切断面の響き
 高みに挑み、深淵をみつめ
 世界が切断される
 どんな叫びも届かなくなる
 
 もう自分を理解する者のない時
 人は、その心を詩にたくす
 永遠の未来の理解者、
 世界の果ての理解者を求めて

 詩は世界の切断面から響く、
 最後のさけび

 詩は、叫びです。人が高みにいたる創造の断崖に挑む果敢さゆえの否定を受ける時、鋭い刃物で切り裂かれた世界の切断面に触れます。その切断面からの響きが詩です。それは、永遠の未来と、世界の周縁に放たれる、言葉の切れ端なのです。

 言葉の切れ端に遠き世界に人が生き、残していった叫びを、心に聞き取る時、人は切断面に触れます。詩の叫びを受けとめる時、世界の切断面は、僅かに結び合わされ、微細な幸せを、ひととき取り戻すのです。
 言葉に、そんな思いをいだく者の仲間が「切断面の響き」です。