつんつん突っついて指のにおいをかがせちゃったりなんかして、「へっへっへ、泣いてもムダだぜ。オマエはウチに来るんだぜ」などと考えながらそれなりに楽しく変態チックなひとときをすごしたのでした。

 さて、戻ってきたブリーダーさんから色々とレクチャーを受けたあとはいよいよスオミをうちに連れて帰ることになります。ここからウチまでは泣いても笑ってもワタシひとり。たいした時間ではないとはいえ、やっぱりちょっと心配です。

 ひとりになっちゃってから、うんと泣かれたらどうしよう????
 すおちゃんの声ときたら、かぼそくてソプラノでめちゃくちゃ可愛いんだもん♪(・・・・)
 みんなに注目されちゃうわん。ほほほほ。

 これでは困っているのか喜んでいるのかよくわかりません。ほんもののバカですね。

 ところがその後どんどん判明した恐るべきスオミの良い子ぶりは早くもこの時点で発揮されました。京浜東北線に乗ってキャリーを床に置いた途端、スオミはすやすやとおとなしく眠りはじめたのです。
 おかげさまで、ぜんぜん鳴きませんでした。
 うれしいようなつまんないような。・・・・いえいえ、助かったです、ホント。
 ありがとう、すおちゃん!

 かくてスオミは無事にわが家にたどりついたのでした。


  

ひとつ戻る          スオミのおはなし・トップへ         次も読む!