なぞの新生児(アイノとの出会い)



 すおちゃんがうちに来てから約一年。
 スオミはとにかく可愛くて甘えん坊でもうたまらん!・・という子だったわけですが、ここに来てワタシの中に強い願望が生まれていたのでした。

 スオミ様のご学友(?)が欲しい!!

 すおちゃんの甘えパワーは尋常ではなく、会社に出かけるときには玄関で悲しそうに鳴きながら扉とワタシの間に入りこむ。帰ってくれば、一瞬のくつろぎも許されず「あそんで!あそんで!あそんでぇぇぇ!!!」と可愛い声で甘え鳴きする。ちょっと無視してテレビでも見ていようものなら、居間の扉を押し開けて「どん!」と壁にぶつけ、「こっちをみてよ!!」とアピールする。

 スオミ様、きびしすぎます。人間はもうヘロヘロです。
 そうです。かわいいすおちゃんは、120パーセントの目に見える愛情を要求する恐るべき妖婦(笑)だったのです。

 そうだよねぇ。こんな甘えんぼちゃんが、昼間ひとりぼっちでニンゲンの帰りを待ってるんだもんねぇ。
 そりゃかわいそうだよなぁ。やっぱし、遊び相手もいない環境はモンダイだ!(多分)
 ・・・・とワタシは一気に思いつめたのでした。

 スオミにおともだちを!!

 幸いうちのダンナはもともと多頭飼いのヒトなので、「このまま一生ほかの同族を見ることもなく過ごすってのはやはり猫人生として可哀想なのではないか」という見解を示していましたから、こうなるともうトントン拍子です。
 やさしいひかえめなすおちゃんの相棒だもん、やっぱし可愛い女の子がいいよね。
 ・・ということで、ワタシは早速「気のやさしそうな女の子。できれば三毛希望(笑)」ということでブリーダーさんに当たりをつけたのでした。

 ところが、その頃なぜかブリーダーさん宅では男の子出産ラッシュ。生まれる子生まれる子、みーんな男の子。
 いったいこれはどうしたことでしょう。どこかの邪教集団の呪いでしょうか。
 あぁんイケズ、もう待てないわん!!・・という気持ちになったころに、また出産がありました。
 こんどのお母さんはシルバートービー、すなわち、銀三毛ちゃん。こねこにも銀三毛の可能性はじゅうぶんあったのです。
 「銀三毛は?!銀みけ!!」
 わくわくしながら聞いたワタシへの返事はがっかりなものでした。男の子2ひき、女の子1ぴきでみんなホワイトなし。女の子はシルバーだったよ、とのこと。

 神様のいじわる!
 ワタシに銀三毛をたまわらぬとは!!

 まあ、それも運命です。またしばらく次の子を待つしかないんだわ、と思ったその翌日。
 ブリーダーさんが電話をくれました。
 もう全部生まれたと思っていた母猫が、うーんと間をあけて最後のいっぴきを出産したというのです。
 それが、ちょっと珍しいカラーの「クリームシルバー」の男の子。

 く、クリームシルバー。なんじゃそらぁ!

 なんという誘惑的な響きでしょう。うーん、でも男の子か。うう、どうしよう。こまった。
 しかし、送ってもらった写真を見た瞬間に私のもともと少なめの理性はキレイに吹き飛びました。
 
 白いよぅ。ちっちゃいよぅ。なんじゃこらぁ!

 ほ、ほしい。

 すっかり欲望回路がつながってしまったワタシを止められる人はもういません。
 これが、想像もしなかった毛色で、考えてもみなかった性別のこねこちゃんとの縁のはじまりでした。

      

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